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肥ノ国立志伝~戦国制度革命史  作者: 日野龍哉


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第42章 日野家動乱②

この物語は生成AIの力を借りながら、細々と進めています。ご了承ください。

挿絵(By みてみん)

 均衡は、崩れかけていた。

 抑えている。だが抑えきれていない。

 誰もが知っている。だが誰も止められない。


 その一点で、動いた。

 永谷一典。


 名目は明確だった。

「経済に偏り過ぎている。国防と生産を取り戻す。」

 誰もが聞いたことのある言葉。否定しきれない言葉。

 武官は頷く。農も頷く者がいる。

 文官は黙る。

 正しさがある。だから厄介だった。


 嬉野。

 すでに形は整っている。

 乱ではない。治まっている。

 人は動く。物も動く。兵も動く。

「落ち着いているな。」

 誰かが言う。

 頷きが返る。

 信がある。

 それが全てだった。

 永谷は動かない。

 座る。

 見ている。

 だが。

 外は動く。


 龍造寺。

 攻められる。

 理由はない。あるいは、関係がない。

「当家に従属せず、関係無し。」

 誰かが言う。止める者はいない。

 戦が始まる。瞬く間に四村落が従う。

 だが、始まっていない。


 日野。

 報が重なる。

 大岡、桜岡。

 誓紙血判が出される。

「従う。」

 それだけ。だが、遅い。

 情勢は変わっている。

 市場、交易、詰まる。嬉野周辺で流れが消える。

「……止まった。」

 誰かが言う。

 誰も否定しない。


 龍重。

 書付を見る。

「早いな。」

 短い。

 空海。

「我らの構造が出来ています。」

 間。

「崩せません。」

 龍重。

「崩さねばならんのじゃが……。」

 だが、手は限られる。

 永谷は動かない。

 だが、全てを縛る。


 松浦の桜岡。

 大村の龍重。

 佐嘉の龍朋。

 視線が集まる。

「……動けん。」

 誰かが言う。

 その通りだった。


 唐津の大岡。軍はある。

 だが、兄が龍造寺へ向かっている。

 戻せない、牽制になる。

 だが主ではない。


 大村。

 龍重。軍を出す。

 重直へ。

「任せる。」

 短い。だが、条件が付く。

「瀬戸郷より北上するな。」

 重直。

 一瞬止まる。

「……承知。」

 理由は分かる。

 だが、縛られる。

 嬉野へは届かない。

 北上して三根郷、法音寺郷。

 そこまでは進める。

 だが、山。潜む、強襲山岳兵。

 見えないがいる。

「来る。」

 誰かが言う。

 確信はない。

 だが疑えない。

 兵糧も士気も削られる。

 大村も固める。押せば崩せる。

 だが、押せない。

 隠し道がある。だが、使えない。

 いや、永谷が使わせない。

 かつてやったこと、やられたこと。

 大村に、龍造寺に、有馬に仕掛けた戦。

 そのまま返る。

 空海。

「……見事ですな。」

 龍重。

 笑わない。

「笑えん。」

 短い。

 戦は始まっていない。

 だが、選ばされている。

 平野か、山か、築くか。

 どれも正しく、どれも危うい。

 永谷は動かない。それで足りる。

 全てが動く。


 日野家。

 南、旧有馬領領主に初代日野家当主の隠居様、日野龍元を置く。

 静か。だが確実。人を押さえる。流れを作る。一つずつ。

「遅い。」

 誰かが言う。

「だが確実だ。」

 別の声。

 戦とは別だが戦の一部。

 均衡は揺れる。

 五十一か、四十九か。

 まだ決まらない。

 だが、傾き始めている。

 龍重、空海を見る。

 言葉はない。分かっている。

 次を誤れば、終わる。

 戦はまだ無い。

 だが、もう始まっている。


 戦は広がらない。だが閉じた。

 大規模な籠城。城ではない。経済だ。

 永谷は動かない。嬉野に留まる。

 人は動く。物も動く。兵も動く。

 だが外へは流れない。

 閉じる。それで足りる。

 武と生産。それが旗だ。

「守るべきはそこだ。」

 誰かが言う。否定は弱い。

 正しさがある。

 だから厄介だった。


 龍重。書付を閉じる。

「結局、武でやるか。」

 誰も答えない。

 空海。静かに言う。

「やれば勝てるでしょう。」

 間。

「だが損が大きい。」

 分かっている。

 龍重。頷く。

「武でやるのは、これまでと変わらんのぉ。」

 視線が動く。

「ならば。」

 少し間。

「こっちでやる。」

 誰も問わない。

 分かっている。

 日野の戦。

 銭、流れ、信用。

 永谷は動かない。長く構える。

 ならば、外を叩く。

 後詰、蜂起、徹底して潰す。

 星奈。

「地盤をより固めましょう。」

 龍徳と梨香も動く。

 一つずつ、潰す。芽の段階で広がる前に。

 消す、同時に。銭も動かす。

 本河内。筆を走らせる。

 桜岡。線を引く。

「ここから。」

 流す。

 信用銀。

 広げる。

 嬉野の外。

 内にも。

 少しずつ。

「効くか。」

 誰かが言う。

 龍重。即答。

「効く。」

 間。

「時間はかかるがな。」

 永谷にはない、積み上げ。

 信も恥も泥も。

 龍重が笑う。

「裸踊りも土下座も、やってきた。」

 誰も笑わない。

 だが、分かる。それが差だ。


 嬉野。

 表は静か。裏で揺れる。

「これ、使えるのか。」

 銀を手にする。迷う。だが使う。

 一人。また一人。繋がる、細く。

 だが確実に。


 空海。

「通り始めましたな。」

 龍重。

「まだ細いがのぉ。」

 だが切れなければいい。

 制度をさらに動かす。

 龍重が書付を懐から出す。

「ちと変えたい。」

 短い。

 高次。見る。

 信安。黙る。

「武に名誉と銭を。」

 一行。

「領土は国家のもの。」

 さらに、空気が変わる。

「切り分ける。」

 地と血と政。

 分離。

 誰もすぐには頷かない。

 重い。

 だが、必要だ。

「銭侍。」

 誰かが呟く。

 形になる。

 武は雇われる。領は持たない。銭で繋ぐ。信ではなく、制度で。純度を上げる。

 龍重。それを見る。

「異議はあるかね。」

 空海。首を横に。

「ここでやらねば、持ちません。」

 戦は続いている。

 だが形が違う。

 斬らない。焼かない。削る。流す。断つ。


 嬉野。

 閉じている。

 だが、外から侵される。

 ゆっくり、確実に。

 永谷は動かない。

 それでいいと思っている。

 だが、内側が動き始めている。

 だが、均衡は変わる。

 静かに見えないところで。

 決着は近い。

 武ではない、流れで。


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