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 戦争へ出かけて3日目に帰還した形だ。それもグリフォンを伴って。1階1階の天井が高いから良いものの、そんな魔物を引き連れてるものだから、待機組全員がびっくりしていた。

 俺は到着早々にただいまーと告げると。横合いから頭にガッシリ抱きついて来る存在が。

 他の嫁さんとも挨拶しなきゃだし、キスをしながら全員とハグして回ったのだった。


「アウローラも元気そうで何よりだな」

『キュア! キュアー!』

「はいはい。落ち着きなさいな。此方は平穏だったか?」

「戦争に噛ませろと貴族がうるさい位ね。後は特に何もないです」


 案の定だが当然とも言える。活躍すれば恩賞ものだ。それなのに貴族は蚊帳の外。俺が貴族としての立場なら要求してるだろう事ははっきりしていた。


「こっちは報告が必要な案件がいくつもあるな。中にはトラブルもあるが、今日はもう遅いし報告だけで煮詰めるのは明日で良いか?」

「また厄介事ですか。順番に整理して報告してごらんなさい」

 

 すでに結構遅い時間だ。此方の一方的な説明をする事でお開きとし、嫁さんでは無く、寂しがっていたであろうアウローラを抱いて寝るのだった。

 

 翌朝。久しぶりとも言えないが。美味しい食事を食べ、彼方を無人には出来ない事からサルーンたちに帝国の城まで来てもらう事に、なにせ皇帝を確保してるのでなるべくなら無人にはしたく無いのだ。

 ハーンス室長とバーニング近衛騎士団長も当然連れて来たのだった。

 昨夜に説明はしていないのでザックリと説明をし。細かな点はその都度話しながら説明する運びとなった。


「先ず伯爵の件ね。民を無下に扱わないようにとの説得なら不要だけど。要求が深くかかわっていない人の命乞い。仮に皇帝一家の一部も対象だとしたら厄介よ。どうするのテリスト?」


 成否に関わらずとの取り決めだ。俺は処刑する方へ傾いてるから譲らんよ。


「俺は処刑するに1票入れるぞ。後の禍根を残す位なら全員始末した方が後々の為だ」


 その場で逃がすと求心力が0になった訳ではない。旗頭にでも収まれば、またもトラブルの元になる。それは絶対に避ける。


「それで、会議に出席させる対価が孤児院の教師役、余計な事を刷り込まれなければ良いけど。反感を買うような内容を教え込まれたら厄介よ」

 監視するのに別の人物を雇えば良いとか言い出してもなぁ。それだと余計な出費になる上、常時監視する必要が出て来る。それならいっそ対価は不要として放逐する方が後々面倒が無くて良いだろう。

 カーラには悪いが放逐しよう。


「なら、屋敷を没収した上で放逐するわ、それで問題無い。もともと殺すつもりだったんだ、資産で命が拾えるんだ。納得はするだろ」

「そうですね、折を見て接触してみましょう。次が最も厄介ね。連合の団長が処刑とは思い切った事をするものね」

「元はグリフォンに乗っていた偵察部隊の副隊長を助けた事から始まるな。食費と治療費の要求、それと税収に関して足並みをそろえる必要がある事から此方から接触した。

 飼い主の団長が代金を踏み倒すのに決闘を突き付けて来た。一応は回避したが、連合の国王2名の判断で処刑が決定、拘束されて連れて行かれた。だな」

「すべての面で彼方に非ありですか。それで謝罪はして来たのを、返事が出来ないので保留してるのね」

「そうだ。間接的にサルーンが非難を受けたも同然と考えてな。答えられないと伝えてある。いずれ帝国の扱いに関して顔を合わせなきゃならないからその時に正式返答となるだろう」

「よろしいでしょう。彼方も最強の手駒を失い、亀裂が少なからず入ります。一定の金銭の要求で矛を収める、で調整します。

 この事は戦争終結の取り分には持ち込まない、宜しいですか?」


 土地の確保に走った場合、余計に揉める火種になりかねない。その上に、土地管理をも丸投げする予定だ。ならばなぜ確保に走るのか、その点を追及されては後が困る。なるべく穏便に済ませたいからな。


