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ネオンテトラとミレニアム 10

3-10


-2000年2月-


 歴史通りITバブルが進行しているので、

2ヶ月かけて、株式を手仕舞いした。


【サードハング】

・購入時(1997年8月)

単元100株15万

¥150,000 × 2000単位(200,000株) = ¥300,000,000

・売却時(2000年2月)

単元100株800万

¥8,000,000 × 2000単位(200,000株) =

¥16,000,000,000

・利益

¥11,618,000,000(税引後)


【サードハング】二回目

・購入時(1998年1月)

単元100株25万

¥250,000 × 2000単位(200,000株) = ¥500,000,000

・売却時(2000年2月)

単元100株800万

¥8,000,000 × 2000単位(200,000株) = ¥16,000,000,000

・利益

¥11,470,000,000(税引後)


【kapoo】

・購入時(1997年11月)

単元1株200万

¥2,000,000 × 50単位(50株) = ¥100,000,000

・売却時(1997年2月)

単元1株8000万

¥80,000,000 × 200単位(200株) = ¥16,000,000,000

・利益

¥11,766,000,000(税引後)


※二度の分割で株数が4倍になっていた。


合わせて、

¥34,854,000,000

になった。


1月に売った分も含めて、

¥41,366,000,000

となる。

11億が400億になるとは、流石に現実味がない。

俺の個人資産は、440億あまりとなった。


会社から投資していた1億は、

【クラウンローチ】が2割、【ブラックエンゼル】が8割なので、それぞれ8億と、32億になった。

【ブラックエンゼル】は、ベンチャーキャピタルとして、贅沢をしなければ、十分な資金を得たと言えるかな。



 「と、言う事で、来期から一斉に社保を入れたい」


「社保ですか。

経営も軌道に乗ってますし、良いかもしれませんね」


定期報告でうちを訪れている、青木さんだ。


社保、つまり社会保険とは、厚生年金や雇用保険などの制度の事だ。労働者にとっては良い事しかないのだが、会社側の負担がタスクベースでもコストベースでも激増する。


一般的に、それなりの規模の会社なら、普通にやっている事ではあるが、資本に不安を抱えている状態だと、経営を圧迫し、会社が傾いていく。

社員の為にと導入しておいて、会社が傾いては本末転倒だ。


特に重たいのが厚生年金で、会社が半分負担しなければならない。【シャインガレット】の例で言えば、給与を減らすわけにはいかないから、単純に会社の負担が、月々120万以上、年間では1500万程度増える。

その他もろもろの制度も合わせると、年間で1800万程度のコスト増だ。これは【シャインガレット】の年間利益の約15〜17%に相当する。

世の経営者は偉いと思う。


管理部門の人手が回っているのと、本業が好調であること、別事業を始めた事などから、総合的に決断した。


人集めもし易くなるし、真っ当な会社ですよ、という証明になる。あと単純にスタッフが喜ぶ。

社保完備、というのは、意外とステータスとして侮れない。

前世、親戚の集まりとかで、俺も言われたことがある。


一斉に、というのは、【ブラックエンゼル】と【バタフライアクセス】も、一緒に導入すると言う事だ。


ぶっちゃけて言えば、未来の日本で年金制度が崩壊しかかっていることを知っている俺としては、無駄な出費に思える。

それなら給与を増やしてあげるか、何かお手当てとして支給したほうがいいと思う。

研修制度や福利厚生を充実させても良いし、会社が一年でも長く存続出来るよう、剰余金として溜め込むのも良いだろう。

だが、人間の思考は、そんなゼロイチで回っていない。

他の人たちは、他の会社は、と周りを見てしまうものだ。

今現在年金を貰っている人を見て、自分もそうなれる、と思ってしまう。


なので、右にならえ、としてしまうことにした。



 「それから、俺は社長をやめようと思う」


「え?ど、どど、どういうことですか!?」


「【シャインガレット】で、もう俺は何もしてない。

そろそろ、経営権をあなたに引き渡すべきではないかと思う」


「いえ!私は今のポジションでないと、楽しく働けません!

社長なんて無理です!」


「みんな最初はそう言うものさ。

大丈夫だ。引き続き相談役か何かで残るつもりだ」


「いやいや、そう言う事じゃなくて!

そんな重責を担うことは出来ません!!

ストレスで死んでしまいます!!

それに、出来ない理由があります」


「ん?何?」


逡巡した後に、青木さんは切り出した。


「……子供が、出来ました」


「え!!?

そりゃ、おめでとう!!」


長谷川さんとの子供が。

それは大事にして欲しい。


「仕事は続けたいと思っていますが、しばらくはセーブさせていただきたいと思っています」


「それは、当然だ!

うむ、そうか!それじゃ社長は無理か……」


「はい、私に精神的な負荷を掛けないよう、お願いします」


「むぐぐ……

仕方ない。今しばらく今の体制を続けるか」


「はい。出来れば、ずっとそうして頂きたいものです」


【シャインガレット】は、大きい方向性さえ間違わなければ、もう大丈夫だ。

後任の社長は、青木さんを置いて他にいないのだ。

なんなら株式も粗方譲渡しちゃっても、くらいに思ったのに……。

収まるところに収めるのが、良いと思ったんだけどな。




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