決着
攻める宮瀬、護るヒューストン、二人の鍔迫り合いが繰り広げられる。
スリーポイントを打たせまいと、デイビスが南部への警戒を高める。
それを…
「んごふ!?」
内柴がスクリーンアウトで、合法的に守備妨害。
内柴の肉の壁にデイビスの足が止められる間に、南部がフリーになる。
絶好の機。
宮瀬が、見逃す筈がない!
左45度の宮瀬から右エンドラインの南部へ、ボールが渡る!
内柴の妨害から抜けたデイビスとゴール下から出た松岡が南部へ飛びつき…
「はい、ごくろうさん」
……南部は、おちょくるようにボールをリターン。
松岡が抜けて手薄になったペイントゾーンへ走り込んだ…宮瀬に!
宮瀬スピードに乗ったまま右から来たボールを、手首の返しだけで、パスの勢いを更に速めて、後ろに流す。
宮瀬はそのまま、自分より遥かに大きな大岡にスクリーンを仕掛ける。
「!?」
追いすがるヒューストンがボールの方に顔を向けて……
「ァアレズァシエール!!」
フリースローラインから一歩分踏み込んだ所から飛び込んできたセネガルの悪魔に、頭上を越えられた。
「…と!?」
『飛び越えたー!?』
175センチのヒューストンを跳び箱のように飛び越えて、リングがへし折れそうなほどのダンクが、三連続で富山を叩き潰した。
93ー91
『スラムダンク王ドゥドゥの人越えダンクー!
まさか、まさかまさか実戦で見られるとは、思ってもいませんでしたぁ!!』
マイケル・コールが発狂しそうな勢いでアナウンスする。
「おいおい…ダンクっていうレベルじゃねーぞ!?」
観客も、興奮が限界突破。叫び声がこだまし続けて止まらない。
「ダンク以外に能のないドゥドゥが…こんなに試合中で活躍できるとは!!」
「そのポテンシャルを引き出せる宮瀬のパスがすげえよ…」
宮瀬を起点とした、ドゥドゥの三連続ダンクは富山ゴールデンナゲッツの戦意そのものを完全に挫いた。
残り時間エゴロフだけは淡々と点を積み重ねたものの、他のメンバー全てがミスし続けて、一気に突き放される。
大して福岡は宮瀬のパスを中心に、楽々と点を増やし、 そして、止めに…
残り三秒、宮瀬の手から離れたボールはリングを通過して、3点が加算された。
「だめ押しだー!」
103ー95
『宮瀬、十四点!!』
声が嗄れてきたマイケル・コールが、それでも声を張り上げた。
得点が宮瀬の…アタシ達の年齢に到達する。
そして…試合、終了の、ブザーが、鳴った。