第二種接近遭遇
放課後、
「てなわけで特訓すっから、手伝えもやしメガネ!」
「も、もや…?じゃなくて、なんで僕が…ぐえ!?」
まあ、転校してきたばっかりでクラスに馴染んでない感じもしたからさ、強引に連れ出したんだよ。
「あんたケッコー背高いから、ちょうどいい練習相手になるんだよ。突っ立ってるだけでもいいから、来い!」
襟首つかんで、引っ張ってさ。
この、リングの、とこまでね。
「いいかー、ふにゃふにゃメガネ。まず最初にいっとくけどぉ…」
早く帰りたいなーってツラしたメガネに
「バスケは、身長じゃない!」
ありがたーいお言葉を聞かせてやる。
「ハートだ!!ハートのデカさが大事なんだよ!」
「そのぺったんこな胸でよく言うわねアンタ」
「うっさいきーちゃん、回想に茶々いれんな」
「………まるで、アレン・アイバーソンみたいな事を」
「……あれ、ん……?誰それ?」
「知らないの?NBA見ないの?NBA史上一番小さな得点王なんだけどさ」
「知らん、見らん」
「NBAのスターの一人だよ。」
「なんだメガネ、えぬびーえーマニアか。そりゃ世界さいこーほーと日本のバスケを比べちゃつまんねーよな」
だから通ぶってんだな、っていうとメガネが微妙な顔してた。
「で、バスケはやるより見る専門なん?知識だけの頭でっかちか?」
「……………まあ、そんなもんだよ」
だいぶ間があってから、宮瀬が口を開く。今思えば、何かを考えるには充分な時間だったと思う。
「ま、いいや。練習ついでに、アタシがバスケ教えてやるよ」
「いや、別にバスケをやりたいなんて一言も………」
「見るのもいいけど、バスケはやるのも楽しーぞ!」
有無を言わさず、アタシは『特訓』を開始した。
「で、アンタが教えてたんだ?」
「うん、宮瀬のヤツバスケがホント下手でさ。ドリブルもまともにできねーでやんの。シュートも全然入んなかったし」
「……今では考えられないわねえ」
「だからまあ、ほんとに基礎の基礎から教えてたのよ」
「その時にさ、なんかこう…今の宮瀬を匂わせる、天才的なものとかは感じなかったの?」
「全く全然これっぽっちも」




