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ep.04


ここに来て約1ヶ月が経った。学園生活にも慣れてそれなりに楽しく過ごしている。魔法の基礎を勉強するのは随分と久しぶりで、初心に戻るのも悪くないなと思う。

そんな今日も図書室で借りてきた魔導書を読んでいた。


「メーガネくん!ここ教えて!」


陽気な声と共に影が落ちる。視線をあげるとクラスメイトのヴァイオレット・ラスノートが立っていた。ちなみに僕は認識阻害のメガネをかけている。ロネリアと出会った時からずっと。まぁ色々と念の為に、、ね。


「いいよ。どこ?」

「んー?ここなんだけどー」

「あぁ。ここは複雑そうに見えるけど、すごく単純で...」

「あぁ、なるほどね。さすがメガネ君。ありがーーーあ!ロネー!!もぅ、どこ行ってたの?」


僕との会話もそこそこに、教室に入ってきたロネリアにラスノートは飛びついた。

その瞬間ロネリアは薄い魔力の膜で全身を覆った。

さすが、上手いな。あれだけの魔力がありながら器用に使いこなすんだから、彼女は優秀だ。ラスノートは特殊魔力を持っている。本人の意思とは関係なく常に魔力に毒が含まれているのだ。皆誰しもが体の表面には魔力が流れているが、ラスノートはそれさえも毒だ。だから、彼女が触れるものはすべて毒に侵されてしまう。それゆえに多くの人は彼女に近づきたがらない。けれど、ロネリアは全身を覆った魔力の膜でそれを上手く中和させている。それがわかっているから、ラスノートも気安く彼女に触れられるのだろう。彼女もラスノートが構ってくることを喜んでいるようにみえる。何より、ロネリアにも友達がいることに安心した。このクラスの生徒はある意味他人に興味がない。あるのは魔法への探究心と実力への追求心ばかりで、身分さえも気にしていない気がする。だから、ロネリアも外で他の生徒に何を言われても、ここに居る時は穏やかな表情で過ごせているようだった。今も一方的にラスノートがロネリアに喋り続けて、彼女はそれを聞きながらたまに頷きを返している。そんな彼女があまりにも穏やかな表情をしているから、ついつい目を離せなくなってしまった。あまり他人に興味がなかったけど、案外見守る対象がいるのもいいかもしれない。

そんなことを思いつつ、読んでいた本に視線を戻したその時ーーー


『王都南方ラリー橋で魔獣が出現。特魔科はただちに出動を』


教室内に突如警報と共にアナウンスが流れた。その瞬間、穏やかだった教室内は一気に静まり返り緊張が走る。そして、次の瞬間には皆一斉に窓から次々と外へ飛び出していった。

ロネリアやラスノートも例に漏れず、外へと飛び出していく。一応、クラスで関わりが少ないといっても本来の僕の目的はロネリアの護衛だ。その為、飛び出したロネリアの後ろについて後を追いかける。

 現場は学園からそこそこ離れていたが、優秀過ぎる生徒達は物凄い速さで飛び、街を駆け抜けてあっという間に目的地へと到着した。そこでは既に王国魔法騎士達が応戦していて魔物を討伐する為に奮われる魔法の数々と魔物たちが放つ瘴気で辺りは混沌としていた。

そんな場所へ特魔科の生徒は何の躊躇いもなく突っ込み、加勢している。

 特魔科は国の軍事力の一部だ。他国との争いがあれば、国軍勢力として参戦し、魔物が出れば騎士と共に戦う。その為、国からも学園からも他の生徒より優遇され、卒業後の就職先も選び放題だった。とはいっても家の跡取り以外は皆大体、魔法師か魔法騎士に就く為就職前の職場体験みたいなものだ。皆、活き活きと参戦している。

 今回現れたのは小型の魔獣だった。長い耳に剥き出しの牙。爪には毒。あれに当たれば5日間は高熱でうなされるだろう。しかも群れで動く習性がある。その数3万匹。なんでも、今朝方、この街に押し寄せて来たらしい。そこまで攻撃力がない魔獣だが、数が多すぎて厄介だ。接近戦は毒があるため向かないし、広範囲での魔法攻撃は周りの民家を焼きかねない。小規模で確実に仕留める魔法を何度も繰り出さなければいけない状況で皆魔力の消費も激しい。騎士隊も学生達の加勢はありがたいだろう。けれど、僕の場合騎士達がここにいるとなかなかやりづらいのも事実で。目立たないように攻撃魔法の基礎中の基礎、火炎球を1匹1匹に確実に当てていく。この中には居ないだろうけど、万が一僕を知る奴に見つかると面倒だからね。

魔獣に集中しつつ、ロネリアの動きを目で追った。彼女は小さな雷を広範囲で起こし、一度に大量の魔獣を討伐している。民家への被害はない。やはり彼女は魔力のコントロールがずば抜けて上手い。彼女だけでなく、特魔科の生徒は魔法の才があるものばかりだ。皆嬉々として魔獣を討伐し、あっという間に殲滅したのだった。


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