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パンクジャズ  作者: 林広正
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 俺にはお前たちが羨ましいよ。手作りじゃないっていうんなら、どうやって手に入れた? っていうか、本物の楽器はやっぱり違うな。こんな音は初めて聞いたよ。

 するとそいつは、声を出して大笑いした。俺たちの音が本物だって? あんたにはそう聞こえるのか? 確かにそうだな。俺たちが使っている楽器は、文明以前から残されている遺品だよ。けれど俺には、あんたらの音の方が本物に聞こえる。俺たちのはただ、文明以前の焼き直しをしているようなものだからな。

 そいつはそう言ったが、決してそんなことはない。本物が持つ音は、やっぱり凄いんだ。俺には出せないその音に、俺はときに嫉妬する。まぁ、だからといって俺は、そいつの真似なんてしない。俺は俺らしく、偽物の楽器で勝負する。そして今では、そんな偽物さえ本物とみなされているんだから、俺もたいしたもんだってことだ。そいつは言っていたよ。あんたらは間違いなくオリジナルだってね。当時は意味のわからない言葉だったが、今ではわかるよ。その後に湧き出たバンドは、どれもがノーウェアマンとライクアローリングストーンの物真似だったんだからな。唯一の存在である元ネタは、俺たちとそいつらだけだってことだよ。

 とはいっても、面白いバンドは結構いるよ。俺には想像もつかない音が、幾つも聞こえている。しかし、どんなに音楽の幅が広がったとしても、その根本は変わらないんだよ。楽しむことを否定した音楽は、存在しないってことだ。俺もそいつも、音を楽しむために音楽を生み出したんだからな。

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