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水上くんのオタク事情  作者: さな
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幽香VS日向

そんなこんなで一週間が過ぎようとしていた。

あの日以降、幽香の態度は特になんの変化ないが俺は幽香の顔を見る度にキスをされたことが頭に思い浮かんでしまい変な緊張をしてしまう日々が続いていたが少しずつ落ち着いてきてはいる。

だってね……童貞にキスなんて殺しにきてるよいやまじで……別に唇の感触が気持ちよかったとそいうのじゃない。


しかし俺がオタクだとバレないためにも幽香とはビジネスライクな関係を作っていかなくては……

そう言えばカタカナ語使うとそれとなく頭が良く見えると思うのは俺だけだろうか。

適当にカタカナ並べておけば頭が良くなる気がする。まあただ意味もわからず使っているところを見るとただの痛いやつだな……う、頭が……


「ひ〜う〜ち〜ら〜!」

「あらあら、今日も返り討ちにされに来たのかしらこの胸部デブさんは」


俺が部室の外から真っ青に晴れた空を黄昏ているのを邪魔する声が二つ、ギャアギャアと動物のように喚く日向とそれを迎え撃つ性悪女の幽香。

最近、また一つ悩みの種が増えた。

もちろんこの二人に関することだ、部室に会うや否や……


「さあ決闘開始の宣言をしなさい日向さん」

「デュエル開始ィィィ!」


なんでカードゲームで勝負ををしだすかなあ、この子達!

デュエルディスクをどこから取り出した、バックにでも入れてたのかよ!


そう、日向が着々と幽香の魔の手によってオタク化していってることに俺は頭を悩ましている。

日向が幽香と言い争う姿は度々見かけてはいたが……何故こうなった。

もうすでにデザイン部の肩書きはどこへやら、今じゃサブカル部と言ってもあながち間違ってはいないのでは。


いや別に日向がオタク化するのは悪いことではない、むしろ俺もありがたいのだが……

自作小説だけはバレたくはない!


「私のターン!」



どうやらデュエルが始まったようだ、もうどうとなれこん畜生。

しかし遊〇王なら俺も少しだけ遊んだことはあるからある程度ルールは分かる、どれ少しだけ見させてもらうか。

ルールは至ってシンプルで両者のライフポイントと呼ばれる数字で設定されたものをゼロにしたら勝ちというものだったか。

初期設定値は八千ポイントだがどうやら時間が惜しいのか四千ポイントでやるみたいだ。


先行は幽香、手札の五枚のカードをじっくりと見定め一枚のカードを切る。


「レベル三のニート地区の失業エルフを守備表示で召喚!カードを一枚伏せターンエンド」

「私のターンドロー!私はレベル四の撲殺戦士コロスを攻撃表示で召喚!」


幽香はニート地区、日向は撲殺戦士のデッキか。

ニート地区はおもに相手の妨害を得意とするカードが豊富のカードが多かった気がする、まさにあいつの性根そのものを表しているみたいだな。

比べて日向は撲殺戦士デッキか……完全な脳筋デッキも呼ばれるあれを使うとはまさに脳筋の日向にとってお似合いのカードかもしれないな。

確か撲殺戦士コロスの効果は、


「撲殺戦士コロスの効果により、相手モンスター一匹の表示形式を変更することができる!失業エルフを守備表示から攻撃表示変更!相手の攻撃力はたったの五百、そして私のコロスは攻撃力千七百!ゆけ!撲殺戦士コロスで失業エルフを攻撃、野郎オブクラッシャー!」


声を荒げ攻撃宣言をする日向だが、フッと微笑を浮かべる幽香は伏せていたカードに手をかけた。


「だがしかし!そこでトラップカードオープン。グラビティバインド。超重力の網によってレベル四以上のモンスターは攻撃できない!脳筋は大人しくしときなさい!」

「ちっ……カードを一枚伏せターンエンド」

「そして私のターンドロー。毎ターンのスタンバイフェイズ時ここで失業エルフの効果を発動、相手のライフを五百ポイント削り私のライフを五百回復する」


幽香のライフが四千五百、日向のライフが三千五百になった。

ニート地区の多くは自身のライフを回復または相手の体力を攻撃せずとも削ることが出来る。はっきり言ってイヤラシイカードばかりだ。

それに失業エルフはレアカードのはずだがよく持ってたな幽香。


「流石に二千円のカードはなかなか強いですね!」


買ったのかよ!


「そして私はレベル四ニート地区の不登校少女を召喚してターンエンド」


ニート地区の不登校少女。

バトルフェイズの度に相手のライフを五百削ることができる。

攻撃力二千のモンスターを守備表示か。どうやら幽香は攻撃する気はないようだな。たしかに自身のトラップによって攻撃はできないがモンスター効果によってじわじわ追い詰めることができるというわけか。


「おやおやニート地区ですか」

「あ、福原先生」

「やあえいきくん、ここ座ってもいいかね?」

「ああ、どうぞどうぞ。先生も知っているんですか?」

「ええ、少しだけね。ニート地区は少し癖のあるデッキで相手のライフを削り自分のライフを回復する特性を持ったニート地区モンスターを主軸としたロックバーンでね、非常に粘り強いデッキなんだ。対して日向くんのデッキは撲殺戦士を主軸としたバーンロックデッキ……これは熾烈を極めると思うよ」

「は、はあ……」


この人、超知ってるじゃん!なにが少しだけだよ。


「ほらこのターン動くようだよ日向くんは」

「え?」



「たとえ困難があろうと私は……俺はそれを超えていく!俺の魂を全てカードに込めて戦うぜ!ドロー!」


あのぉ日向さん?口調が変わってますけど?もう一人の私てきな?


「撲殺戦士コロスを生贄に撲殺戦士長ブッコロリーを召喚っ!」

「撲殺戦士長ブッコロリー…っ!」


攻撃力二千五百のモンスターっ!しかし、


「あらあらお気づきでないのでは?グラビティバインドの効果により攻撃はできませんよ?」


「甘いぜ!手札より装備魔法を発動!『ブッコロリーの制御装置』!」

「なんですって!?」


たしかあれは……

「『ブッコロリーの制御装置』ですか、珍しいカードを持っていますね日向さんは」

「わ、わかるんですか!福原先生!」

「ええ、あのカードの効果は撲殺戦士ブッコロリー専用の装備魔法、攻撃力を三百下げる代わりに魔法そしてトラップの効果を受けなくなる」

「おお!そんなカードが!」



なんだ!この茶番!いつからデュエル小説になったんだだよここはよ!ドキドキ溢れる日常的コメディじゃなかったのか!

そして説明ありがと!


「しまった!失業エルフはコロスの効果で攻撃表示……!」

「いけ!ブッコロリーで失業エルフを攻撃!《イレイザーキャノン》!」

「うぐううううううう……っ!」


あれ、死のデュエル始まってない?なんで現実に直接ダメージいっているんだろ。あははは疲れてんだなきっとそうだなそうに違いないあは、あはははははははははは。

……もうやだ。


「その程度の防壁じゃ俺のブッコロリーの攻撃は防ぐことは出来ないぜ、お前の全てをもってかかってきな!それを俺は粉砕してみせるぜ」



「先生、長くなりそうですしお茶でもどうですか」

「ああ、悪いね。そうしようか」







すみません、どうしてもしたかった。謝る気は無い

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