Ep245. アルバートが止まった理由
朝食。
終わる。
俺。
すぐ。
第三の道。
開く。
「エレナ」
『いる』
「アルバート」
「話せる?」
『今なら』
「お願い」
少し。
間。
青い。
淡い。
光。
声。
『ルーク』
「どうして」
「止めた」
前置き。
なし。
『分離を?』
「うん」
『怖くなった』
意外。
「何が」
『外へ出ることが』
ずっと。
出たい。
そう。
言っていた。
「今さら?」
『今だからだ』
アルバート。
声。
少し。
弱い。
『五十三まで』
『離れた』
『すると』
『分かる』
「何が」
『泉の中に』
『いた時間が』
『長すぎた』
俺。
黙る。
『私は』
『自分が』
『どこまで』
『アルバートなのか』
『分からなくなった』
「人格保持」
『上がっている』
「前より」
『そうだ』
「なら」
「良いんじゃ」
『逆だ』
何。
『輪郭が』
『戻るほど』
『失ったものも』
『分かる』
「何を」
『三十二年』
アルバート。
泉。
中。
時間。
外。
世界。
マティアス。
成長。
全部。
自分。
いなかった。
『私は』
『戻れない』
「身体?」
『それも』
『父親としても』
マティアス。
もう。
子ども。
ではない。
犯罪。
裁判。
拘束。
今。
『私が』
『外へ出たら』
『何をする』
「分からない」
『そうだ』
「だから」
『怖い』
少し。
似ている。
エリシア。
第三鍵。
俺。
第三鍵。
役割。
なくなった。
その後。
「でも」
俺。
「分からなくても」
「いいんじゃない」
『簡単に言う』
「俺も」
「まだ」
「決まってない」
『診療所』
「それ」
「最近」
「思いついた」
『私は』
「何か」
「好きなこと」
「ある?」
長い。
沈黙。
『研究』
「やっぱり」
『でも』
『研究で』
『死んだ』
「うん」
『息子も』
『壊した』
「それも」
「うん」
『だから』
『もう』
『やらない方が』
『いいのかもしれない』
「それ」
「自分で」
「やりたくない?」
『分からない』
「なら」
「今」
「決めなくていい」
便利。
でも。
本当に。
そう。
「分離」
「全部」
「しない?」
『分からない』
「じゃあ」
「止める」
『良いのか』
「本人が」
「嫌って」
「言ってる」
「無理に」
「やらない」
アルバート。
しばらく。
何も。
言わない。
『ネイは』
「困ってる」
『だろうな』
「でも」
「怒ってない」
『そうか』
「話す?」
『今は』
『少し』
ネイ。
呼ぶ。
『いる』
「アルバート」
『分離』
『止める』
『知ってる』
「ネイ」
「どう思う」
少し。
間。
『寂しい』
「どうして」
『中』
『まだ』
『いる』
「五十三」
『うん』
『少なくなる』
「それが」
「寂しい?」
『うん』
アルバート。
静か。
『ネイ』
『何』
『私は』
『君の中へ』
『残った方が』
『いいか』
俺。
すぐ。
「それ」
「ネイに」
「決めさせない」
両方。
止まる。
「アルバート自身が」
「どうしたいか」
「先」
「ネイも」
「寂しいから」
「残ってって」
「言わない」
『……うん』
ネイ。
少し。
声。
小さい。
「でも」
「気持ち」
「言うのは」
「いい」
『寂しい』
アルバート。
『聞いた』
『でも』
ネイ。
『残って』
『とは』
『言わない』
大きい。
前なら。
絶対。
言った。
『アルバートが』
『決める』
「そう」
アルバート。
長く。
黙る。
『私は』
『少し』
『休みたい』
「分離を?」
『全部』
「全部?」
『考えることも』
『研究も』
『息子のことも』
『泉も』
「じゃあ」
「休む」
『保存核で?』
「うん」
