初めての精通
家に帰ると、母が夕飯の支度をしている最中であった。
「ケンジ、帰ってきたん?もうすぐ、ご飯できるから」と僕を見つけた母が言った。
「そんな、急がんでいい」と僕が言うと、「何言いよるん。あんた、昼もろくに食べてないないやん。おなかすいとるやろ?」と母が言った。
「昼もろくに食べんとどこ行っとったん?」と聞かれ、とっさに僕は「リョウちゃんとこ」と正直に答えてしまった。
『しまった』と思ったが、それを聞いた母は、「リョウちゃんとこ?あんたも、もう大きいなったんやから、あんまりリョウちゃんとばっかり遊んどってもいかんよ」と言った。
リョウちゃんがおばあさんのところに行って、その時いなかったことを母は知らなかった。
リョウちゃんと遊んでいたと思われた僕は少し不機嫌に「わかっとる」と答えた。
その夜、自分の部屋に入って一人になると、あらためて昼リョウちゃんの家で見た光景が頭に浮かんできた。
僕は、机に座って、その昼間見た光景を、いつも漫画を描いている雑用紙に描き始めた。
一番見たかったリョウちゃんのお母さんの白いお尻や、四つん這いになっているリョウちゃんのお母さんとその後ろでヒザをついている白石のおっちゃんの姿など、何枚も書いていると、おちんちんが固くなり、昼間と同じく、なんとも言えない快感が全身に走った。
僕はその絵を母に見つからないよう机の引き出しの奥にしまうと、いつもより早く床に入った。
床に入っても、昼間の光景が頭から離れず、目がさえてなかなか寝付けなかった。
何度も寝返りを打ちながら、白石のおっちゃんが、リョウちゃんのお母さんの口に自分のおちんちんを無理やり押し込んださまを真似しようと、自分の固くなったおちんちんを握った時のことだった。
それこそ表現しようのない、今まで股を強く締めた時に感じていた気持ちのいい感じの何十倍もの快感が僕の身体全体を駆け巡った。
それと同時に、腹の奥から得体のしれない何かが、おちんちんの先をめがけて押し寄せてくるのが分かった。
「あっ!ダメだ」と思った瞬間、おちんちんを握りしめていた僕の右手がヌルヌルの液体でびちゃびちゃになった。
その液体は濃い黄色で、次々に腹の奥から押し出されてくるため、僕の手のひらだけでは抑えきれず指で作った堰を越えて下へ流れ出た。
そのまま、その粘っこい液体は、僕のお腹や履いていたパンツを汚した。
僕は、慌てて、さっき、漫画を描くために机に置いていた雑用紙を取ると、ヌルヌルになった自分の手や腹やパンツを拭いた。でも、雑用紙は、そのヌルヌルの液体をうまく吸い取らず、何枚も何枚も使って、母にバレないよう必死で拭きとった。
その拭きとった紙もぐしゃぐしゃに丸め机の引き出しの奥に放り込んだ。
よく分からないが、なんだか、とっても悪いことをしたという罪悪感が自分の頭の中を占領した。
心臓の鼓動がめちゃくちゃ大きくなり、張り裂けてしまうのではないかと思うほど苦しくなった。
悲しくもなった。
でも、そのうち、少し落ち着いてきて、『大したことじゃないんだ』と自分に言い聞かせ、『さっき感じた得体のしれない快感は何だったのだろう? もしかするとカタツムリ二匹が引っ付いていた時に白石のおっちゃんがニヤニヤして教えてくれた、オスとメスの交尾に関係することなのだろうか?・・・・・・』と、そんなことをあれこれ考えている間に知らず知らずに眠りについていた。