(5) シャドー退治
本日3度目の更新です!
明日からは1話ずつの更新かもです。
大通りから横の道に入り変身する。
「メイクアップマジック!」
ルキアの体が光に包まれ、魔法少女の姿へと変わる。
いつの間にかソレイユもスマホからマスコットの姿に変わり、ふよふよと浮いている。
ソレイユの手を握るとふわふわの毛が私の手に触れる。それに癒されながらシャドーのもとへと飛んだ。
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目の前の風景が変わり、大きな物音がする方に目を向けるとシャドーが暴れているのが見える。前回倒したものより大きいかもしれない。けどドラゴンを倒した私ならいける!
暴れているシャドー以外に動いているものは見えない。
……良かった、百合は巻き込まれていないようだ。シャドーへと近づき、呪文を唱える。
「フレ」
ドシャーン!
唱え終わる前にシャドーが腕を振り下ろしてきた。慌てて横へ避ける。今回のは図体のわりに動きが速い……。だが身体能力がこの服によって上がっているはずだから……。
飛び上がってシャドーの上へとまわる。
シャドーを上から見下ろすように勢いで宙に浮かぶ。私の背後に太陽がある。こちらを見ているシャドーの顔に私の影がうつる。
「フレイム!」
ボッ!
シャドーの体に火がつき燃え尽きる。……今日も無事に任務完遂できたな。すばやいやつではあったけれど、そこまで知恵が回らないようで良かった。
「ル、ルキアちゃん」
百合の声が聞こえ、勢いよく振り返る。
そこにはシャドーに捕まった百合の姿があった。先程の楽しそうな目とはうって変わって、恐怖に怯えた目をしている。シャドーの方は逆に楽しそうな笑い声をあげながらこちらを見てくる。……遊んでいるつもりなのかもしれない。
このシャドーは笑い声しか出していないけれど、意味のある言葉は話すのだろうか。強く睨み付けながら声をかける。通じるかはわからないが。
「……その子を離しなさい」
「ギャギャギャ」
「気持ち悪い笑い声」
「ぐっ!苦しい……」
思わず嫌悪を示すと、捕まえる力が強くなってしまったようだ。まさか人質をとれるほどの知性があったとは……。
もしかして言葉を理解している?と考え、独り言を大きく話す。
「くそっ! 私は何も武器を持ってないわ。炎の魔法だって彼女がいたら放てない……」
「ギャギャギャ!」
やはり理解しているようだ。こちらが手も足も出せないとわかると余計にシャドーの笑みが深まった。……ただそんな考えなしではないけれど。
「……アイスニードル」
悔しがるように私は地面に四つん這いになった。そのままひそかに氷魔法を唱える。得意ではないけれど腕をちぎるぐらいの威力はあるだろう。シャドーの頭上へとこっそり形成する。そしておもっいきり、その氷を振り落とす。
ガシャーン!
「ギャー!」
「キャー!」
シャドーの腕は無事にちぎれ、悲鳴を上げた。百合はそのまま空中に投げ出されて、百合も悲鳴をあげた。私は百合の落下地点へと駆け出し、受け止めた。
「大丈夫?」
「ありがとう、ルキアちゃん」
「いいえー。じゃあこいつ片付けるね」
百合を安全に立たせ、シャドーへと向き合う。シャドーは怒り心頭のようだ。あのちぎれた腕は一瞬で再生したようで、もう元通りに見える。
やはり核を破壊しないと倒せないのかもしれない。でももう大丈夫。人質はいないし、何も気にせずぶっぱなせる。
「フレイム!」
「ギャー!」
怒りでパワーアップしたかもしれない炎をシャドーへと放った。一瞬でその姿は炎に包まれた。
そしてシャドーは消え去り、その場には私と百合と一応ソレイユが残った。
「あの……ルキアちゃんはヒーローなの?」
「ヒーロー?それって何?」
「えっとね悪を倒す人で、正義の味方みたいな。」
「へぇ! んー、どうなんだろ?」
「彼女は魔法少女ルキアだよ!」
「え!? ぬいぐるみがしゃべった!」
ヒーローなのかと聞かれ悩んでいると、ソレイユが元の大きさに戻って話し出した。
「ソレイユ! 話していいの?」
「うん。この子にも魔法少女の素質を感じるんだ」
「え?この世界でも魔法を使える人がいるの?」
「え!? 私、魔法なんて使えませんよ!」
「ヒールって唱えてみて!」
「……? ヒール!」
百合が呪文を唱えると私に光が集まり、擦り傷が綺麗に消え去った。
「本当だ!というかヒールなんて初めて見た」
「私、知りません!」
「きっとこの世界特有の魔法だよ。ルキアに出会ったことで覚醒したのかも」
「覚醒?」
「うん! 世界が繋がることで様々な影響が出ることがあるんだ」
「ソレイユは知ってたの?」
「妖精界で伝えられてる話にあるんだ。」
「……妖精界」
「じゃあ百合と契約する妖精呼んでくるね!」
ポンッ!