「必要なら」
「話さない」
『そんなことも』
『できるのか』
「できる」
『何もしない』
「できる」
アルバート。
少し。
笑う。
『贅沢だな』
「三十二年」
「泉の中」
「いた」
「それくらい」
「いい」
『そうか』
声。
少し。
軽くなる。
『では』
『休む』
「期間」
『決めない』
「いい」
『マティアスへ』
「伝える?」
少し。
間。
『伝えてほしい』
「何て」
『父は』
『少し』
『休むと』
「分かった」
『会いたくない』
「今は?」
『そう』
「それも」
「伝える?」
『伝えてくれ』
「分かった」
自分。
決める。
父でも。
研究者でも。
泉の一部でもない。
ただ。
休む。
それ。
必要。
◇ ◇ ◇
通信。
終わる。
ノア。
机。
向かい。
「アルバート」
「休むんだ」
「うん」
「いいね」
「何が」
「僕も」
「時々」
「何も」
「考えたくない」
「それ」
「普通」
「ルーク」
「前世」
「休めた?」
「ほぼ」
「休まなかった」
「だから」
「死んだ?」
「一部」
「原因」
単独実験。
安全。
不足。
過信。
休まない。
全部。
つながる。
「なら」
「休む」
「大事」
ノア。
偉そう。
「知ってる」
「最近」
「覚えた」
◇ ◇ ◇
昼。
マティアスへ。
正式。
連絡。
監察施設。
第三の道。
直接。
ではない。
書面。
本人。
受け取る。
返事。
短い。
『承知した』
それだけ。
でも。
続き。
『父上が』
『私に』
『会いたくないと』
『言ったことも』
『受け入れる』
少し。
胸。
重い。
『以前の私なら』
『理由を聞き』
『無理にでも』
『会おうとした』
『今は』
『待つ』
皆。
待つ。
覚えた。
『父上が』
『話したいと』
『思った時』
『その時』
『聞く』
良い。
「返事」
俺。
『分かった』
それだけ。
送る。
関係。
続く。
でも。
距離。
ある。
それも。
普通。
◇ ◇ ◇
三日後。
村会。
診療所。
土地。
正式。
議題。
村長。
村人。
二十人。
くらい。
集会所。
「ルークが」
「診療所?」
「本当に」
「医者」
「できるのか」
「まだ」
「資格前」
俺。
立つ。
「王立医術院の」
「特例試験」
「受ける」
「いつ」
「一ヶ月後」
「また王都?」
「一部」
「遠隔」
「実技」
「医術院から」
「試験官」
「来る」
王都。
もう。
何度も。
行きたくない。
「受かったら」
「この村で」
「診療」
「する」
「料金」
「高い?」
トム。
そこ。
「普通」
「普通って」
「薬師小屋」
「くらい」
母。
「症状によります」
「なら」
「いい」
「俺の腰」
「また」
「完成してから」
笑い。
出る。
「土地」
村長。
「井戸の東」
「診療所用地として」
「貸与」
「反対」
誰も。
手。
上げない。
「賛成」
ほぼ。
全員。
「決まり」
早い。
「本当に?」
俺。
「何だ」
「嫌なのか」
「違う」
「もっと」
「揉めるかと」
「村に」
「医者」
「欲しいに」
「決まってる」
トム。
「腰」
「それ」
「理由?」
「重要」
皆。
笑う。
普通。
嬉しい。
◇ ◇ ◇
診療所。
建設。
すぐ。
ではない。
まず。
設計。
費用。
材料。
資格。
「一人で」
「払う?」
母。
「また」
「それ」
「聞く?」
「確認です」
「王都の」
「報奨」
「一部」
「村」
「補助」
「医術院」
「支援」
「マティアスの」
「被害者治療基金」
「そこ」
「使える?」
セオドア。
遠隔。
『地域医療設備なら』
『一部』
『可能』
「じゃあ」
「全部」
「合わせる」
「良い」
母。
納得。
「借金」
「する?」
ノア.
