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46:ほぼ、戦勝祝い。

 食堂にと到着した面々は各自定位置に座る中、アンナとオウカに此処へ座れと案内した。スーシーを座らせて俺は前回に出した台を出し、3段重ねのバタークリームケーキを2つ出し、誰にも振舞っていなかった新作のアイスクリーム9種を出したりとしているとサルーンも合流した。

 今日は料理長も気合いを入れた様だ。俺が指定した品に負けずとばかりに力をいれ、この世界独自の料理が並ぶ。


「サルーン挨拶を」

「そうね。帝国の主力も叩けたました、後は時間の問題でしょう。最大の懸念材料であった事も決着に目途が立ちました。そして、喜ばしい事に家族が1人増えます。ようこそ皇国へ、歓迎いたしますよ、アンナ・アンテローゼ。輝かしい未来が貴女にありますように。乾杯!」

「『乾杯!』」

「そんな訳でお祝いだ。料理長たちもメイドたちも座って食べてくれ。ケーキは両方違う、外見は一緒だけどな」


 ケーキは白く、バタークリームで覆っている。飾りっけは無いが中身で勝負だ。甘さ重視と甘酸っぱさのあるバランスの良い果物を別々に使う事で個性を出していた。


「有難うございますテリスト様!」


 良い場所はさっさと確保されるのだ。料理長そっちのけで座るメイドたちだった。

 その様な場で何時ものように食卓の上で食べさせるのは非常に不味い。アウローラはデルフィアに任せ、クインは俺が抱っこして食べさせる。猫に蟹は不味かった気が? だがしかーし、魔物なので大丈夫だ。容赦なく食べさせるのだった。

 猫と間接キスだが問題無い。クインだからな。


「バターの風味に蟹が負けてないな。これ良いわ」

「バターとやらも良い風味ですわね」


 元の蟹が大きいから足だけでも食べ応え抜群だ。ココア以外は相槌すらせず食事に夢中だ。気に入って頂けて何よりである。過分に食材のおかげであるが。

 可哀そうに。蟹を平らげた後は他の料理には手を付ける者はおらず。スイーツへと飛びつく面々。俺もだが!


「パンと比べたら随分と柔らかいですね。テリクン、何か特別な事をしたのですか?」


 膨張剤が手に入らない為にメレンゲでケーキ台を焼いた。その為に日本で食べた者ならきっと固いと思うだろう。だが、此方の世界ではケーキ台ほどの柔らかさのあるパンは存在しないので十分柔らかいのだ。パンはモチっとするのだが。ここまで歯触りの違う品は無いのだからな。


「パンとケーキ台の作り方の違いだな。パンは酵母を使って発酵膨張させて焼くけど。これは卵の卵白を泡立てて発酵の工程が無いんだよ。小麦粉を混ぜる時にコツはいるけどね。混ぜる割合が分からなくて苦労したけどやっとできた」

「テリ。スイーツ屋さんを出しなさいよ。毎日買うわ」


 嫌だよ! 客がわんさか押し寄せて来るなんてわずらわしいじゃんか。それに、休日が無くなりそうな予感がする。店の前に長蛇の行列とか邪魔すぎだ。


「却下。俺の休みが無くなる。そもそもだ。糖分のとり過ぎは病気の元だぞ。食べすぎ注意な」

「異世界……これは素晴らしいですね。何故皇帝はこの方面で貢献しなかったのですか! これは世界の損失です!」


 こっちはこっちでヒートアップしてるなぁ。ほんと、個性的な事で……。


「アンナ。頼むから変な事を言いふらすなよ。マジに」

「そ、そうですね。これは秘蔵すべきです」


 今度は家族で秘蔵し、自分の分を確保ってか。俺も甘いのは好きだが……それは無いだろ。スイーツの店を出したくないと言ってる時点で同列なきはするが。労力の違いは明らかなので何とも言い難い。


