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神様の悪戯で異世界では白目を剥いている  作者: 豚肉の加工品
〈コールランド〉 —— 〝セフィロトの樹〟 ——
9/14

精霊騎士  2

澄んだ空を舞うエルフの民。

優雅に、そして無駄のない洗礼された空中での移動はまるで妖精のように見え、〈コールランド〉の姿をより一層表しているようだった。


「魔方陣――――描き終わった」


「こちらも終わりました、マクティ組長」


「こっちも終わったぜぇ……マクティ」


まるで大空を覆うようにして描かれた巨大な魔方陣の完成を報告する各団員。

人数は四人だが、力の圧力が空気に霧散しているために膨大な力場を発生させていた。


「…………揃ったね」


第一席組長、第一席組長補佐、第二席組長、第三席組長。

精霊騎士団の中で最強と言われる組長たちの半数とその補佐が一人。その四人と戦えるのは他組長を除けば〈コールランド〉にはいないだろう。

それほどの戦力が総出で動いてようやく(・・・・)探知魔法に歪みが生じる。

力という存在には力を当てることで均衡を保てるものだが、この四人が力を当てているにも関わらず未だに探知魔法が安定していない。

だから、この広大に広がった緑の大地を利用する。


「強制召喚魔法――――全員、用意は良いね……あぶり出すよ」


「いやぁー気分がいいねぇ!! これだけの強敵がこの世にいたことに乾杯だぁ!!」


「パパ……これ以上酒盛りするなら――――ママに報告する」


「お、おいライズ……!! それは勘弁してくれぇ」


「マクティ組長。いつでもいけます」


「緊張感ないなぁ、そしてルフガンは通常運行だね」


四人がそれぞれで描き繋げた魔方陣、あとは魔法として完成させるだけの状態。

森の過剰破壊を防ぐために外では騎士団総出の防御結界魔法を施してもらっている、もちろん自分たちも自身が今できる最高の状態で戦場に立っているわけだが……


「(心は穏やかじゃないな……)」


揺らぎ、不安定なまま形を作ろうとしている心を覗くに全員が思っていることは同じだろう。

〝勝てる勝てない〟ではなく〝守れるか滅びる〟か。


「さぁ、魔力を込めるよ!!」


「「「はっ!」」」


先程までの緩んだ雰囲気は一切なく、完全に精霊騎士の上に立つ者としての面構えに変わった四人が込めた魔力の勢いは天に届き――――日輪の如く輝きを放つ魔方陣が完成した。