「少し」
「返せる?」
「働く」
「診療」
「長い」
「人生」
「ある」
前世。
先。
考えなかった。
今。
何年。
何十年。
ここ。
いる。
つもり。
◇ ◇ ◇
その日の午後。
セラ。
義足。
仮型。
王都から。
届く。
まだ。
完成。
ではない。
寸法。
確認。
「来た!」
セラ。
目。
輝く。
木。
革。
金属。
簡易。
「これ」
「履く?」
「合わせるだけ」
「立つ?」
「少し」
マリア。
ダグラス。
遠隔。
エリシア。
第三の道。
全員。
確認。
「傷」
「塞がってる?」
ダグラス。
『映像』
「見える?」
『見える』
「圧痛」
俺。
「ここ?」
「少し」
「こっち」
「ない」
「腫れ」
「ほぼなし」
良い。
「じゃあ」
「装着」
セラ。
緊張。
「怖い?」
「かなり」
「止める?」
「嫌」
「やる」
義足。
片側。
固定。
「痛い」
「どこ」
「脛」
「調整」
外す。
革。
少し。
削る。
「もう一回」
「うん」
装着。
「今」
「痛くない」
「立つ」
「手すり」
リア。
隣。
「お姉ちゃん」
「支える」
「第三流路」
「まだ」
「使わない」
「まず」
「自力」
セラ。
両手。
手すり。
残った。
脚。
義足。
ゆっくり。
身体。
上げる。
「……立った」
リア。
声。
震える。
セラ。
目。
大きい。
「立ってる」
「うん」
数秒。
すぐ。
「座る」
「もう?」
「最初」
「それで」
セラ。
少し。
不満。
でも。
座る。
そして。
泣く。
「どうした」
「嬉しい」
「うん」
「怖い」
「うん」
「でも」
「立てた」
「うん」
結果。
まだ。
歩けない。
でも。
一歩。
本当。
◇ ◇ ◇
『ルーク』
エリシア。
第三の道。
「何」
『補助』
「まだ」
『分かってる』
「じゃあ」
『明日』
「早い」
『三日後』
「それくらい」
『負荷』
『二パーセントから』
「少ない」
『最初』
「うん」
研究。
姉。
楽しそう。
「村」
「来るの」
「あと」
「一週間?」
『六日』
「数えてる」
『行きたい』
「何しに」
『義足』
「それ」
「目的」
「他」
間。
『診療所』
「それも」
『村』
「それ」
本当。
「楽しみ?」
『少し』
「良い」
『良い』
もう。
普通。
◇ ◇ ◇
夜。
食卓。
セラ。
今日は。
祝い。
少し。
豪華。
「何で」
セラ.
「一回」
「立っただけ」
母.
「十分です」
「鳥肉」
ノア.
「ネイ」
「参加?」
『いる』
もう。
第三の道。
食卓。
普通。
『セラ』
『立った』
「見てた?」
『少し』
「どう」
『良い』
「ありがとう」
『次』
「歩く」
セラ。
「うん」
『待つ』
「それ」
「もう」
「言わないで」
ネイ。
『大事』
「分かってる」
皆.
笑う.
◇ ◇ ◇
食後。
ネイ。
少し。
静か。
「何」
『アルバート』
「休んでる?」
『うん』
「寂しい?」
『うん』
「でも」
『残って』
『言わない』
「えらい」
『えらい』
「自分で」
「言う」
『良い』
「ナエル」
『いる』
「歌」
『昨日』
「今日は」
『休む』
「皆」
「休む」
『良い』
少し。
間。
『ルーク』
「何」
『診療所』
「土地」
「決まった」
『本当』
「うん」
『私』
「手伝う」
『水』
「井戸」
「見て」
『きれい』
「他に」
『地面』
「何」
『水』
『少し』
「地下水?」
『診療所の下』
「近い?」
『うん』
「問題?」
『分からない』
「調べる?」
『うん』
「勝手に」
「触らない」
『同意』
「土地の?」
『難しい』
俺。
笑う。
「明日」
「村長」
「話す」
「井戸」
「掘るかも」
『良い』
ネイ。
役割。
ではなく。
協力。
少しずつ。
◇ ◇ ◇
翌日。
診療所予定地。
簡易。
地質。
確認。
村の。
井戸職人。
来る。
「ここ」
地下水。
ある?」
「浅いのは」
「ない」
「深い?」
「あるかも」
ネイ。
第三の道。
『ある』
「どのくらい」
『深い』
「数字」
『分からない』
「そこ」
「弱い」
『ごめん』
「責めてない」
井戸職人。
「泉と」
「話してるって」
「本当なんだな」
「怖い?」
「ちょっと」
『ごめん』
「今」
「聞こえた?」
「ルークが」
「言った」
「そう」
「なら」
職人。
地面.
