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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第五十六話:西の遺跡

皆様お待たせ! あの子に仲間が増えますよ!

色々あった週末が終わり、本日は月曜日。さすがにこんなに早くテストが帰ってくるわけではないのでいつも通りの授業が始まっている。


……一人を除いて。




「それで、今の気分は?」

「モウ、シニアイ」

「すでに日本語すら危うくなってるわね」


お昼休み。俺は自分の席で昼食を食べた後努に声をかける。期末全教科出席しなかったという快挙を成し遂げた努は朝出席確認が終わると担任に連行され、一人期末試験を受けている。

ついでに言うと、補習は確定しており、今行っている試験は単に「一応受けとけ」という担任の指導に基づくものである。哀れな。


「それで、結局クエスト終わったの?」

「空、俺の妹に聞いた話だとあと少しらしい」

「つまり、まだ終わってないと」

「……クエストは今週末まで」

「テスト返却予定は明日からだから時間に余裕があるのは今日の放課後のみ」

「しかし放課後は生徒指導室でたっぷり説教」

「生徒指導の先生、話長いのよねぇ」


だんだん努が白く染まっていくが俺と委員長の会話は続く。


「しかも心ちゃんからのメールだと空も同じような状況」

「いくら努君のパーティーが強くても実力の要である二人がいないのは厳しいわね」


当然ながら栞ちゃんも同じ状況で実力は全体の中堅クラス。どう考えても戦力の大幅な低下は確定だ。

そして、止めとばかりに俺達は互いの顔を見て、タイミングを合わせる。


「「つまり、クエストクリアは補習をクリア(突破)しないとできない(終わらない)」」

「………ポヘェ~」


どうやら魂が旅立ってしまったようだ。


しかし俺達は慈悲なんてかけない。結局は自業自得なのだから。




少なくても三人の魂が三途の川に流されている放課後、いつもよりも軽めの夕食を作る。おそらく帰ってきても飯を食べる気力はないだろうかな。


そんなわけでいつもよりも早くCWOにダイブする。今日はスワンとリボンもダイブしているはずだ。


「「こんばんは!」」

「こんばんは。しっかり休めましたか?」

「ティニアって本当に心配性だなぁ」


いつも通り妖精族の転移泉に集合し、クエストフィールドへ。

転移してからポーション待ちの行列があったので急いで対応。それも十数分で終わったので少し休憩してから西の遺跡攻略に向けて移動開始。


「今度はどんな試練なんでしょう?」

「戦闘じゃないといいね」


スワンとリボンの会話にティニアさんがこれまで手に入れていた情報を語りだす。


「西の遺跡に関しては結構情報が集まってるわよ。まず戦闘は間違いなくある。でも出てくる相手が全部違ってたわ」

「たとえばどんなモンスターが出てきたんですか?」

「一番強かったのはデーモンみたいね。逆に一番弱かったのはワンワン」

「え? ワンワンってあの犬ですか?」

「スワンが言ってるので間違いないと思うぞ。その話は俺も偶然聞いてたから」

「だったらワンワンが出てくれば大当たりですね」


リボンの嬉しそうな声が聞こえてくるが残念ながらそう甘くはない。


「そうですね。それが100匹もいなければ」

「「へ?」」


ティニアさんが言う通り、実は強いモンスターは一体しか出てこないが弱いモンスターは大勢登場するのが西の遺跡の特徴だ。

そのため、西の遺跡のことを『運の遺跡』なんて呼んでるプレイヤーがいて、それが通称になりつつある。


「でも数が多くてもワンワン程度なら……」

「それが結構連携が取れてて、武器を構える余裕が無く、魔法使い系の方々は初めのうちは全く魔法が唱えられなかったみたいよ」


この発言に顔が真っ青になる二人。二人の主力武器は弓だからな。無理もない。


「一旦戻って作戦を練りませんか!?」

「そうね、それがいいです!」


二人の提案はもっともだ。しかし俺の手が伸び、二人の視線がその先に向けられると希望が絶望に変わる。


そう、すでに遺跡はすぐ近くにあるのだ。






「さて、無事遺跡に着いたわけだけど……」

「門番もいなく、中には罠もありませんでしたが……」

「問題はこの先よね」


全員の視線の先にある扉。大きさからして間違いなくこの遺跡のボス部屋だろう。