強制召喚魔法という魔法は非常に困難で理解がしにくい魔法であることは重々承知している、それは魔法というものを扱う者ならば全員が分かっていることだろう。

何も分からない得体の知れない存在を特定し、強制的に呼び出す。

もはや埒外の域だ。普通でも異常でも出来ることではない。

ただそれはこの四人には当てはまらない常識であった。

「国を守るために身を投じる」

それは確固たる意思であり、決して歪むことのない力へと変わる。

何も分からずとも得体が知れなくとも…………国にとって脅威になる可能性が少しでもあるのならば、やらなければならないのだ。

その〝脅威〟を探し、排除することが使命。

その意思があるからこそ特定することが出来てしまう――――


「来るぞッ!!」


第一席組長であるマクティが真っ先に魔力剣を作り出し、眩い光と身が押しつぶされそうになるほどの魔力に当てられたまま前に立った。

それぞれが緊張する中、全員の心が重なった時――――それは現れた。



「…………え?」



無地絹の半そでと短パンを着用した人族、その服は汗で滲んでいる。

体が湯気上がるほどに動かしていたようでほんの少しだけ疲労が見える。


「――――は?」


だが、足が震えて動けなかった。

恐怖という感情ではない。それならばマクティたちは足を止めたりはしない。

エルフ族であるから…………理解させられた。

これ以上ない強い輝きが、心の強さが――――そして〝それ〟がただの人族ではないことを明確に証明している存在が、


「聖なる神の(あかし)――――あれが…………」


「神聖……紋?」


「しかも、身体中に…………こいつぁ、とんでもねぇのが来たな」


刻まれていたのだ。


「君が――――力場を歪ませている正体か?」


マクティは驚きのあまり締まった喉から声を振り絞った。

これまで二百年以上の時間を生きて、そして鍛錬してきたマクティですら圧倒する内臓された力。

マクティの様子を確認した三人はより一層気を引き締める。


「…………え、知らないけど? それよりも突然何だよ、この状況。全員が物騒な雰囲気だな」


「ボクはこの〈コールランド〉を守護する精霊騎士団の第一組組長のマクティって言うんだけどね。最近になって力場が原型を留めないくらいに歪めていてね? その正体を突き止めた結果で君が強制召喚されたわけなんだけど――――何か知らないかな?」


「いやぁー知らないな。その精霊騎士団ってのは知ってるけど」


「どうして?」


「二日前に襲われて……返り討ちにしたというか、何と言うか。そんな感じだ」


正確に説明するのは難しい。

自分が襲われたかと言われれば襲われたかもしれないと答えることが出来るし、単なる二次災害だと言われてしまえばそれまでである。

だが、深くは説明する気が一切の欠片もない結人はエルフ相手に適当に答えてしまったのだ。


「それは男女でしたか?」


その一瞬の心の揺らぎを、エルフであり精霊騎士団の精鋭である彼らは見逃さなかった。


「あぁ、そうだった。女の人二人に男が一人」


「一人は全身陥没骨折、一人は下半身粉砕骨折にあばら骨が全損、一人は胴体が貫通していました。やはり人族の――――貴方の犯行だったんですね、人族の勇者(・・)


「ゆ、勇者!? どこにいんだよ、そんなの」


「…………貴方でしょう?」


ルフガンの表情に怪訝が浮かんだのは無理もない。

何故なら結人の心が全く動じない、寧ろ少し怒りを感じたくらに見えたからだ。


「俺なわけねぇだろッ!! いいか、勇者ってのはな…………――――――」


そこから始まる結人直伝の勇者理論。

ただ聞いてるいるだけで熱が伝わってくるほどに真剣で、心の輝きも変わりない。

だからこそ結人が本気で話していることが伝わったルフガンは、呆然としたまま聞くことになってしまった。


「――――ってことだ。分かったか? それに俺は魔法なんて使えないから今魔法の修行中だったんだよ、それを邪魔してきた挙句に勝てに敵視してきてよ……。何なの? エルフってのはそんな争いが好きなの? どいつもこいつも全く話し合う気がないの?」


最初の出会いからいい方向に進んでいった。

醍醐味である魔法を堪能し、異世界というもの経験していることが何よりの楽しさである。

だがそれが同時に度肝を抜かれる出来事を作り出していることが何よりの心地悪い。

やろうとしているところで止めらる気分と似ているからか、どこかやるせない。


「で、どうして俺をここに呼んだんだ? 話し合う気がないならそう言ってくれ、俺は帰らないといけないんだからよ。今すごい良いとこだったのによ」


「じゃ、じゃあ……名前と教えて貰っていいかな? それと〈エクシード〉のどこらへんから来たのか、報告だと〈ヴァビロニア〉にも行こうとしていたそうじゃない。ボク個人としては色々と答えて欲しいことがあるんだよね」


「神聖紋のこと――――ワタシ知りたい」


「オレは……特にないなぁ」


「私も特に」


強大過ぎる力を持っている。

だが、窮屈さはない。寧ろどこか隙だらけな結人の姿に精霊騎士団の四人は警戒心を和らげた。

あまりにも拍子抜けしたことによって二人は興味を示し、二人は興味をなくしてしまう。

ここで誰しもが「自分たちにとって脅威ではない」と思ってしまったのだろう、危険は感じるものの恐ろしさが感じない部分に、そう思ってしまうことは仕方がないことなのかもしれない。


