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パンクジャズ  作者: 林広正
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 普通の本っていうのは、たいていはこの頭の中に埋め込まれている。 古い本ならいつでもなんでも取り出せる。新しい本だって、検索すればいいだけだ。

 映像だって同じことだ。この世界の情報は、全てここに埋め込まれている。そしてそれは、随時更新されてもいるんだ。

 俺たちは生まれると直ぐ、頭とお尻に注射を打たれる。

 頭に打つ注射っていうのは、このコメカミのチップのことだ。こいつに全ての情報が入っているんだ。通信機能も搭載されているから、これによって俺たちは常にその行動を把握されている。誰が監視しているのか、俺には興味がないね。埋め込まれたこいつを取り出すなんてもったいないことだが、行動を把握されるのは困りものだ。まぁ、どんな物にも弱点はあるんだよな。こいつは無理に外そうとすれば爆発する危険な代物ではあるが、その通信機能だけを馬鹿にすることは可能なんだ。完全に機能をなくすなんてバカな真似はしない。適当に安全な街をうろついていると勘違いさせるってわけだ。まぁ、俺はご存知の通りの有名人だからさ、こんな機械がなくても行動が把握されちまってはいるんだが、ヤバい場所へ行くときだけ機能を馬鹿にさせているんだよ。けれどまぁ、それは有名になってからの話だ。以前は常に機能障害に陥っていたよ。俺はまぁ、それなりに危険な場所をくぐり抜けてきたからな。そうでなきゃ、世界を変える発明なんてできっこない。

 コメカミのこのチップは、スティーブと呼ばれている。それがなぜなのか、はっきりとした事実はわからないが、開発者の名前なんじゃないかって噂だよ。

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