皇の思い
麻木波留は普通の女性であった。
特別な家の出でもなく特別な能力もない。成績は上の下。
運動神経は中の下。容姿も普通。
なのに何故第3皇子に婚約者と間違われているのか波留には全く分からなかった。
唯一思うことがあれば彼の地が著しい成長を遂げていることであるが、それとかの令嬢は関係ない。
と思われている。
あの日間抜けな顔をして帰っていった第3皇子からその後なんの連絡もない。
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皇は困惑していた。
寵姫の息子がまた馬鹿をやり宮廷中の笑い者になっていることに苦笑するしかない。元々寵姫と言ってもこの国の闇取引の大元を内に取り込み葬るための政策のひとつとしての地位だ。
賢い正妃の一族は何も言わずとも察し協力してくれている。
国に忠誠を誓う者たちも同様だ。
気付いていないのは僅かながらの領地と爵位を一時的に与えた者たちのみ。
親皇派でもなく新皇派でもない彼女が巻き込まれることに申し訳なさは募るが、そろそろ国としてのあり方もハッキリさせたい。
申し訳ないが彼女には国の発展の楔になってもらおう。
やはり血統というものは大切なのだと心に刻んだ。
呼んでいただきありがとうございます。