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背筋が凍る冬の夜話

 退屈だ。


 私は雪が降り頻るある日の夜、たった一人で炬燵(こたつ)に当たっていた。


 うん?


 サクサク……。


 誰かが我が家の狭い庭を歩く音がする。


 サクサク……。


 私は一人暮らし。家族はいないから、庭を歩いているのはかなりの確率で不審者。


 サクサク……。


 確実に玄関に近づいている。


 私は億劫だったが、炬燵を抜け出し、玄関に向かった。


 そして、下駄箱に立てかけてある斧を手に取り、侵入者に備える。


 すりガラスの向こうに、人影が写った。


 間違いなく、何者かが来ているのだ。


 私は斧の柄をギュッと握り締めた。


 コンコン。


 ノックの音がする。律儀な不審者だ。


 油断はできない。


 私はそっとノブを回し、ドアを押し開いた。


「ホホホホ」


 そこには雪女が立っていた。凍てつくような目、大きく裂けたような口。


 長い髪が、風で広がり、まるで蛇がのたくっているようだ。


 私は大声で叫んだ。


「遅いよ、雪ちゃん! もう来ないのかと思ったよ!」


「ごめーん、座敷童子(ざしきわらし)ちゃーん。今日、バレンタインデーでさあ。忙しかったのよ」


 私は肩を竦め、彼女を家に招き入れた。

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