宮瀬はNHKだった
▽第二種接近遭遇
ちょっとムッとしたけど、ほらアタシってば心がひろいやん?だから笑顔でこう言ってあげたの。
「なんじゃいこのヘタレメガネ!ケンカ売ってんの!?」
びっくりしてクラス中の目が集まる中で、
「…事実をいってるだけだよ」
暗い顔して、目線をそらして、メガネは呟いた。
「………バスケなんか、一生懸命やっても仕方ないよ。
身長も、ジャンプ力もない日本人には……バスケは不向きなんだよ」
メガネはなんかを諦めるように、言ってた。
「………何より、全くお金にならない」
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「宮瀬のヤツ、ホントにそげなことゆうたと?」
「うん、あのころの宮瀬は…なんかバスケを嫌ってた」
きーちゃんのびっくりまん丸な目がおかしくて、プッと吹き出しつつ答える。
「ただのスポーツ嫌いの運動音痴だと思ってたのになぁ…」
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腰に手を当てて、そのいけすかない奴にイヤミをいってやったのさ。
「なんだお前、NHKか」
「え…えねえち、けえ…なんで?」
なんで国営放送?と目を丸くして、初めて戸惑いを見せた宮瀬に、アタシは笑い飛ばしてみせる。
「N→にほん
H→へなちょこ
K→きょうかい
の略でNHKだよ。
日本人はへなちょこだからスポーツで〇〇に勝てないって通ぶって言いまくるヤツだよ」
ぽかん、と口を開けた奴の鼻先に指を突きつける。
「お前みたいに、さ」
むぐ…と言葉に詰まった。