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PVのように音楽に合わせて、宮瀬のハイライトが続々と切り替わり映される。


 走る宮瀬、

 疾る宮瀬、

 かわす宮瀬、

 空中でラリアットとしか思えないブロックをかわして不安定な体勢からシュートを決める宮瀬、

 ジャンプ中に三度もボールを切り返して内柴にアシストパスを通す宮瀬、

 ノールックでパスを渡す宮瀬、

 オフェンスリバウンドを取ったエゴロフが着地した瞬間にこっそり近づいてボールを

叩き落とす宮瀬、

 空中で弾き飛ばされながらも放ったボールがリングを通過させる宮瀬。

 わざとドリブルを空振りしてディフェンスを惑わして、裏拳でボールを叩いて、ドゥドゥにパスをする宮瀬。

 画面に映るスコアボードが、ドゥドゥの二度目のダンクで逆転を示した。


「う………わぁ………」

 宮瀬の動きに、アタシの目が奪われる。

 震えるほどに、すごい。

 でも悲しくもなる。この試合をどうしてアタシは見れなかったんだろう。テレビの画面越しにしか見れなかったんだろう。テレビのスピーカー越しにしか聞けないんだろう。ギュっと胸がつまる。


 そうこうしているうちに、あっという間に試合終了のブザーが鳴った。 

 福岡 69 - 66 富山

 試合終了の時間にはベンチに下がっていた宮瀬が、コートでプレイしていた味方選手を迎えに行く所で、試合の映像は終わった。


『宮瀬くん、終わってみれば9得点14アシストの大活躍!去年最下位のフライングソーサーズを開幕二連勝に導きました!』

 ナレーションの声が震えている。元日本代表のおっちゃんからみてもすごいと感じるプレーだったんだろう。

『いやいやいやいや、すごいね、この子はぁ。

 あんな同じ人間とは思えないような巨漢を相手に堂々とプレイしちゃって………』

 東京のキャスターの声が割り込んでくる。

『土屋さーん、どうでしたか噂の宮瀬君は?』

『いや、想像以上に凄かったですね。基礎技術の完成度の高さと…特に奇抜なパスセンスには驚きました。最初は、正直ダンクだけの選手かとも思ったんですけど………』

 少し言葉を選んだのか、やや間があって、声が少し硬くなった。 

『ちょっとだけ問題だと思ったのは、ターンオーバーの多さですね…野球で言うところのエラーみたいなものですが。

 ポイントガードというボールを奪われる危険度が一番高いポジションで、どんな一流選手でも平均で2から3ぐらいはやってしまうものなんですが、宮瀬君、これを一試合で5回もしてしまったのはいただけません。

 バスケットはどれだけミスをしないか、が問われるスポーツですので、この辺りは経験不足を露呈してしまいました』

 いったん問題点を示しつつも、すぐに声が明るくなる。

『とはいうもののアシストが非常に多いので充分もとは取れていますが。

 細かい数字になりますが、正確性を示すデータとしてアシスト数をターンオーバー数で割る、というものがあります。

 この比率でいくと5分の14で、2・8となりまして、合格点レベルに落ち着きます』

 震える声に、熱が籠もる。

『若さ故のミスをしたかと思えば、十年来のベテランのようなクレバーなプレイも見せる、

技術や運動能力だけでなく、メンタル面でも底知れぬモノを見せつけてくれました』


 ――――最後に、元日本代表選手 土谷は、こう締めくくった。

『プロでまだ二戦しかしていませんが、断言してしまっていいでしょう。

            この少年は、本物の天才です』

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