表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

不愉快な手紙

 私はそれなりに名の通った小説家である。


 自分で言うのも可笑しなものだが、ベストセラーも何冊もあり、所謂「流行作家」の一人だ。


 毎日いくつもの連載の締め切りに追われ、忙しく過ごしている。


 そんな私を癒してくれるのが読者からの手紙だ。


 何よりの励みになり、創作意欲を刺激してくれる、ありがたいものだ。


 その中に一通辛辣な文面のものがあるのに気づき、目を通した。 




 初めてお便りいたします。


 昨今の貴殿のご活躍、テレビや新聞、雑誌などでお見かけしております。


 私には貴方の作品のどこにそれほどの魅力があるのか、全く理解不能です。


 文章は稚拙、内容は二番煎じか、実際にあった事件の焼き直し。


 読者の皆さんの知能を疑うほど、お粗末なものばかりです。


 私なら、もっと面白くてドキドキする話が書けます。


 貴方がプロの作家として生活できているのなら、私にもできますよ。


 そのくらい貴方の小説は低レベルです。


 ある意味同情します。


 貴方は実力もないのに祭り上げられてしまった「神輿」ですからね。


 非常にお気の毒です。


 ではまた。



 

 私は手紙を読み終えて溜息を吐いた。



 後ろからその様子を見ていたある出版社の編集者が声をかけた。


「凄い内容ですね」


「ええ」


 私は悲しい顔をして編集者を見た。


「あのですね」


 編集者は何か言おうとして躊躇しているようだったので、私は、


「何か言いたい事があるのなら率直に言って下さい」


と真顔で言った。すると編集者は私を哀れむように見て、


「そんな手紙を自分に出して楽しいですか、先生?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