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肥ノ国立志伝~戦国制度革命史  作者: 日野龍哉


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第36章 裏口攻略

この文章は生成AIの力を借りながら、細々と進めています。ご了承ください。

挿絵(By みてみん)

 風は動いていた。だが、誰もそれを見てはいない。

 正面は静かだった。兵は動かぬ。旗も揺れぬ。

 だが、裏では流れていた。

 神浦城。竹が鳴る。

 信安が地図ではなく、帳面を見ている。空海が言う。

「戦はせぬのですな。」

 信安。

「婚姻同盟相手に、ですか。」

 少し間。

「向こうも同じでしょ。」

 龍重は竹を見ている。

「戦はせぬのぉ。」

 沈黙。

「腹立たしいのぉ。」


 薩摩国、内城。

 島津義久は静かに報を聞いていた。

「長崎、商人動揺。」

「西彼杵、流通遅延。」

 歳久が笑う。

「効いておりますな。」

 義久は首を振る。

「浅い。」

 沈黙。

「揺らしておるだけだ。」

 少し間。

「ならば、根を揺らす。」


 長崎、夜。

 寺の裏。人が集まる。

「最近、締め付けが強い。」

「坊主が出過ぎだ。」

「昔の方が良かった。」

 声は小さい。

 だが、確実に増えていた。

 その奥。見知らぬ男。

「困っておるなら、助けよう。」

 誰も名を聞かない。

 だが、銭は置かれる。


 西彼杵。

 在地の者たち。

「日野は取りすぎだ。」

「昔はもっと自由だった。」

 同じだ。

 誰かが言う。

「薩摩は違う。」

 沈黙。


 神浦城。

 信安。

「動きましたな。」

 空海。

「島津。」

 信安は頷く。

「流石に恥を知っているようで。」

 少し間。

「裏から、崩しに来ております。」

 龍重。

「当然じゃな」

 沈黙。

「ならば。」

 少し間。

「揺さぶって差し上げようかね。」


 肥後南部、相良館の中。

 男が言う。

「どちらにつく。」

 沈黙。

 別の男が笑う。

「争っていないのでな。」

 少し間。

「元気な方につくとこちらも元気になりそうだな。」


 そこへ二つの使者。

 一つは薩摩。

「従え、守ってやる。」

 圧だった。

 もう一つは日野。

「通せ、ならば増やす。」

 沈黙。

 相良の男が言う。

「どちらも、元気なことで。」

 数日後、流れが変わる。

 南肥後、物が通る。

 薩摩の流れが詰まる。ほんの少し。それだけで足りる。


 薩摩国内城、歳久。

「……遅れております」

 義久。

「どこでだ。」

「南肥後。」

 沈黙。

 義久は言う。

「……相良か。」


 神浦城。

 信安。

「相良。」

 空海が笑う。

「風見鶏。」

 信安。

「敏感なようで。」

 少し間。

「ですが。」

 龍重。

「流れに乗っただけじゃ。」

 沈黙。

 わずかに、ほんのわずかに、流れが傾いた。

 その時だった、報が来る。

「急報!」

 沈黙。

「大友、日向にて伊東を破る!」

 空気が変わる。

 空海。

「……来ましたな。」

 信安。

「いい流れですかな。」

 龍重は竹を見ている。

 沈黙。

 豊後国、大友家。勢いがある。

 南九州に、影が伸びる。


 神浦城。

 信安。

「どうされます。」

 龍重。

「決まっておる。」

 少し間。

「正式に組む。」

 空海が笑う。

「組めますか。」

 龍重、沈黙。

「……組むしかない。」


 数日後、島津への使者。

「日野、協調の意あり」

 表向き、敵ではない。だが。


 神浦城、夜。

 龍重が言う。

「小河」

 信安。

「はい」

 龍重。

「島津」

 沈黙。

「どう見る」

 信安は少しだけ考えた。