「まずは一つ目、俺は元々この世界の人間じゃないぞ。何か知らないけど神様から連れて来られたんだ、だから四種族の関係とか知らん。というよりも興味がない。ただ俺のことを巻き込まないでくれたらそれでいい。次に二つ目、この神聖紋とやらのことは俺にも分からん。意識すると体から浮かび上がるんだよ、何か刺青してるみたいで気分はあんまり良くない」


「異世界からの……迷い人? なかなかに不思議な人間だと思ったらそういうことだったのか」


「そうだ。だから無理やり価値観を押し付けてくるなよ、本当に分からないから」


長い時を生きているからなのか、それとも何か知っているためか。

エルフ族はどうにも受け入れというか、理解をしてくれるというか…………異世界から来たと言ったところで誰も反応を示さないのが逆に恐ろしくなってくる。


「神聖紋の力は?」


「えー……すごい?」


「どのくらい」


「億の位?」


「へぇ…………――――」


瞼がピクッと反応する。

強い攻撃的な意思を感じた途端、目の前からエルフの女性の姿が消えた。


「いきなりだな」


そして結人の意識に殺気という形で伝わった瞬間、神聖紋で輝いていた結人の体か更に輝きを増し瞬時に戦いへと意識を向けて、《武神の加護》のトリガーを引いた。

それからの景色は思わず笑ってしまうくらいに止まって見える(・・・・・・・)


「(歩行術……やっぱり武道の知識はこの世界にもあるみたいだな。わざと殺気を飛ばして意識を驚かせた一瞬の虚をついて姿勢を低く高速前進する。魔法での加速もあるってなると〝縮地〟が瞬間移動に感じるのはあながち間違ってないな)」


完全に止まって見えている少女を見て、どこか納得するように頷く結人。

やはり彼は二次元の住民。ラノベや漫画によく使われている〝縮地〟という技術を淡々と観察していた。

それこそ〝縮地〟という技術の使い方を知っているからこそ、ラノベや漫画に出てくる瞬間移動する〝縮地〟に対して武術に対する冒涜だと思っていた結人であったが、本物を見てしまうと納得せざるを得なかった。


「(でも〝縮地〟の使い方がなってない。魔力剣を握っているところから見るに一撃一殺の剣士だな、そして少しでも意識を誘導された奴はこの女の姿を見失い背後から斬り伏せられる。二次元にありがちな剣士設定だけど、まさかエルフがこの戦い方とは…………何か萌えるな)」


もちろん、止まって見えてるだけで結人だって体を動かせるわけではない。

時が止まっているわけではない。感覚が極限までに研ぎ澄まされたことによる超思考力の結果が脳みそに時が止まっているように見せているだけだ。

だからこそ考えることも出来る、ゆっくり観察することが出来る。

例えるなら野球選手が集中している状態でボールが止まって見えている時のような、黙々と作業をしているなかで声を出すことなくパートナーと共同作業をしている時のような感覚の更にその先の次元。

