第一種接近遭遇
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アタシが小学四年の時、タカショーナンバーワンを決めるワン・オン・ワン対決をいつも昼休みにやってたんだ。
ほとんどが男子の中で、ミニバスやってたアタシはそこそこ上位の方にいた。
でもトップに行くには、デカイ壁があったんだ。
その頃のアタシには、どうしても倒せない奴がいたから。
二つ上の六年生。野球やってる堀口周作ってヤツ。今は大御濠高校に行って甲子園目指してるはずだけど。
その時点で身長180センチ。
アタシはまだ140あるかないか…なんだよ。小学校からあんまり育ってないとか言うなよ、バカ。
相手は技術は大したことないけど、持ち前の運動神経活かして全勝してやがった。
ダンク出来たしな、堀口のヤツ。この小学生用の、高さ275センチのリングでだけどな。
とにかく、小学生としては反則的な強さだったんだ。今思えば、鬼頭ほどじゃないけどな。
そいつに勝つためにアタシは色々工夫してたけど、なっかなか勝てなくってさ。
その日も、勝てなかった。惜しいところまではいったんだけどさ。
「勝てるわけないのに……」
教室に帰って席に着いたら、ボソッとした声が聞こえた。
「あん?」
「どうして、そんなに必死にやるの?」
転校してきたばかりのヤツが、話しかけてきた。昼休み、クラスの窓から校庭のアタシ達を見てたらしい。
根暗で、やな感じだなって思った。
嫌いなタイプだった。