「……性格の悪い、いい相手です。」

 空海が笑う。

「同じですな」


 遠く、薩摩国。

 義久が呟く。

「……面倒だ」

 戦はまだ。だが門前に豊後の虎が来る。

 日野にかまい過ぎて裏口は、開いたままだった。


 神浦城。竹が鳴る。

 薩摩より使者。会談の申し入れの返答。

 信安が文を閉じる。空海が笑う。

「来ましたな。」

 龍重は頷く。それだけだった。

 会談は天草。形式は穏やか。空気は乾いている。島津義久、日野龍重、互いに礼を尽くす。

「ご無沙汰にございます。」

「息災にて何より。」

 それ以上は踏み込まない。

 互いに知り、語らず。

 義久。

「近頃、各地が騒がしく、ゆっくり眠れておりますかな。」

 龍重。

「流れは常に動くものにて、流れに慣れると案外眠れるものですなぁ。」

 歳久。

「その流れとやら、慣れるものなんですかね。」

 空海。

「慣れねば寝不足、お肌に悪い。」

 沈黙。

 義久。

「大友家、日向国伊東家を下す。」

 龍重。

「聞き及んでおります。」

 義久。

「当家が当たる。」

 龍重。

「後背は整えましょう。」

 即決。

 戦うは島津。支えるは日野。

 信安が口を開く。

「阿蘇には寄進を。」

「蒲池には流通を。」

「秋月には銭を。」

 少し間。

「動きやすくなるでしょう。」

 義久は頷く。

「それでよい。」

 これは支援ではない。配置である。

 会談は終わる。

 最後まで、何も言わない。


 数日後。

 筑前、秋月。荷が増え、銭が回る。

「利が出る。」

「乗る。」

 蒲池。

「取らぬならば、乗る。」

 阿蘇。

「触れぬならば、拒まぬ。」

 点が動き、線ができる。


 長崎。会談の外で決まっていたことが目に見える。

 一つの話が噂として流れている。誰が漏らしたか、想像はつくが。

「長崎港南部に広大な新港。」

 深い入江、広い荷揚げ。大規模整備。

 意図は二つ。

 布告は長崎連合都市として、港を分け流れを分散することで、止められても、焼かれても、全ては止まらず焼けず。

 流通の多重化、危機の分散。

 信安が言う。

「一つに集めるから、詰まる。」

 瞳が図面を広げる。

「分ければ、流れる。」

 光輝。

「新港には新港商人、じゃな。大いに競わせたい。」

 構想は既に動いていた。

 長崎、広場。

 地空僧正と光輝が立つ。

 商人が集まる。

 地空。

「新港を開く。」

 ざわめき。

「機会は等しく与える。」

「日野家管轄。」

 静まる。

 光輝。

「民のためとなる取り決めのみ。競え。」

 一人が問う。

「妨げれば。」

 地空が笑う。

「日野から破門じゃ。」

 柔らかい声。

 だが意味は明確。

「市を乱す者。流れを止める者。」

 少し間。

「治める。」

 兵が動く。戦ではない、警固、取り締まり。

 名は治安。

 商人たちは理解する。

「平等か。」

「……厄介だな。」

 古い商人。動くが遅い。

 新しい商人。既に動いている。

 港は一つではなくなる。流れは一筋ではなくなる。


 薩摩国、義久が報を聞く。

「長崎、新港。」

 歳久。

「揺さぶりですな。」

 義久。

「半分だ。」

 沈黙。

「残りは備え。」

 歳久が笑う。

「抜かりなし。」

 義久。

「もはやここまで。締めるな。流せ。」

 戦場は日向。日野との勝敗は……。


 神浦城。

 竹が鳴る。

 龍重。

「小河。」

 信安。

「はい。」

 龍重。

「どう見る。」

 信安。

「港が増えれば、流れは太くなる。」

 少し間。

「そして、誰にも止められなくなる。」

 風が吹く。竹が鳴る。

 戦はまだ起きていない。

 だが、流れは、すでに制されつつあった。


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