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80/202

80,王殺しパーティ。

 


 ──10日後。


 私は【覇王魔窟】の前にいて、整列している4人に対面していた。

 そのメンバーとは、ロクウさん、ベロニカさん、ライオネルさん、サンディさん。


「はい皆さん、カブギルドのブートキャンプにようこそ」


 ベロニカさんが挙手。


「アリア。あたし、一応はまだ冒険者ギルドなのだけど?」


「はい、細かいことは気にしないのです」


 こんどはライオネルさんが挙手。


「嬢ちゃん。ちゃんと報酬はでるんだろうな? といより、これは一体なにごとだ?」


「これから説明するので、いまは静粛に」


 サンディさんが挙手。ちなみにサンディさんとは、15歳の乙女であり、修道服を着ているのは、修道女だからだ。コスプレでは、ない。


「あ、あ、あの……あの?」


「サンディさんも、いまお話ししますからね。

 こほん。えー、いいですか皆さん。私はソロプレイが好きなのです。独りで攻略し、独りでコツコツと己と武器を強化していくのが。そんな私が、こうしてパーティを結成しようとしている。それがどれだけ凄まじいことなのか、そこを理解していただきたいのです。

 そうすると、事の重大さが分かるでしょう。つまり、私の【覇王魔窟】攻略ライフの危機──ではなく、アーテル国の危機です! 我が祖国の危急存亡のときなのです!」


 10日前。

 995階の〈攻略不可能体〉である〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉に精神的敗北(すなわち勇気ある撤退)をした。


 その翌日。国王がバルコニーから民に挨拶するというので、私も広場に行ってみた。

 そしてアーテル国王を眺めながら、〈魔物図鑑:視覚版〉を発動。しばしの妨害を受けたあと、国王に重なるようにして〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉と出た。


擬態幻魔ミミクリーデビル〉は、私に明かしたプランを有言実行したわけだ。

 すなわち、王に成り代わってしまった。

 そうして、王の記憶と人格も入手した上で、すっかり王として振る舞い、王妃に肩までまわしている。

 この事実は、確かに公表するべきではない。


 そこでは私は、静観することにした。

 考えてみると、〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉の政策が、王よりも酷いものになるとは限らない。魔物だからダメというのは、魔物差別である。案外、良い国になるかも?


 ところが──一昨日のことだ。

 ロクウさんが得た極秘情報によると、王(つまり〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉)は、秘密裡に侵略計画を練り、各地の軍を集めようとしているそうだ。

 すなわち、ラザ帝国領土への侵攻である。

 そんなことをすれば、当然ながらラザ帝国と大戦勃発。戦争状態となっては、私の【覇王魔窟】攻略ライフに大いなる悪影響を与えることになる。

 

 ダメです。それは、いかんのです。


擬態幻魔ミミクリーデビル〉にはガッカリした、というのが正直なところ。王よりまともな政策を期待したが、やはり魔物か。どうせ『ヒマつぶし』とかで、戦争状態でも起こそうというのだろうが、民草にはいい迷惑だ。

 止めねばならない。

 しかし王の臣下に、『今の王は王ではなく、〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉なのだ』と警告しても、火に油。


 まず〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉が成り代わっていると証明することが難題。私も〈魔物図鑑:視覚版〉がなければ見分けがつかないし、〈魔物図鑑:視覚版〉は貸せるものでもないし(たとえ貸せても、その情報を信じてくれるかは疑問)。

 いや、おそらく私の言葉を信じる者も出てくるだろう。だがそうなると『王は王と信じる』勢力と、『王は〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉と信じる』勢力による争い、すなわち内戦となる。

 内戦状態も、やはり私の【覇王魔窟】攻略ライフに悪影響である。もちろんアーテル国の罪なき民にも!(忘れていませんよー!)。


 では、どうするのか? 

 殺すのである。


擬態幻魔ミミクリーデビル〉を殺す。殺せば《擬態遊戯》スキルは解除され、正体を現すだろう。

 その上で、新たな信用のできる王を戴冠させる。現在、王位継承権68位である、我らがミリカさんを! 

 ちなみにミリカさんには、この計画は内緒です。


 さて、プランは決まった。あとは実行するため戦力を上げることだ。

 敵は〈攻略不可能体〉である。私は、自身の武装Lv.を5000までは上げる必要を感じている。最低でも、だ。

 そして、これは私一人では成し得ない。仲間が必要だ。


 王殺しのパーティが、必要なのだ。


 メンバーは、まず強化武器タイプのみ。〈開華のタネ〉スキルツリー覚醒者とは違い、武装Lv.上限が9999の者たち。

 その上で、まずベロニカさんと、ロクウさんは決定。また、以前はルドル卿に雇われていた〈挑戦者ディファイアンス〉のライオネルさんも(〈攻略不可能体〉のことを最初に教えてくれた人でもある)。

 私も含めて、この4人で、王殺しパーティだ。


 ベロニカさんたちも、武装Lv.は最低1000以上まで。すなわち4桁の領域には突入してもらいたい。

 そして全員で武装Lv.を爆上げするためにも、地下迷宮〈死の楽園〉へとこれから乗り込むのである。これが、カブギルドのブートキャンプですっっっ!


 あ、それとサンディさん。

 私たちが【覇王魔窟】を目指して出発するとき、王都の教会から出てきたのを見つけた。装備している聖杖が強化武器だったので、拉致───ではなく、スカウト。いまは『戦力は多いにこしたことなし』で、パーティメンバーになってもらった。


「皆さん。レベル上げを頑張って、一致団結し、王を殺しましょうっっ!! えいえいおー!!!」


「「「「えいえいおー!!」」」」


 あれ、サンディさん、泣いてる?


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― 新着の感想 ―
[良い点] サンディさん…気を強く保つのです…これからあなたには更なる試練が待ち受けているでしょう… 王(ミミクリーデビル)殺しパーティー、上手く噛み合うか不安が残りますねぇ。 アリアさんの人…
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