そして、戦いの中で見えているということは物凄い大事なことである。

それこそ戦武術という特殊な戦い方をする結人にとっては命に直結するほどに重要なことだ。

戦武術の真髄というものはありはしない――――戦いに勝敗をつける。正確に言うならば相手を殺して、自分は生き残る。

単純で明快な答えであり、戦いにおいて最も難しいことである。

そのためには戦うための技術や知識というものを体に染み込ませておかなければならない。

環境に関わらず、自分の体を極限まで使いこなす。

一つ一つの動作に確実性()を持たせる。

どんな攻撃もいなし、どんな攻撃に対しても合わせられる。

どんな体制からでも、どんな状況でも攻撃をできる。

どれもこれも戦武術にとっては、至極当然のこと。

加えて、今の結人には神聖魔力と神聖紋による身体強化――――《武神の加護》が付いている。


「(魔力の剣を軽く弾く、視線から少し外れて意識の中に虚を作って〝縮地〟による移動の加速を加えてあばらに三発)」


空気が進む太い音が耳元で鳴ると同時にスローモーションで出来事が進んでいく。

意識すれば止まって見えることとスローモーションで見えることを分けることが出来た。

これも全ては魔力の使い方を教えて貰ったからだ。


「早く戻らないと、ヴァーリエが待ってるかもしれないしな」


魔力を拳に集め魔力剣を体の外側へと弾き、体重移動によって相手の視界の斜め下に向かって移動する。


「え?」


魔法を肉体で防いだこと、瞬きするころには既に首と胴が離れているほどの速度。

もはや神速とも言える領域にいるライズの速度に平然と着いていったことに驚き、ライズだけではなく三人とも口をほの字のまま開けっ放しだ。


「視線の死角を……そして縮地による体重移動を流さずに状態を起こした」


エルフの中で武術に最も秀でているバライグが低い声呟いた。

愛娘であり武術と剣術を巧み操る第三席のライズの姿をよく見えているからこそ、結人の動きの流れが微かに見えたのだろう。

〝縮地〟を〝縮地〟で押し返されることがあれば、あとの反応はその場に立つ武道者の力量による。

相手は魔法と武術を組み合わせた〝縮地〟。

対して結人の〝縮地〟というの感情と思考を持つ相手に対する〝縮地〟。

前者は力のごり押しにも似ており、認識されてしまえばどうとでも対応が出来てしまう。

だが後者には様々な罠が張り巡らされているのだ。

視線に対する誘導、死角、動き。

今の自分の状況、どういう存在なのか、どうすれば相手が隙を作るのか、どうやって隙を作るか。

当然、これまで力を蓄え続けた人間に軍配があがる。この場合は――――


「ライズッ!!」


結人に軍配が上がる。

軽快なリズムではあるが低く籠る重音が三回、ほぼ同時に唸るように響いた。


「ぐぅ……ッ!?」


少し体が浮き上がり、その場に倒れこんだライズを見下げる結人の姿に他の三人が身震いを起こす。

至極当然のように立っているその姿。

心身ともに、溢れ出る〝力〟という名の輝き。


「突然……斬りかかってくるってことは、やり返されても仕方ないよな?」


「「「――――ッ!!?」」」


悠然とした姿で、静かにこちらを見つめた瞳。

動きが全く分からない心。

逆に感情のない声音と表情に、三人は同時に一歩引いた。


「全く、何でこんなに異世界の奴らは手が早いんだ? 会話してみようとは思わないのかよ。しかもよりにもよってエルフが、こんなに戦闘民族だなんて誰も予想できないって…………。はぁ、でもなんか逆に興奮するのがやるせない」


「オレから質問いいかぁ……人間」


「いいよ」


「オレはバライグ・イザーミアってんだけどよ。お前がさっきから言ってる話し合いってのをすれば、一体何が丸く収まるんだ? この世界では話し合いで何かが決着したことなんてねぇんだぜぇ?」


「それはそうだ、この世界では誰しも力を持って過ごしてるんだからな。話し合いなんかするよりも戦って勝った方が手っ取り早い。だけど俺が過ごしてた世界には、そんなものはなかったんだよ。魔法も無ければ、種族だって人族しかいない。基本的には話し合いと脅し合いでの和解だった」


「なら、どうして貴方がそこまでの力を? 戦う必要がない世界なら、戦う力を付ける必要なんてないじゃないですか」


その通り過ぎる質問ではあると思う。

本来なら人を殺める技術など鍛錬する必要なんてない、本来なら誰かと戦うために鍛錬をする必要なんてない、それが自分の世界だった。

普通に学生をして、普通に就職して、仕事をしながら趣味に時間を使う、そういう人生を歩める世界。


「いや、それには……理由があるんだよ。個人的に」


最初は出来心、続けていくにつれて本格的になっていった。

でも家族には言えないだろう?


