友達ができない!
オープンキャンパスで変な子がいた農業高校に入学して2週間、結局あの熊谷さんという子と同じクラスになったが、熊谷さんと関わることはなかった。
というか、この1ヶ月、クラスメイトとろくに関わってない。
一応近くの席の中谷くんや中居さんが気にかけてくれるが、それも友達ってわけじゃないし、今日も今日とてボッチ飯だ。
一応、1日目に1人で食べてたら「1人で食べるの?ほかの誰かと食べないの?」と声をかけてくれた子がいたのだがうまく聞き取れず「へ?」と返し、曖昧に笑ってしまったら、その娘も曖昧に笑って返してどこかに行ってしまった。多分「本当は誰かと食べたいんだ…」と返せば一緒にお弁当を食べてくれたパターンだった。惜しいことをした。
教室でボッチ飯しちゃうなんて私って強メンタルなんじゃないのなんて思う。でも人目を気にして移動するのも面倒くさかった。
購買で買ったパンを食べてると近くで食べてるクラスメイトの吉野さんと橋本さんの会話が聞こえてきた。吉野さんは熊谷さんにオープンキャンパスのときに「せっかくやせたのになんでそんなふとってるの〜?」と失礼なことを言われてたコだ。
吉野さんの声は今日も大きい。通常の人の2倍くらい大きい声なのでよく響く。
「今日、熊ちゃんがさ、農業実習の時間、作業しながらブツブツ独り言言ってるわけ」
「独り言?なんて」
吉野さんの言葉に橋本さんが聞き返す。ちなみに吉野さんは茶髪のショートカットで眼鏡をかけてる女の子で、橋本さんもやはり茶髪をポニーテールにしていてキラキラした薄い茶色の目が印象的な女の子だ。
熊ちゃんというのはおそらく熊谷さんのことだろう。このクラスには熊ちゃんというあだ名はもう一人いて球磨川くんと言う男の子だ。同じあだ名の人がクラスメイトに二人いるというのは中々面倒くさかった。
「なんか、自分はだめだ〜とかもう死にたい〜とか。何悩んでるか知らないけどうるさいんだよね。だから死んでもいいですよ!誰も気にませんよ!って言ってやった」
「死んでもいいですよ!」と言うワードが強すぎて私は1人でパンを食べながら吹き出しそうになった。なんとか耐えたけど。
「死んでもいいですよは、やばいよ!だめだよ」
橋本さんが笑いながら諌めた。
「言っちゃうよ!だってうるさいんだもん!あーそう言えば農業実習の鷲田先生あの人苦手なんだよね」
「何で?」
「あの人、声大きいじゃん」
吉野さんの発言にまた吹き出しそうになる。ハキハキした女性の鷲田先生は言われてみると声が大きいかもしれなかったが、吉野さんの声のほうが確実に大きかった。
鷲田先生も吉野さんには言われたくないよ!と思ってると橋本さんが笑いながらツッコミを入れた。
「鷲田先生も吉野さんに言われたくないよ!同じジャンルじゃん!」
しかし、吉野さんと同じジャンルかは微妙だ。絶対に吉野さんのほうが鷲田先生より声が大きいと私は思う。
「いや〜同じにされたくないわ」
鷲田さんだって吉野さんと同じにされたくないよなんてそんな事を思ってしまった。




