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推し活OLと天然副社長の溺愛勘違いLOVE  作者: 玲宏 優裕
第2章:至近距離の「供給」と包囲網
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第25話:神宮寺本邸へ殴り込み、隣の男(似)が私を「女帝」に任命しました

 神宮寺家の総本山、鎌倉にある広大な敷地の本邸。


 黒塗りの車に押し込められた……のではなく、湊さんはあえて自分の愛車を爆走させ、正門を文字通り「突破」して庭園に乗り入れた。


「……湊さん、門が! 国宝級の門がひしゃげましたよ!?」


「気にするな。あんな古臭い木片より、君を待たせないことの方が重要だ。……さあ、行こうか。花音」


 湊さんはタキシードを完璧に着こなし、私の手をとった。

 ……供給。……月夜に照らされた、反逆する王のような「冷徹な推し顔」の供給。

 彼は怯える私の腰を抱き寄せると、重厚な大広間の扉を蹴破らんばかりの勢いで開け放った。

 そこには、祖父・龍之介を筆頭に、親族一同が勢揃いしていた。


「……湊! 恥知らずにも、その女を連れて戻ってくるとは!」


 親戚たちの罵声が飛ぶ。だが、湊さんは不敵に口角を上げた。

 その表情。KYLOカイロ様が主演映画『革命のチェスボード』で見せた、敵陣のど真ん中でチェックメイトを告げる不遜な笑みと、完全に一致。


「……勘違いするな。俺は『戻って』きたのではない。……この家のあるじを、今から『交代』させに来たんだ」


 湊さんは懐から一通の書類――神宮寺グループの主要株主たちの署名が入った委任状を取り出し、龍之介の目の前のテーブルに叩きつけた。


「……じじい。君が老後の趣味で会社を振り回している間に、俺は君の息のかかった役員全員を、俺の新会社『MINATO & K』の傘下に引き抜いておいた。……今、この瞬間に、神宮寺の全権は俺の手に移った」


 静まり返る大広間。龍之介の顔が、怒りと驚愕で土色に変わる。

 湊さんは、震える私の手を全親族の前で高く掲げ、雷鳴のような声で宣言した。


「……いいか、よく聞け。……今日から、神宮寺の『真の主』はこの俺だ。……そして、俺が愛するこの瀬戸花音こそが、この家の新しい『女帝』であり、俺の唯一無二の正妻となる。……彼女に不敬を働く者は、神宮寺の血筋であっても一文無しで叩き出す!」


(……ぜ、全権掌握!? 宣戦布告から決着までが、推しの新曲のMVより早いんですけどぉぉぉ!!)


 湊さんは腰を抜かした龍之介を見下ろすと、私の肩を抱き、全親族が見守る中で、私の額に深く、誓いのキスを落とした。

 ……天然。彼は「合理的な経営判断」をしたつもりだろうが、その行動は、愛する女を世界で一番高い場所に座らせるための、狂気的なまでの「騎士道」だった。


「……花音。……怖かったか? ……もう大丈夫だ。……この家のすべてが、君の遊び場だ」


(……遊び場!? こんな博物館みたいな家で、私はどう『推し活』をすればいいんですかぁぁぁ!!)


 神宮寺湊の「天然な傲慢さ」は、ついに「一族の長」という最強の称号を手に入れ、私を「逃げ場のない王妃」へと仕立て上げた。

 私の『推し活OLライフ』は、ついに『世界を支配する男の、唯一の弱点にして最愛の妻』という、全オタクが五体投地する伝説の「ハッピーエンド(中締め)」へと到達したのだった。

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