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アウトローに学ぶ異界生存戦略  作者:
1章 異世界で奴隷から神官、そして魔の者への扉を開く
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アウトローに学ぶ異界.20

 という訳でベリュンヒルダの教皇庁だか何だかに連行された。


 という訳でも何もせっかく出立の準備が出来た矢先に、大聖堂カテドラル何とかからの聖騎士だか聖戦士さんたちが街中でありながら物騒な行列を組み、俺はそれに従うほかなかった。

 よく知らないが、教区というエリア分けがそのまま派閥となっており司教だか司祭だかがわんさか派閥争いを繰り広げ、その中の大司教だか教皇だか知らんがお偉いさんからお呼びがかかったのだ。

 俺はその神の化身というヤンマ大王だか教皇だか法王に許可を得ているわけなのだが……。


 出鼻を挫かれ、憤りを通り越して面倒になってきた。


 白亜の壁に囲まれた壮観な建築物の中。段々づくりで席が規則正しく並ぶその聖堂の中枢。聖壇にはヤンマ大王がその姿を収めていた。まるで大王を中心に据えるために作られたかのようにその姿はしっくりと絵になる。

 聖堂を支えるその柱の一本一本が隣の柱とアーチを作り、そのアーチを幾重にも重ねることで天上に星形を形造っている。

 アーチなどは一つの岩から削り取ったかのような滑らかさを持っているが、よく目を凝らすと均一に線が見える。ということは角度の違うパーツを精密に組み立て、その芸術的なアーチを形成しているのだろう。

 他の石レンガ造りの建物と同様の技術が施されているのが分かる。

 聖堂の床は石畳で紋様が描かれるように舗装されているため、この聖域は石に囲まれているということだ。


 石で魔方陣などを形作っているかもしれない。というのはただの想像だが、そのような拘りというのは結構好みである。


「このカテドラルクリストロにて、異端審問を執り行う!」

 神々しささえ垣間見える幼年のエメラルドの瞳。王宮では神を隠していたので分からなかったが、その髪まで軽やかなエルフの緑髪のようというか、これもただの想像なのだが。


 その絵画のような光景に似つかわしくない皺くちゃの老人が隣で吠えている。あまりに場違いな様子なので悪い印象しか持てない。

「このマダイラの神官を騙る男は、なんと神聖なる動物を使役し、その神性を冒涜している!」


 俺だけではない。隣にはショーイも立たされている。

 巡礼者に広めた嘘が、やはり教義と矛盾するため受け入れられなかったのだろう。

 こちらとしても初めから知って入れば行き当たりばったりな嘘で取り繕わずにも済んだのだが、誰もヤーラカーンではこれはダメあれはダメなんて教えてくれなかったではないか。

 ショーイはその隙間から垣間見える表情から、楽しんでいるようであった。これがただの好奇心からの物ならばいいのだが、俺にはどうやら裏があるように思えた。


 というよりこんな面倒な"異端審問"なんてのがこのヤーラカーンの地であるとは想像していなかった。近代的な服装のブリュータスでは利権を貪る豚どもがブヒブヒ言っていてもおかしくないと思っていたが、マダイラ族の感じだともっと自然信仰的な物かと思っていた。

 大国になるに当たり部族の特別な役職によるシャーマニズムで形成された祖先崇拝や自然崇拝などのような民俗信仰の部分が、整理されて形式化や形骸化を繰り返した上で都合のいいように書き換えられたのだろう。

 ヤンマ大王が神の化身だなんて眉唾話も王権神授説のバリエーションに過ぎないのだろう。

 なんて中途半端な頭にある言葉を頭の中で書き連ねても意味がない。この場を乗り切ることを考えなければ。


 聖堂内には下卑た野次なんかはないが、ボソボソ小言でどよどよどよめきだっており中央のヤンマ大王は困った様子で見守っている。


 やはり傀儡として担ぎ上げられた身の上なので、余計な事をして自分の身を危険に晒すことを危惧しているのだろう。

 大臣たちの前では立派であったその姿が、年相応の儚さと危うさで可愛そうであった。


 大臣やら貴族なんてのは裏でこそこそしていようと暗殺程度しかできないので、イガ将軍のような忠誠心の塊のような臣下がいれば反逆罪で打ち首一族郎党皆殺しで困ったときは済むかもしれないが、この手の輩は大王に悪魔が憑りついているなどなどでっち上げて正面から狂ったように殺しに来るものだ。と思う。


 幼年期の子供が困った様子は、流石に精神的に来るものがあった。

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