22:森の中へ
『騎士のソニア【22:森の中へ】』
大書庫で見つけた書籍の続きを読んだソニア。
(ソニア)「タイダル。あいつは魔人を知ってる…。タイダルには昔からよくしてもらってるが、あいつに関しての謎も多い。そうえば、"ずっと若いまま"だな…。」
ーバフッ…。ー
暗くなった木造の天井を眺める…。
「まぁ、それはあとにしよう。ひとまず、俺のやることは決まった。魔人に対する迷いは、まだ決まらないけど…。」
サンと魂吸族:ルナ。二人に対するソニアの行動は決まった。
だが、故郷を襲撃した魔人。彼らにも何かあるように思えるが、
まだ結論は出せず朝を迎える…。
ー霧がかりの森ー
タイダル・オーシャン付近に位置する霧深い森。
いつしかそこは、立ち入ってはいけない迷いの森であると噂されるようになった。
ーサァァァ…。ー
警告するかのように、肌寒い風が吹いている。
(リットリオ)「ここか。霧深い森。犯罪を起こしやすい環境だな。」
(ヤチェリー)「霧が出るって言ってたけど…。」
「もはや一歩先程度しか見えませんね…。」
(ソニア)「慎重に進むぞ。はぐれたときは、俺の力を使う。…よし、行くぞ!」
ーーーーー
ーザッ…。ザッ…。ー
森へと入ったソニア達。先の見えない森を一歩ずつ慎重に進んでいく…。
ーフシャアアアアア…!!!ー
突如、霧の濃度が増していった。
(皆)「…!!!」
ーシュゥウウウウ…。ー
ソニアは剣で霧を払い、辺りの視野を確保した。
(ソニア)「みんな…!っ…。離れたか…。」
ーヂュミミミ…!!!ー
みんなとはぐれてしまったソニア。波動を纏わせ、みんなの気配を探す。
霧深い静かな森。極限の集中状態へと近付けられる環境だ。
「…よし、進もう。」
ーーーーー
ーガサガサ…!ー
「もう少し…。開けた場所…。」
ーバッ…!!!ー
「…!」
草を掻き分け進んだその場所に、本で読んだ景色が広がっている。
「あの館か…。現実なんだよな…。」
ードス…!ドス…!ー
森に足音がより強く響く…。
「ポゼ…?いや違う…。」
ーガコン…!シュウウウ…!!!ー
展開した機械から霧が大量に噴出された。
「…!霧の正体…!」
(空の化身:ヘリヌス)「森に入った者を探しに行っていたが、すれ違いだったとは。だが、今目の前にいる。」
「待ってくれ!話を聞いてくれないか!」
「私は決めたことがある…。迷いは捨てると。話を聞いてほしければ負かせてみろ!!!後悔などしないよう、森を破壊する気でいくぞ…。」
ーーーーー
(ヘリヌス)「…!!!」
ーガコン!ギュイーン…!!!!!ー
ヘリヌスが纏う機械が更に展開する。胸の輝きも増し…。
「本気で撃つ気か…!!!」
ーキュイーン…。ドオオオオオオオオ!!!!!ー
(ポゼ)「ソニア!!!」
ーブオオオオオオオオ!!!ー
両者のブレスが激しくぶつかる。
「急いで…!長くはもたない…!!!」
(皆)「…!!!」
残りの四人でヘリヌスの胸部を狙った。
(ヘリヌス)「…。」
ードスン…。バキ…。ガラガラ…。ー
体制を崩したヘリヌス。機械の一部が取れてしまった。
(リットリオ)「まだやるか?」
(ヘリヌス)「いや、もうやめておこう…。」
(ヤチェリー)「酷い火傷…。」
ヘリヌスの巨体には、消して消えない跡が残っていた。
「…昔の傷だ。痛みはとっくに消えているが、見た目がいいわけではない。
だから隠しているのだが…。私の昔話などどうでもいい。君の力を見て確信したよ。"ソニア"。」
「俺の?」
「あぁ。"波動、古き友人達の力"だ。そんな友である君と、その仲間たちに頼みたい。もう、私が関われる状況ではない。館へと入り、ルナを助けてほしい。どうやら、既に中に入られてしまっている…。」
「昔のことは知らないけど、任せてくれ。」
ーダッ…!!!ー
ルナを守るヘリヌスと最悪のタイミングで出会ってしまった。ルナとサン。
両者の戦いを止めるため、館へと急ぐ。
「ソニア。誰の子孫であろうかと思ったが。…君の子ならば。」




