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48:罠

 俺たちは風呂から早めに上がった事で嫁たちは程なく寝室へとやって来た。今晩はアンナでは無い様だ。先ほどスーシーの事を俺が言ってた事からスーシーの番となった。

 俺に伝え、それほど間を置かずに風呂場付きのメイドの内一人が駆け込んで来た。横目で俺を睨みながらサルーンに一言伝え通路で話し二人で入室して来た。


「テリスト。風呂付の女性を襲ったそうですね。何か弁明はありますか?」


 は? 風呂付って言うと先ほど防具を脱ぐのを手伝ってくれたエルフのメイドさんだよな。風呂を上がるときはクインに【クリーン】を掛けた後、アウローラをタオルで拭いた後に【クリーン】を掛け、俺自身にも掛けた後に普段着に着替えて後にしただけだが、なぜこんな事に?

 わからんが今回のこのタイミングは絶妙と言える。風呂に入る時間込みで襲う時間を確保出来ている事が絶対の条件だ。何時もならば嫁さんと一緒に入る事から条件が整わない。何時から狙ってたんだ。


「具体的に言え。内容はなんだ?」

「性的にです。足に血の跡がありますよ。純潔を奪いましたか?」


 またベタだなぁ。嫁さんにはモロバレてそうだな。冤罪だと。ただ、追及してるのは関係者のあぶり出しかねぇ。


「は? 嫁さんと事を一度もしてないのにそんなのに手を出すかよ」


 一応否定はしておく。俺自身が証明できるかどうかは置いておくが。


「嘘です! 私は襲っているテリスト様の背を見ました!」


 ふむ。罠に嵌めるにしても笊だな。通路に居る奴と目の前にいるメイドがグルになってるって事か。そうなると、貴族連中の手の者かねぇ。そう言えばこいつはクインが話せる事を知らなかったな。寛ぎの間担当と寝室担当なら知ってる事だが墓穴を掘ったな。さて、どんなのが釣れるかねぇ。

 俺が拘束された場合帝国の方が手薄になるが、帝都の方はそもそもグリフォンしかいない。襲われたとしても逃げ果せるだろ。最近休息する時間が無くて全く休めていなかったよな。これは天命か! 俺に休めと言ってるのだろ? これは思惑に乗って休息しようかな。


「そうかそうか。で、俺がメイドを襲ったのを確認したのはお前の他に居るか?」

「な、何を!」

「ふむ。他には居ないのか。さて、サルーン。俺には罪を晴らす手段が無い。潔癖だという事を証明できないって事だよ。ぜひ牢屋にぶち込んでくれ」

「何を馬鹿な事を言ってるのよテリ! アンタはつるペタの胸になんて興味ないでしょ! そんな嘘を付いて休むつもりでしょ! 許さないわよ!」


 隣のベッドに腰かけていたのだが、立ち上がり怒気を放って言いつめられる。

 ぐっ、鋭い! アリサにはバレバレか……押し通せないのかねぇ。


「その通りですわね。絶対に休む魂胆ですわ。牢屋の中でのんびりまったりするつもりですわ。違いありません」


 こっちもか。


「いやいや。だから言ってるだろ。潔癖だと証明できないから牢屋に入れてくれよ」

「その通りよ! テリスト様が貞操を奪いました! その堰は負うべきです!」

「そうです! ぜひ牢屋にぶち込みましょう!」


 決して俺は行為に至ったとは言わない。あくまでも牢屋に入れてくれと言うだけだ。


「テリ。あんた、悪乗りし過ぎよ。そんなに休息したいならそうはっきり言えば良いでしょ。で、何か言いたい事あるわよね」


 い、いかん。調子に乗り過ぎたかも……額に血管浮かんで完全に激怒してる……。ここはあれしかない。土下座だ!