見る.
「水が」
「あるなら」
「試し掘り」
「できる」
「診療所」
「専用」
「水源」
「作れる?」
「うまくいけば」
「衛生」
エリシア.
遠隔.
『重要』
「姉さん」
「急に」
『清潔水』
『確保』
『消毒』
『洗浄』
「分かってる」
診療所.
少しずつ.
形.
◇ ◇ ◇
三日後.
セラ.
二回目.
義足.
今日は.
第三流路.
補助.
二パーセント.
「リア」
「準備」
「うん」
「セラ」
「嫌なら」
「止める」
「やる」
紫.
細い.
魔力.
脚.
動き.
補助.
「立つ」
手すり.
上.
「一歩」
「無理しない」
「分かってる」
セラ.
義足.
前.
残った脚.
続く.
一歩.
小さい.
でも.
本当.
リア.
泣く.
「お姉ちゃん」
「歩いた」
「一歩」
「うん」
「もう一歩」
「今日は」
「終わり」
「え」
俺.
「負荷」
「二パーセント」
「十分」
「でも」
「できる」
「できても」
「やらない」
セラ.
睨む.
でも.
少し.
笑う.
「待つ練習?」
「言わない」
「学んだね」
「うん」
成長.
こっちも.
◇ ◇ ◇
夕方.
王都から.
もう一つ.
知らせ.
『アルバート』
『分離停止継続』
『本人』
『休眠希望』
問題.
なし.
『人格安定率』
『六十八』
五十三パーセント.
分離.
それでも.
安定.
「急がない」
俺.
自分.
言う.
「本人が」
「起きたら」
「また」
「聞く」
母.
隣.
「良いですね」
「何が」
「待てるようになった」
「皆」
「それ」
「言う」
「事実です」
少し.
腹立つ.
でも.
否定.
できない.
◇ ◇ ◇
そして.
六日後.
村の入口.
一台.
王都から.
馬車.
来る.
「来た!」
ノア.
走る.
「姉さん」
俺.
道.
見る.
馬車.
止まる.
扉.
開く.
エリシア.
白衣.
荷物.
多い.
「それ」
「何」
「研究道具」
「多い」
「必要」
「泊まり」
「何日」
「一週間」
「聞いてない」
「母さんには」
「言った」
母.
後ろ.
「聞いています」
「俺だけ」
「知らない」
「驚かせようと」
エリシア.
少し.
笑う.
「姉さん」
「そういうこと」
「する?」
「最近」
「覚えた」
「誰に」
「ノア」
「僕?」
「適当」
皆.
笑う.
そして.
エリシア.
村.
見回す.
畑.
井戸.
家.
森.
薬師小屋.
「小さい」
「王都より」
「当然」
「静か」
「嫌?」
少し.
間.
「……良い」
「本当に?」
「うん」
「それなら」
俺.
荷物.
一つ.
持つ.
「ようこそ」
「何」
「村へ」
エリシア.
少し.
止まる.
それから.
「ありがとう」
役割を.
失った姉が.
初めて.
自分で行きたいと.
選んだ場所.
そして.
俺が.
帰ると.
選んだ場所.
ここから.
たぶん.
新しい.
生活が.
本当に.
始まる.




