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クラスマッチ

 男子テニス部の高崎と、女子で1番背の高い桑田さんがいる2組との2試合目はもう少し歯ごたえがあった。


「くっそ!誰か相羽を止めろぉ!!」

 2組の高崎がイラつき気味に叫ぶのをアタシはニヤリと笑って返した。

「へへ、止めれるもんなら止めてみなー!!」


 アタシを止めれる奴は、あんまりいない。

 

 どこと練習試合をしても、大会にでても、アタシを止めれる奴は、あんまりいなかった。


 バスケは身長がものを言うスポーツ。

 305センチのリングの下では、194センチの鬼頭のような奴がいたらアタシみたいな140センチのチビじゃあ勝負にならない。

 パワーとごり押しの肉弾戦が行われるゴール下は正しく戦場。

 でも、ゴール下だけがバスケのコートじゃない。

 広いアウトサイドで、スピード・クイックネス・テクニックの全てを駆使して、相手を翻弄するのも、バスケの重要な戦術。


 そこでは、ゴール下ほど身長の絶対的有利はない。

 

 小さな体の低いドリブルは、相手にボールを奪われにくい。

 だから、アタシは果敢に突っ込んでいく。

 味方がハラハラするくらい、切り込んでいく。

 コーチが無謀だというくらい、ぶつかって行く。


 ダブルチームに来た。

 アタシ一人を止めるために、2組のディフェンスは二人をアタシにつかせてきた。

 でも――――

          (甘いよ!)

「あ!?」

「きゃん」

 二人の間を中央突破して、アタシは一気にリングへ迫る。

 オオッ!!という歓声を背にアタシはリングへと飛び立ち………

 あっさりと、ボールをリングに『運んで』入れた。


 4 − 4 


「よし、同点!!」

「ナイス!美夏ナイス!」


 先行されてた分を取り戻して、ギャラリーから歓声が沸き起こる。


 次の2組のオフェンスは勝負を焦った高崎が3ポイントを大外しして、あっさりアタシ達の攻撃に戻る。

 檜山さんのリバウンドからアタシにボールが渡される。

 アタシはすぐにフルスロットル!


 目の色を変えて、アタシに殺到する2組男子(名前なんだっけ?)に

(ば〜か♪)

 と心の中で舌を出して、


「おお、スピンした!」

「みなきち〜かっこいいぞ〜!!」

 スピンムーブで置き去りにする。


「速攻!!」

 中央線ど真ん中を全速力。

 アタシの叫びにきーちゃんと宮瀬が続く。

 きーちゃんが左、宮瀬が右。

 相手のディフェンスは男子テニス部の高崎と、桑田さんの二人。人数はこっちが有利。

(へへ、ちょっとすごいのみせちゃおっかな)

 アタシのイタズラ心が刺激されて、なんかみんなにスゲーと言われる事がやりたくなった。

(な ☆ に ☆ し ☆ よっ ☆ か ☆ な ☆)

 全速力のまま、左手ドリブル、頭は楽しい事高速フル回転。


 リングに近づいても、二組の二人はゴール下から動かない。

(それなら!!)

 ピン、ときたプレイを実行する。


 右見る。宮瀬が付いてきてる。

 ボールを持って左手、右に振る。高崎、宮瀬をチェック。

(あは、まんまと騙された♪)

 べっと舌を出して笑って、ボールを左手から右手にスイッチ。そして

「ノールック!?」

「すっげーーパス!!」

 右手のボールは背中越しに左45度3ポイントラインにいるきーちゃんへ届く。


 きーちゃんは完璧などフリー。

 プレッシャーのない、ほれぼれするような、綺麗なロングシュート。


 シュパ、といい音を立てて3ポイントが決まった。


 7−4


 高く澄んだ笛が鳴る。

 試合終了!

 1組勝利!!


「相羽すっげーなー」

「さすが女バス部長だけあるなぁ」


 うふふふ、聞こえる聞こえるアタシへの賞賛の声が!

 もっと褒めてプリーズ。

 アタシは褒められて伸びる子なのだ。


 女バスでのアタシのプレイスタイルは、

 味方に点を取らせる司令塔であり、

 切り込み隊長であり、

 一番の点取り屋なのだ。

 

「相羽さん、ナイスプレイ」

「こ、こら、こどもじゃないんだぞ、頭なでんなぁ!!」

 コートから去り際、死角から髪をぐしゃぐしゃにしてきた宮瀬に噛み付く。


「試合してて思ったんやが………」

 折田が話しかけてきた。

「お前、黒猫みたいやの」

「黒………猫?」

「ああ、黒猫。にゃー」

「にゃー?」

 鸚鵡返しに、きーちゃん。

「みゃー」

 続けたのは、宮瀬。

「ぶなー」

 年寄り猫の真似で返す折田。

「しゃー!」

 アタシは爪ひっかきのポーズを作る。

「………え、えっと?」

 困惑する檜山さんのところで、バカな寸劇は中断した。

「あー、檜山さんノリ悪い〜〜」

「おし!もっと空気読んでコ!!」

 きーちゃんと折田がイジり、野次る。

 檜山さんはしばらくおろおろしてたが、

「みゃ………みゃあぁ………」

 肩をすくめて、顔を赤らめて、精一杯の猫真似をした。

「ナイス猫」

「ナイス猫」

 ぱちぱちぱちぱち、拍手。

 生真面目な檜山さんの貴重な猫真似シーンはいかがでしたでしょうか?次回のイジリをご期待ください。


「てゆか、相羽さんの『シャーー!!』もどうかと思う」

「コマカイコトハキニスンナ、メカメガネ」

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