「二人とも準備はいい?」

「正直あまりよくはありませんけど……」

「もう、成るようになれ!」


リボンは背負った弓を構え、すでに矢を放てる体制に入る。少ししてスワンも同様の体制になった。


「それじゃ、開けるぞ」


先頭俺、ティニアさん、アリサさん、アリアさん、スワン&リボンで部屋の中に入る。


部屋の中央には菱形のクリスタルが浮かんでおり、コレに触ると試練開始となる。

戦闘準備が十分整ったことを確認してクリスタルに触れると一瞬で粉々になるクリスタル。


「さて、何が出てく……」


床に描かれる魔法陣は小さかった。

ここで登場する魔法陣によって登場するモンスターの強さが決定する。そして魔法陣が小さいほど、数が少ないけど強いモンスターが現れるという事になる。


「外れですね」

「デーモンかな?」

「弓が使えるからまだマシじゃない?」


軽く冗談を言う事で緊張をほぐす。


魔法陣が煙に包まれる。さあ、いよいよ西の遺跡の試練の始まる!

久しぶりの戦闘だが何とかなるだろう! 今回は木も無いし!


そして煙が晴れた先にいたのは…………あれ? あの麦わら帽子見覚えが……


「……ダレ?」











「「か、かわいい~!!」」

「うわ、珍しい!」

「本物、初めて見ました!」


現れたモンスターを見て興奮する女性陣。まあ、初めて見たのなら納得の状況ではあるのだが、一応試練の最中だという事を忘れてないか?


現れたのは小学校に入ったばかりくらいの大きさの人型モンスター。蒼のワンピースを着て、水色の麦わら帽子をかぶっている。一見パニヤードかと思ったがキノコが生えてないから多分違う。でも見た目はパニヤードそっくりということは同じ種族ということか?


何があるのかわからないので後ろを振り返れないが、声から判断するに唯一冷静なのはティニアさんだけか。

まあ、ティニアさんだけでも冷静なら戦力としては十分……


「どうすれば持ち帰れるのでしょうか? 樹籠に詰め……いえそれはかわいそうですね。他には……」


訂正、だれも冷静ではありませんでした。というか、持ち帰るつもりか? 気持ちはわかるけど未だに【テイム】関連のスキルは登場していないから無理に決まってるはずなのだが。


一人困惑する俺の前にウィンドウが表示される。

そこに書かれていたのはこの試練をクリアする方法。おそらく全員の前にも表示されているだろう。


その内容はシンプルに『現れたモンスターを倒せ!』である。



今のところ攻撃してくる様子はないので、さてどうするか相談しようと背後を振り返ると一人を除いて全員が入ってきた扉に向かって後退している。


「ちょっと!?」

「私、人相手に攻撃なんてできません!」


アリアさん!? あなたこの間結構な人数相手に無双してませんでしたか!? というか人型であってモンスターですよ!?


「あんなかわいいモンスターを攻撃するくらいならハイフェアリー止めるよ!」


アリサさん!? 妖精族でも優秀な証しであるその誇りはどこいった!?


「私、元々戦闘は苦手で……」


ティニアさん!? あなたこの中ではアリサさんに匹敵する戦闘能力の持ち主でしょ!? つい昨日の惨状を忘れましたか!?


「離して世良ちゃん! あの子をprprしたいの!!」

「落ちついて心ちゃん! 意味は分からないけど今は抑えて!!」


後輩二人! ここはCWOだ! アバターネームを使え! あとリボン、その表現はいろいろと危険だ!

って俺も少し落ちつけ!




結局俺以外のメンバーは全員扉の外に出てしまった。となると俺がどうにかして倒さなくてはならないのだが、扉が開いた先から全員がじっと見つめているのでやりにくくてしょうがない。


「?」


視線に戻すと右手の人差し指を口にくわえながら首を傾げるパニヤードみたいなモンスター。

……どうやってクリアしよう、マジで。

*次回予告*

困惑するアルケ! 悩んだ彼はついに倒すべく杖を振りかざす! そこに襲いかかるメンバーたち!? 果たしてアルケは試練を突破し、西の遺跡を攻略できるのか!?


『次話:アルケVS裏切りの女性たち!?』

ご期待くださ……


とある六番隊隊長「うふふ~、死にたい作者はどこかしら~♪」


ほなさいなら~!!!!


(真面目な話:次回の更新は3日後、2月14日<土>。バレンタインデー特別篇です)

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