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41/61

うは、ディフェンス涙目www

 後田がチッと舌打ちした。

「猫の子一匹通れやしねえ」

 うん、確かにヒューストンのディフェンスは固い。ヒューストン1人で、クラスマッチの時の男バス三人組に囲まれた時並のウザさがあるだろう。


 白熱する宮瀬とヒューストンの1on1。

 ドリブルで果敢に抜き去りにかかる宮瀬を、

「そこ!イッちゃえ!……ああ!?」

 ヒューストンが先周りして阻止し続ける。

 アウトサイドで繰り広げられる攻防。剣道の鍔迫り合いのようにヒシヒシと高まる緊張感。

 スピンムーブも先回りされて止められた宮瀬が、

           楽しそうに

             笑った。

「ナオキ!」

 自然と、声が出た。

 ――――張り上げてた。

「みぎ!」

 反応は即。

 宮瀬の死角からボールを盗もうとしたデイビスに気付く。 

 右手のドリブルから左手にチェンジ。

 そのまま右手で突っ込んできたデイビスを抑える。

 ボールは宮瀬の左手から離れて、ヒューストンの真下を潜る。

「あ」

 っというまに、

「ぶち破った!?」

 デイビスとヒューストンがお見合いをした僅かな僅かな、ほんのわずかな隙間を、宮瀬がぶち抜く。

 息を飲んでいた観客が歓声をあげるより早く人間山脈へと飛び込んだ。

 宮瀬が跳ぶ、

 フリースローライン手前で、

 リングより遥か遠くから、

 必死にブロックに跳ぶ大岡と小嶋を馬鹿にするかのように

 レイアップの体勢から高く高く、ボールを放り投げた。

「う・上手い!」

「これは止められねぇ…」

 前橋と鬼頭が揃ってうめいた。


「ループシュート?」

 サッカー部の有田が言うように、ボールはループを描いて、リングの間をすり

抜けた。


 87ー88

 宮瀬、十一得点。

 点差が1に縮まる。

「今の、アンタの得意技じゃない?」

 きーちゃんがアタシをヒジでウリウリしつつ聞いてきた。

「う、うん。ティアドロップ…だね」

「は?今のフローターって言わねえ?」 後田が突っ込んでくる。

「ハイループレイアップじゃねえの?」

 富山の全選手ががっくりと肩を落とす中、アタシ達の「さっきのシュートの名

前は何か」議論が始まろうとして

「き・め・ました〜!宮瀬君のティアドロップゥ!!」

 DJマイケル・コールのアナウンスに、中断された。

「ブロックすら出来ない、ファールすらできない、ディフェンス涙目の宮瀬君のと・く・い・技〜」


 アナウンスに、アタシ達はポカン、と口を開けてしまう。 シュートを決めて

あたしに近づいて来る…もとい、ディフェンスに戻る宮瀬がさりげなくアタシに

向けて、ウィンクしてきた。

 あっ、やば、なんか身体ビリビリする。

(宮瀬…あん時の事、まだ…覚えてるんだ……)

 体が震えて、手の中のメガネを落としそうになる。


 このプレイを皮切りに………宮瀬の3Qにやられた分のお返しが始まった。



 このティアドロップとかハイループレイアップとかフローターとかいうものは正式名称が決まっておりません。

 ほんとにサッカーのループシュートみたいなものです。

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