「この場合は金銭の要求か取り分の増加か、どっちらかに傾ける必要があるからな。金銭なら金銭で問題無い」


「あの、宜しいでしょうか?」

「どうしたのハーンス」

「連日貴族様方から戦争に噛ませるようにと要求が日々増えております。皇家のみで全てを決めてしまわれると彼らの反発を招きますが、配慮しなくとも宜しいのでしょうか?」


 少し考えこみ話を俺に振られた。


「テリスト、手は必要ですか? 下手に反乱などが起これば民に被害が出ます。どうですか?」


 はっきり言って貴族はいらんが騎士には協力を要請したい。なるべくなら解放して放置は宜しくない。権力無しの状態では住民の安全も確保出来ないからな。これ幸いと暴れる輩がいそうで怖い。


「そうだな。今は魔物ハンターギルドに巡回するように仕事を発注しろと命令してるが、本職が来てくれるのは有難いな。それとカーラたちが南部の平定に力を注いでいる。当然手が足りないから統治してる貴族を叩いても権力者がいない状態だ。とりあえず皇国が打倒したと思わせる程度には何かしら配属させたい所ではあるな」

「……各都市に土地を管理していない貴族を配置します。規模に合わせて騎士を割り振りましょう。地図は有りますか?」

「持ってるですよ、これです」


 受け取り、見ているが何とも困っているようだ。


「国ともなるとやはり広いですね、地図は預かります。皇帝一家はどうしてますか? 皇国へ連れ帰り管理しても構いませんが」


 生きていようが死んでいようが構いはしないが。公開処刑したい所ではあるな。人が少ない状態で管理するのは手間が掛かり過ぎる。丸投げするか。


「ならお願いしようかな。罪人の管理はした事が無いから、此処にいる全員が」

「ならば一足先に人を確保しておきましょう。テリスト様。送って頂けますか」

「お願いするよ、全員で8名ね【ゲート】」

「はい。拘束具を同数と倍の人数を連れて参ります」


 戻って来るまで繋げっぱなしにするのだった。戻って来たタイミングが分からないからな。


「それで、人員の割り振りは良いが。戦後処理に絡ませないって点は貴族を入れて話し合うのか? 噛ませた方が領地配分には有利だと後から言って来る輩が出るぞ」

「その返答の前に確認させて下さい。テリストは帝都から北を攻めとる事はしないのね?」

「うむ、攻めるつもりは無い。それをしてしまっては2国の面子を潰してしまうからな。あちらの取り分も確保してやらないと難癖付けて来るだろ。それにな、先方の副団長かな。俺たちは帝都から東西に進み、そこから南は制圧するが、北は其方に任せると伝えてきた。

 俺の采配に任せると聞いてるからな、そこは俺の独断で決めさせてもらったぞ」

「それでも広すぎるほどですから構いません。相手国に配慮するとはテリストも成長しましたね。

 その考えであれば噛ませない方が良いでしょう。一部取り上げる事で此方の要求を飲ませます、良いですね、ハーンス」

「はい、そちらの調整はお任せ下さい。各町への配分も決めなければなりませんので、そこはバーニング近衛騎士団長も交えて調整したく思います」


「そうなると欲が出て来るんだよな、このまま統治させてくれないかなーとね。実際皇国が取り仕切っているから割り当てとしては順当なんだが、サルーンの思惑には反対する者が多いぞ。それも貴族の半数以上が反対に回るだろうな」

「当然ですね。それを撥ね退けるいい策がありませんか? テリスト様」


 本来はサルーンが考えるべき案件だが、俺でもそう簡単には考えつかないって。


「うーん。俺たちの立場だと国の者を富ませるのが役割と言っても過言じゃないからな。折角手に入る都市だ。それから目を反らせる恩賞は存在しないだろ。俺でも流石に手は無いな。

 仮にだ。皇家が一番活躍した形なので与えられないって話になったとするぞ。それでも代官の地位が複数空きがある。後から恩賞として渡せる土地があるんだ、皆励んで国に奉仕するだろ。例え飛び地でもな。国全体の事を考えるなら土地ごと受け取るべきだ」

