目ン玉洗ってよく見てみろ!
「身長で負けてるから?…はんっ!それがどうした!」
腰に手をあて、
「スピードでも負けてるから?関係ないやいそんなもん!」 ふんぞりかえって、
「柔道と同じだよ、柔よく剛を征すってさ」
胸を張る。
「いいかぁへなちょこメガネ」
「へ…へな……メガネ?」
「背が低くても、スピードが遅くても…テクニックで勝てるんだよ」
「……30センチ以上の身長差でも……?」
「小さいのがデカイのに勝ったら、気持ちいーじゃん!」
アタシはにっと笑ってみせる。
「それこそが、バスケの醍醐味なんだよ」
宮瀬は一度言葉につまり、目線を逸らした、アタシから。
「…勝てるんなら、ね」
「おー、勝ってやろうじゃないのさ。一ヶ月以内にさ!あのノッポの堀口を倒してやるよ!」
トン、と胸を叩いて見栄を切る。
「チビでスピードもなくて、おまけに女のアタシが、あのキリンモドキをぶったおしてみせるよ!」
「見てろよこのヘタレメガネ!お前の目が節穴だって思い知らせてやる!」
ドーンと指を突きつけて、
「………え?」
ここまでで一番驚いた顔をする。あんぐりと口を開けて、信じられないという文字を顔に張りつけて。
「女の子………だったんだ?」
「目ン玉腐っとるんかー!」
言われ慣れてたので、反応も慣れている。とりあえず、ソッコーで教科書で頭を叩いた。
「こ、こここの健康美少女美夏様を見てな・に・が・男だとぉ!死ね!死にさらせ!」
「おーいオマエラー、そろそろ五限の授業始めていいかー?」
「制裁が済むまで待ってよ先生!」
「まあ、そんな感じの初対面だったわけよ」
「あんたらしいわー」
なぜ呆れ顔になるのか、きーちゃんよ?