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ネオンテトラとミレニアム 2

3-2


-1999年2月-


目黒の、とある由緒正しい結婚式場。

快晴に恵まれて、寒さも少し和らいでいる。



「「「「おめでとう!!」」」」


ライスシャワーを浴びて、純白のウェディングドレス姿の女性が、照れくさそうに階段を降りてくる。


誰あろう、青木さんである。


そして横に並ぶ能面のような男、誰だと思う?


税理士の長谷川さんだよ!!



初めて二人で三軒茶屋の俺の家に挨拶に来た時は、ビックリしたよ。


【シャインガレット】の買収時に知り合ったのは俺も知ってたが、その後【シクリッド】でよく会うようになって、何となく付き合うように……との事だ。


「信彦さんが、プロポーズしてくれて……」


なんて青木さんが頬を染めて告白していたが、正直爆発しろ。あの苦虫を噛み潰したような顔の男が、どうやってプロポーズなんかしたんだ。

ていうか、長谷川さんて下の名前、信彦だったんだね。

それより青木さん、どこからその付き合う時間を捻出したんだ?謎すぎるぜ。


もちろん笑顔で祝福した。

青木さんはこのままでは行き遅れてしまう、と本気で心配していたのだ。



皿橋達はもちろん、【シャインガレット】のスタッフを全員招待したから、華やかなこと華やかなこと。

ステファニーさん夫妻や、初めて見る青木さんの兄夫婦なんかも来ていた。長谷川さんの両親や兄弟も居たが、父親、弟さんが長谷川さんと同じ険しい表情をしていた。

これ遺伝なのね。


他に、河内と河内パパ、大口の派遣先、比較的マシな知り合いの投資家も招待した。河内たちについては、この機会に過去の蟠りを解消して欲しいと思ったのだ。


それから、何故かメグ目当てにわざわざ来たっぽい政治家や財界の重鎮たち。メグを囲んで、


「メグちゃんは譲りませんぞ?」


「いやいや何をおっしゃいますやら」


とか楽しそうに歓談している。

何しに来たんだこの人たち。



さて、困ったことに、俺は青木さんの上司で、長谷川さんのクライアントなのだ。披露宴で主賓の挨拶をしなければならない。


「えー、宴もたけなわでございますが、ここで、主賓の挨拶をお願いいたします。新婦のお勤め先でございます株式会社【シャインガレット】代表取締役社長、岸谷順也様!」


何故か、司会は皿橋である。

青木さんのご指名なので仕方がない。

皿橋は大学時代から、こういうMC的なことをやらせると、高いパフォーマンスを発揮する。


拍手の中、ステージに上がる。

こういうの、得意じゃないんだよなぁ。


「それでは、若輩者ではございますが、ご挨拶させていただきます。まずは佐里さん、信彦さん、本日はおめでとうございます!

……ここにいる【シャインガレット】のみんなはご存知かも知れませんが、佐里さんは、私にとって、そしてみんなにとって、とっても大切な、かけがえのない、仲間です」


【シャインガレット】のみんなから、大きな歓声が上がる。


「そして信彦さんは、私が学生の頃から大変お世話になっている、優秀な税理士です。素晴らしい仕事ぶりに、大変感謝しています」


長谷川さん側から、大きめの拍手が上がる。


「そんなお二人が、晴れて結ばれることとなり、大変喜ばしく思っています!

信彦さん、佐里さんを大事にしてください。

佐里さんは、素晴らしい女性です!」


長谷川さんが、珍しく照れくさそうにしていた。


「……そして佐里さん、あなたはこの誠実な男性と、幸せな家庭を築いてください。

本日は、本当におめでとうございます!!」


拍手の中、青木さんは涙ぐんでいた。

若輩者なので、これくらいで勘弁してください。


「短くて、とっても良かったですよ!」


ステージ下で皿橋が声をかけてくれた。

短くて……。


「お疲れ様!」


そして妙子が笑顔で労ってくれたので、報われた気がした。



「さーて、続いては、【シャインガレット】が誇る美女二人の競演による、日本酒一気飲み対決……」


その後、披露宴は新郎新婦をよそに、さらに盛り上がっていったのだった。




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