表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/200

ネオンテトラとミレニアム 4

3-4


-1999年6月-


「おひいさま!

原因不明のネットワークエラーが止まりません!」


「【GOUCH】の鈴原殿に電話せい!

絶対プラットフォーム側が原因じゃ!」


「さっきから電話してるんですけど、つながりません!」


「悠華さん、画像がちゃんと表示されてません!」


「そりゃ回線の問題じゃ!」


「フルハウスなのにツーペアに負けました!」


「バグじゃ!」


「トップページが表示されなくなりました!」


「ええい!脆弱なサーバー組みおって!!」


【わいわいゲームらんど!】リリース初日。

悠華さんが、頭を掻きむしっている。


今日の悠華さんは、【namidas】というスポーツメーカーのクラシカルな赤のジャージに、インナーは黒のVネック、暗めの柄もののロングスカートに、よくわからんごついスニーカー。髪型は頭頂部でお団子にしてリボンで結んでいる。

簡単に言うといつも通りなのだが、だんだん洗練されてきているような気もしないでもない。


「ちょっと【GOUCH】に行ってくる!」


「助かるわい!」


新垣が飛び出して行った。


「悠華さん、大丈夫?」


何をできるわけでもないが、一応声をかけてみた。


「うむ。アクセス集中で色々不具合が出ておるようじゃ。

会員登録数は5,000程じゃからたいしたことはないんじゃが、いかんせん【NDDT】のサーバーが、思ったより脆弱じゃ」


「何か出来ることはあるのか?」


「うーん。ソースを更新するにも、プラットフォームに申請が必要じゃから、【GOUCH】と連携出来んと、どうにもならん。まあ、しばらくは様子見になるかの」


「そうか」


サービスが始まったばかりのYYモードは、思いの外、問題が多い。そこに加えて、ほぼ初となるまともなゲームコンテンツの提供だ。苦労するのはまぁ、織り込み済みだ。


しかし、YYモードビジネスは、先行者利益が明確に現れるビジネスだ。参入が早ければ早いほど良い。


今、悠華さんが見ている登録者数のデータも、分刻みで更新され、どんどん登録者が増えている。


「今日は帰れんのぉ」


とは言いつつ嬉しそうに見えるのは、俺だけだろうか?



「あまり根を詰めすぎないようにしてくれ」


「大丈夫じゃ。たいしてすることもないしの」


「何かご飯を頼むなら、新垣に言ってくれ」


「わかったのじゃ」


「みんなも、悠華さんと一緒に、頑張ってくれ。

必ず、未来に繋がる仕事だ」


「「「はい!」」」



その頃【GOUCH】の担当、鈴原さんは、【NDDT】の子会社で携帯電話事業を担当している【NDDTミンナモ】に詰めて、サーバーについて苦情を入れていた。

正直な話、どの会社もここまでアクセスが殺到するなど、思ってもいなかったのだ。


「一両日中には、なんとかします」


という言質を取って、【GOUCH】に帰社したところ、新垣が憤怒の形相で仁王立ちして待っており、小一時間ほど詰められることになった。


鈴原さん、かわいそうである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