「テリスト。この冷たい方のレシピを下さい。これ、ワングル乳が原料ですよね?」


 オウカはアイスクリームに着目した様だ。結構な量を分けていたんだが、きっとシチューに使ってたんだろうなと勘ぐる。

 これだけ濃厚な乳だと、コクがあっておいしいものな。間違った使い方と言う訳でもない。


「そうだぞ。そのままだと薄いんで濃縮して利用だな。3割程度濃縮だ。後の材料は砂糖と卵黄に適当な果物だな。適当にレシピを書いとくわ」

「3割も水分を減らすのはちょっと……」

「そうだろうな。俺の場合は火を武器に付与して突っ込んで強引に濃縮してるよ。これで魔石消費が全くない」

「オウカ気をつけなさい。濃縮中の部屋に一緒に居ると部屋が真っ白になる位酷くなるのよ」


 それだけでは無く、部屋がかなり暑くなるのも原因の1つだったりする。皇都がそもそも暑いのだ。追い出される訳である。


「で、俺の場合は部屋を追い出されると」

「そ、そうなんだね。食べるまで苦労するんだね」

「食べる時は至福だが作るのはなぁ。今度から食べた分各自に作らせるか?」

「ダメよ! 火の抵抗があるテリが一番適任じゃないの!」

「テリスト。君も苦労してるんだね……」

「だよなぁ。誰も作ったのを食べてくれない料理長みたいにさ」

「はっははっ。気にしなくて下さいテリスト様。これらの品のインパクトがあり過ぎるのです。かく言う私も同じ有様ですので」


 蟹を食べてるかスイーツを食べてるからな。誰も他の料理に手を付けていなかったりする。

 うっ、泣きながら食べなくても良いと思うのよ。何か悪い事をした気分になるな……。


「私、幸せです。テリさんと結婚できて幸せです!」


 食事関連だけで幸せですと言われてる感じで非常に微妙なのですが……俺はその体で堪能させてもらおう!

 それにしてもクイン。いつもながらフカフカモフモフ良い具合だなぁ、と食べさせながら背をなでなでしていた。


「アンナも馴染めたようでなによりだ。ただ、切れたら俺と同じ属性な感じがするな」

「同じではありませんわよ。切れたら周りが見えなくなるタイプですわ」

 言われてみれば……。

「ごめんなさい。反省してますから言わないで……」

「人生長いんだ。徐々にでも直せばいいさ。それは良いけどねアリサ、それは盛り過ぎだと思うぞ、下痢になっても知らんぞ」


 各種それぞれを盛って全部足すと何リットル分になるんだろうな……。軽く2リットルは盛ってそうな。


「食事中に下品よテリ」

「はぁ。風呂入ったら十分あったまれよ。夜中に腹痛とか洒落にならんぞ」

「そうね。きちんとあったまるわ。それよりアンナ、食べる量少ないのね。それじゃ体が保てないわよ」

「皆さんが食べすぎなんですよ。何キロ分食べてるのですか」


 軽く3キロから4キロ分かな? 段々燃費が悪くなる面々だ。食べなきゃ痩せるから仕方ないのだが。

 それに比べればアンナは非常につつましい食事量だ。1日程度のダンジョン連れまわしだとサルーンレベルには上がらないが、80程度には上がるだろう。食事量も増えると予想する。


「食べなきゃ痩せるから仕方ないのよ。アンナもそのうち食べる量が増えるわよ。テリがそのうちレベルを上げるから」

「そうだったな。明日朝帝都の確認に行ったらその後ターラルに行く予定だが、何か予定あるか? サルーン」

「無いけどあまり大っぴらに皇都を歩き回らないで下さいね。貴族がピリピリしてるのよ、良いですね?」


 俺が強引に決めたからな。彼方からは何もしてこないと思うが、気を付けるとしよう。


「大半を【ゲート】の移動で済ませるけど。ターラルの魔物ハンターギルドには行く予定だぞ、卵を買いに、それ位なら大丈夫だろ?」

「そうね。ターラルは代官を立ててるから出回っても大丈夫よ」

「了解。そんな訳でオウカ、明日ターラルダンジョンへ行くぞ。アンナも行くからな、心の準備だけはしておけ。防具は余ってるから下級属性竜のフルセットを着てもらおうかな」

「わかった。僕はそろそろお暇するよ。お食事有難う」

「【ゲート】それじゃ明日な。食後1時間程度は時間を見ててくれ。お休み」

「テリストお休み。それでは皆さん失礼します」


 ケーキは奇麗に全部無くなったがアイスクリームは流石に残ったようだな。


「まだアイスクリームは食べるか? アリサはもう駄目だぞ」


 もう少しと言う面々につがせた後に収納し、空の容器と皿には【クリーン】を掛けながら収納した。流石に食べ過ぎた。このままお風呂に直行はきついな。と、後のかたずけを手伝おうとして追い出され、寛ぎの間に戻るのだった。


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