「その様に舵を切った場合は非常に不味くありませんか?」


 帝都以南を受け取るんだからそりゃ大変だ。その分税収が上がるから。土地の切り取りへ資金を出して農地開拓を進めるべきだろうな。本国の安定の為にも。

 それか、帝都は彼方に譲るかだな。


「食料の工面が大変になる。可能なら帝都を相手へ宛がって。周囲を確保すべきだ。そうすれば食料的には有利になる。サルーンの案なら帝都を取るべきだ。そこの調整で交渉が変わる。あちらが平定するまでに決めておかないと交渉の席に着けないぞ」


 貴族を介入させると言った時点で此方の思惑が完全に崩れるんだよな。絶対に土地の確保に傾くと断言できる。この調整をどうするかだ。うーん……。


「独断で決めるには事が大きすぎますか……。臨時謁見を行いましょう。本日中に通達、明日招集。来れない者は家族が代表者として来る事を許可します。その場合には指輪印章と共に代理である書簡を持たせなさい」

「はい、戻り次第に手はずを整えます。議題に関しても通達するのであれば時間が足りないと判断しますが、如何なさいますか?」


「召集し、各貴族位で集まった際に説明なさい。考える間を与える事が出来ませんが、貴族とは突然の判断を迫られても判断を下せる技量があるべきです。これで進めなさい」

「了解しました。帝国の取り決めに関しての緊急招集である旨のみで通達させて頂きます」

「それでよい。テリストにカーラ、エレクティアには出席してもらいます。出来れば全員来てほしいのだけれど、半日開けられるかしら?」

「ここが襲撃されないならば1日でも開けられるが」

『それなら簡単じゃよ。わらわが防衛に残ればよいからの。気兼ねなく行って来るのじゃよ』


 こんな事を言ってるが。クインはサルーンに抱かれている。何せ国元は温暖な気候なので厚手の服を持ち合わせていないのだ。引っ張り出せばあるそうだが、その時間が惜しい。その為のクインだ。


「有難うございますクイン、お願いできるかしら」

『守ると言っても伯爵家族だけじゃからな。問題無いのじゃよ』

「クイン、頼むよ。

 複数の利害が絡むからまとめた方が良いかもな。書面にしておかないと抜けが出そうだ」

「そうね、誰が適任かしら」


 誰がって言いつつも俺を見てますよと顔を此方に向けてるのだからあざとい。


「俺は制圧の実行部隊として動くから時間が無いぞ」

「テリクンに命令します。本日の制圧作戦から除外しますから全て書き出し。清書する前段階を担ってください」

「カーラ。それは無理だぞ、カーラの立場は対外的な面だけだ。実権は俺が握ってるから命令できるのはサルーンだけだぞ。残念だったな」

「そうだったわね。カーラの案を採用します。テリストは事を実行なさい」

「えーー。それを言っちゃうのかよ」

「テリが一番理解してるんだから適任でしょ。つべこべ言わずにやりなさい」


 理不尽だが、俺以上に理解してる面子がいなさそうなんだよね。国家規模の難事だし。するしか手が無いか。


「仕方ないか。アリサに命令する。俺の監視役なら付き合え。

 カーラは商業ギルドへ行き。税の回収を禁止すると伝えろ。

 他は適当に帝都観光しながら馬鹿やらかしてる奴がいないか衛兵役を命じる。伝えた通りに処刑して構わん。なるべく裏通りを中心にして行えよ」

「ハンターに丸投げですものね。少し位は自ら動くべきですわよね。分かりましたわ」

「それとだ。帝国軍部に降ろす予定だった品を俺が横合いから入り込んで現金で購入した。纏め終わったら渡すから、倉庫の確保とその内訳を確認する文官を用意してくれ。いや、騎士が良いか? まあ任せるわ」

「食料物資に関して先回り出来たのは良い事ですね。此方の負担が減ります。確認させて頂きますよ」


「ココアは一時待機だ。団長が着たら案内してくれ。それじゃ皆解散だ。って俺が仕切って良いのか?」

「この件に関しては任せてますから構いません。各自迅速に行動するように。時間がありませんから頼みましたよ」


 散開して事に当たるのだった。ただね、ガルーダの尾羽で作った羽根ペンが無いんだよな。サルーンについて行き返してもらって書き始めるのだった。

 何故か使いやすいとサルーンも使っていたようだ。自分で作ってくれ。

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