ソレイユはそのまま消えた。たぶん妖精界?に行ったのだろう。
「えっと……ルキアちゃんは魔法少女なの?」
「うん。別の世界から召還されてきたの」
「別の世界!?」
「そう! 私の世界では誰でも魔法を使えるの! でもヒールは聞いたことなかったけど」
「へぇー! 誰でも魔法を使えるなんて物語の中の話みたい!」
「私にとってはここの世界の方が物語の中みたいだよ。今も夢の中なんじゃないかって疑ってる」
「そっかー! でも私、ルキアちゃんと夢であったとしても友達になれて嬉しいよ!」
「百合!……私も」
百合と話しているとまたポンッ!と音がしてソレイユの姿が現れた。その隣には似たような存在が浮いている。
「ソレイユ! その子は?」
「この子はシエル! 百合の契約妖精にどうかなって。」
「えっと……ソレイユさん? その私、魔法少女になれる自信なくて……」
百合が不安そうにソレイユに話しかけたとき、シエルがふわふわと百合に近寄った。
「百合ちゃんならきっとできます。私、そういうのわかるですー」
「シエルちゃん……」
「だから一緒に頑張りましょう?」
「……私もルキアちゃんみたいになれるかな」
「わかんないです。でも違った意味で人を守る魔法少女になれると思うんですー」
「そっか……。なら私も頑張ってみるね。」
「よろしくお願いしますー」
百合はシエルと契約するようだった。……私、特に確認なく魔法少女にされたけどこれはソレイユの仕事が雑なだけ?
「ね、ソレイユ?私のときは……」
「よしっ!じゃあ2人の魔法少女誕生だね!これから頑張ろう!」
「「おー!」」
「……無視された」
「百合の魔法少女名はリリィとかどう?」
「とっても素敵ねー」
「良いと思います!」
「じゃあ魔法少女ルキアと魔法少女リリィだ!」
魔法少女リリィが誕生した。そのまま皆で会話をしていると、どこからか私の名前を呼ぶ声がした。目が覚めるのかもしれない。
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「……ちゃん、お姉ちゃん!」
「あ、ランおはよう!」
「あ! 目が覚めたんだ! お母さーん!」
目を開けるとランのドアップだった。えっと……魔法少女リリィが誕生して……。違う!確か森でドラゴンを倒してそのまま……?
「ルキア!」
「お母さん、そんなに焦ってどうしたの?」
「どうしたもこうしたもないわよ!2日間も目を覚まさなくて……」
「え? そうなの?」
お母さんによると、あのドラゴンを倒したあと仲間たちは目を覚まして私を村へ連れて帰ってくれたらしい。
私とアクアは魔力の使いすぎで、意識を失っていたそうだ。アクアのほうは数時間で目が覚めたが、私はずっと意識が戻らなかったようだ。
……自分的には夢の中でも体を動かしていたため、ずっと寝ていた感覚はない。
お医者様がいらっしゃったので、みてもらったが異常はないらしい。数日安静にするようにとは言われた。けれど皆にも心配をかけただろうから、討伐隊のみんなの家へ起きたことを知らせに向かうことにした。
それにしても……夢と現実の時間の流れにズレが生じた……?