『二次元を体験するために体を作りたい』


真顔で、真剣に言ったとしても笑われるようなふざけたお願いだ。

こちらの本気が伝われば伝わるほどに馬鹿にされてしまう――――俺の願い。


「別に強くなることが戦いに直結するわけじゃないだろ? 人には人の目標があるんだよ。この力は俺の願いの副産物に過ぎないよ、おかげで死んだけど」


「じゃあ何だ? お前は戦う必要もない世界で戦う力を鍛錬し続けてたのか?」


「そうなるな。まぁ、存外悪くない結果だったぞ? 特に体育の時間でヒーローになれる」


「…………となると、お前さんは相当な変わりもんだなぁ。イカれてるぜ――――ただ、そういうことなら俺の愛娘が負けるのは当然の結果か。うん、オレは気に入ったぜぇ? お前さんのこと」


「お、よ、ようやくまともな話し合いが出来てる……ッ。俺は感動してるぞ」


笑顔で手を差し伸べるほどよく鍛錬された筋肉を身につける長い髪を後ろでまとめている長身のエルフ。

きっと魔法によって身体強化するのだろうが、かなりの武術体系を研究したことが伝わってくる。


「全く、誰だよ……」


エルフをもやしとか言ってたやつ。

もはや当然のように妄想を砕き散らす異世界という世界を、先入観で見てはいけないと確信した瞬間だ。


「で、お前さんには危険性がないってことでいいのか? オレはお前さんに少し似ているから気が合うが、他の奴らは絶対に信頼しないぜ? ここにいるマクティは大丈夫だろうが、そこのルフガンとか、ライズは人族に非道い目にあってる。つい最近になってからまた何か企んでるみたいだしなぁ」


「あぁ、信用も信頼もいらなねえよ。俺は何もされなきゃそれでいいし、魔法の使い方と鍛錬が済んだら〈コールランド〉から出て〈エクシード〉に向かうつもりだしな。…………勇者ってのを確認しに」


「――――〝勇者降臨(リ・レジェンド)〟――――四つの大陸を統一した伝説の存在を造り出す。二年ほど前から突然耳にし始めた言葉だよ、ボクが知る限り見たことがあるエルフはいないけどね。何でも…………人工的に造られているとか何とか」


「そこらへんは行って確かめるよ――――よし! 終わり! はい、さっさと元居た場所に戻してくれ。俺はまだまだ魔法を使いこなせてないんだ」


「……うん、分かったよ。それじゃ精霊騎士団の結界魔法が解けて、ボクたちが魔力の供給を止めたら魔法発動の収束が起こって強制的に元に戻るからね。いやぁー良かったよ、今回はほとんど何もなく平和に終わって――――」


「え?」


まるで世界の構築が元に戻ったかのように、結界魔法で捕えていた世界の一部が何もかも元通りになり目の前にから急に結人は姿を消した。


「簡単に言うと逆強制召喚魔法だよって説明しないとダメでしょ? ルフガン」


結界魔法が解けた瞬間、ルフガンが魔方陣への魔力供給を止めたことにより二つの条件を白紙にした。

だから説明を終える前に結人は元の場所に戻ったのだ。きっと今頃、混乱しているかもしれない。

空に広がる巨大な魔方陣が淡くなり、次第に消える。


「マクティ組長。これ以上は必要ありませんよ」


「…………厳しいけど、ルフガンだから許すよ」


うつ伏せで倒れていたライズも自らの回復魔法によって回復している。

本当に何も変わらない……いや、


「あの輝きは忘れないだろうな、きっと」


「…………そうだな。人族嫌いのルフガンとライズが一瞬でも見惚れたんだ、オレたちが見惚れないわけねえだろうが」


「ボクも……――――話してみたかったな」





その頃、


「…………あれ? ヴァーリエ?」


「大丈夫だったか!? ユイト!!」


魔法の(ことわり)でもある魔法発動の収束の原理に理解が追い付かず、何だか不思議な感覚に見舞われた結人は呆然としたまま鍛錬どころではなかった。







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