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異世界転移してみたら、いきなり賞金首になっていた件  作者: 阿部 祐士
第五章 魔法研究家・アンジェリカ

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甘い誘い――魔女の家で待つもの

「じゃあ商談成立ね」

 そう言うと、アンジェリカは赤ら顔でニコッとした。

 そして、ふらふらとカウンターまで歩いていき銀貨数枚を置くと

「マスター、ごちそうさま。また、明日来るね~」

と言うと、千鳥足で店の外に出ようとした。

 海斗は、「まったく酔っ払いは……」と内心で呟きながらも、アンジェリカの体を支えた。アンジェリカは海斗に体を支えられながら雲海楼の外に出た。

 アンジェリカの肌から漂ういい匂いが海斗の鼻腔をくすぐる。アルコールで火照った肌のぬくもりが腕越しに伝わってくる。海斗は体を支えながら、思わず胸の谷間を見てしまった。

「ちょっと、あんたぁ、一体どこ見ているのよ~」

 用心深いと聞いていたが、結構酔っ払っているみたいだ。

「で、どこに向かうんですか?」

「私の家よ、私の。もしかしてホテルとか思っていた? 甘いわよ、このエロガキ!」

 海斗は少し違和感を覚えた。ホテルって単語、こっちにもあるんだと。が、酔っ払いの言葉じりをツッコんだところで、まともな回答は得られないと思った海斗はあえてスルーした。

「わかりました。で、アンジェリカさんの家、どこにあるんです?」


 海斗はアンジェリカの言うとおりに、路地を曲がって森の細い道に入った。そして歩いて五分経つと、森の中にある赤い屋根が派手な一軒家に行き着いた。

「ここよ、ここ。ここが私の自宅兼魔法研究所なの。私、こう見えてこの辺りじゃ有名な魔法と占いの研究家なのよ~、うぃー」

 アンジェリカが喋るたびに酒臭い息が顔に当たる。情報を聞き出したら早めに帰った方がいいな、と海斗は思った。

「さあさ、家の中に入って、奥までずーんと」

「わかりました。わかりましたから、もう少し足取り、しっかりして下さい」

「何よ、偉そうに。ここは私の家よ。何か文句ある~」

「いえ、文句ありませんから。えーと、とりあえず寝室でいいですか、アンジェリカさんを置くの」

「寝室? 何、色気づいているのよ、このエロガキ!」

「いや、別にアンジェリカさんを置くの、台所のテーブルでもいいですよ、俺としては」

 海斗は、段々酔っ払いの相手をするのが面倒くさくなってきた。大体この状態じゃ、仮に俺たちを賞金首にした人物の名前を聞いたところで、かなり怪しいとしか言いようがない。今日のところは、酔っ払いをベッドの上に置いたら、さっさと帰って、明日にでももう一度交渉した方がいいのかもしれない。

「しょうがないわね、寝室でいいわよ、寝室で」

「ハイ、ハイ、わかりました、寝室ですね。で、寝室はどっちなんですか?」

「奥の部屋~」

「わかりました、奥の部屋ですね」

 海斗は台所兼食堂の奥の扉を開けると、ベッドの上にアンジェリカを置いた。

「それじゃあ、アンジェリカさん、今日はお話しできるような状態じゃないんで、明日改めて雲海楼で待ち合わせをしましょう。明日はアンジェリカさんが酔っ払っていない、夕方から行きますので。それじゃあ」

と、海斗は寝室を出ようとした。

「ちょっと待ってよ~。少し薄情じゃない?」

と言って、海斗の左手をつかむとそのまま強引に引っ張った。アンジェリカの予想もつかない行動に、海斗はバランスを崩してベッドの上に倒れ込んだ。

 アンジェリカは

「私、こんな抱き枕が欲しかったんだ」

と言うと、海斗をベッドの上で抱きしめた。

 海斗の顔にちょうどアンジェリカの豊満な胸が当たって、海斗は息が苦しいやらうれしいやら。少しこのままでもいいかな、と思っていると、今度は

「喉渇いちゃった。ちょっと台所に行って水を取ってくるから、ちょっと待ってて。帰っちゃ駄目よ」

と言うと、台所に行ってしまった。

 どうする。この家を出るには台所を通るしかないので、帰るのなら強引に出て行くしかない。ただ、アンジェリカはかなり酔っているので、もしかしたら、ポロッと俺たちを賞金首にした奴の名前を言ってくれるかもしれない。そうしたら儲けものだが、その発言の信憑性の問題もあるしな。どうしたものか。とりあえず、この状況を知られたら、レイナもエリザベスも、アリシアですら黙っていないだろう。海斗は、絶対にこのことは口外しない、と心に決めた。 

「Kaito君、まだいたの? はい水」

と両手に持ってきたカップのうち、右手のカップを海斗に差し出した。

「いや、待っていろと言ったのはアンジェリカさんでしょう。それに俺、喉渇いていないから、水はいいですよ」

「何~。私の水が飲めないって言うの、アンタ!」

 海斗は酔っ払いの扱いに辟易(へきえき)していたので、ここはおとなしく水を飲んで帰ることにした。

「じゃあ、水を飲んだら帰りますからね」

 そういうと海斗は水を一気に飲み干して、立ち上がると、寝室の扉に手をかけた時だった。急に立ち上がったせいだろうか。立ちくらみのような感覚を覚えて、意識が朦朧としてきた。海斗はしゃがみ込むと、

「大丈夫~」

とアンジェリカ。

 が、海斗がかろうじて振り返ってみると、アンジェリカは口角を上げて笑みを漏らしているようにも見えた。

 海斗は完全に意識を失い、床に倒れ込んだ。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


 チャームをかけても一筋縄ではいかないアンジェリカ。

 海斗を翻弄しているのか、それともただの酔っ払いなのか――そのあたりが読めません。


 そして最後に見せた、あの笑み。

 倒れた海斗は、このあとどうなってしまうのか?


 引き続きお付き合いいただければ幸いです。

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