「ご、ごめんなさい。調子に乗り過ぎました。2日なり3日なり休憩したかったです。大変申し訳ございません」


 ベッドのわきに土下座だと見えないのでベッドの上で土下座してみました。


「それで良いのよ。テリは働きづめだもの。私たちに任せて休みなさい。それでクイン、本当の所は如何なの?」


 おおう。俺の状態をそんな風に見ててくれたのか。即謝罪して助かったー。アリサも敵に回すとやばいな、少し自重しよう。


『主は無実じゃぞ。風呂から上がって直ぐにベッドを一つ増やして寝っ転がって待っていただけじじゃしな』

「え? 魔物が喋った……」

『アウローラも言ってますよ。テリストは体を拭いてくれて直ぐに部屋に戻ったと』


 俺は潔癖だと証明する手段が無いと言った事は本当だ、嘘は言っていない。ただ、クインに確認を取られればバレバレなだけだ。テリストの便乗休息計画はあっさりと収束したのだった。


「はぁ。こんなしょうも無い嘘でテリストを嵌めようとしてもバレバレですわよね。それに便乗するテリストもあれですが。きついお仕置きが必要そうですわね」


 お仕置きが処刑だろうか……こんな笊な罠ではなぁ。そもそも俺は処刑にならないだろうが、それなりに悪評は流れるだろうか、そっちが狙いか? 


「テリストも貴族と言い合ったり帝国の罠とかでストレスが溜まってそうですね。それよりもこの場を何とかしましょう。エレクティア、拘束してください」

『テリストに便乗して牢屋に入れた方が面白かった気もしますが、これはこれですね』


 後ずさりしてるが遅い。片足の大腿骨を粉砕骨折させられ絶叫が響き渡る。夜間担当の近衛騎士が大慌てで10名程集まれば、その状況から察してあっさりと連行された。

 サルーンからの説明を受け翌日以降、2人のメイドは拷問に掛けられ命令した者を暴露する事になる。そこから芋ずる式に上まで釣り上げられ、一族郎党処刑される事となる。


「あ、あの。テリさんは結構恨まれてるのでしょうか?」


 結婚を申し込んだ身としては心配なのだろう。撤回してくれても構わんよ。既成事実は無いからな。


「居そうではありますわね。前回は戦後の帝国の扱いに関して謁見を開いたのですわ。そこでサルーンさんの援護をしてそのまま言い合いになったのですわ。その事が切っ掛けで、相手の貴族が降格されましたわね」

「恨んでるだけで止まれば良いのですが、実力行使に出るからこうなるのですよ。これまでの全ての罠を噛み破って来たのを知らないのでしょうね」

「あ、あの。獣王国から亡命された件が伝わってきましたが。やっぱり、その……」

「事実ですよ。お父様が騎士団を使いテリクンを亡き者にしようとしました。その腹いせに城にある財産全てを奪われたのです。身から出た錆ですね」


 カーラも言うねぇ。実家がやらかした事だから、本来は国家として醜聞に関わる大問題だ。ま、大半の嫁さんが知ってるので今更ではあるのだが。


「ええ? それって宝物庫の財宝も……」

「宝物庫の品どころか、国王の使う重厚な卓子から料理器具に至るまで全て奪い去りましたわよ。残ったのは埃程度ですわね」


 そう言えばすっかり忘れてたな。カーラの服だろうと下着だろうと、しかも王妃の服だろうと下着だろうと奪って来てたな。返すべきだったか?


「なぁカーラ。すっかり忘れてたんだけど。カーラの服は当たり前なんだけどさ、王妃の服だろうが下着だろうが回収してるんだよね。どうしようか?」

「テ、テリ。あんた。夜な夜な起きて変態な事をしてないでしょうね?」


 怒ってはいないがジト目で睨みながら言われてしまう。

 酷い言い草だな。そもそも俺は嫁さんに抱き着いて寝てるんだぞ。こそこそ動いたら即ばれして夜中に騒動になるんだぞ。レベルが上がって皆敏感になってる中。そんな事できる訳がない。


「無実だ! 俺はそんなのより中身が良い!」

「それ、威張るところではありませんわよ……」

「はははっ。さてと寝るかな」

「そうですね。今日はもう休みましょう。ですが、明日返して頂きますよ。良いですね?」

「うむ。きちんと返させて頂きます。だけどさ、サイズが合わないから着れないぞ。注意な」

「そうでした! 気にいってた服のあれやこれが着れないのですね……」

「そんなに凹むなよ。それを持ち込んで今のサイズに模倣してもらえば良いだろ」

「そう、ですね。そうします」


 ふぅ。やっと寝れそうだなと、抱きついてるアウローラを引きはがして服を脱ぎ、素っ裸になりベッドに横になるのだった。

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