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党内通信(一九五八年三月~十月)

<解題> 原題は「党内通信』、『万歳』丙本所収。四月二十九日付は『万歳』甲本、丁本、十月十一日付は甲本にも所収。各通信の表題は訳者が付したものである。


この六篇の通信のうち、四篇は一級行政区の第一書記あて、一篇は省から公社・小隊レベルまでのあらゆる幹部に、最後の一篇はおそらく党中央の農業担当の責任者にあてたものである。毛沢東は一方で鄭州会議を組織し、人民公社の調整と前進の方向を明らかにしながら、他方できわめて具体的かつキメの細かい指導をおしすすめていたことが、この党内通信から読みとれる。この時期(五九年三 ~十月)は、人民公社のいきすぎ・混乱にたいする全面的な調整のはじまった鄭州会議から、政策路線の激突する廬山会議をあいだにはさむ激動期である。毛沢東は右からの攻撃にたいしては、断固反撃しつつも、欠陥の克服をめざす指導はじつに具体的である。


三月九日〔六級幹部大会を開け〕


各省・市・自治区党委員会第一書記の同志たちへ中央は三月二十五日、上海で政治局拡大会議を開き、みなさんが出席されるよう決めた。各省・ 市・自治区の党委員会は、今回の郷州会議(一九五九年三月鄭州で開かれた第二次会議——原編者注)の精神にもとづき、人民公社をテーマとして討論する六級幹部大会をおよそ十日前後開く必要がある。したがって、ただちに開くべきである。たとえば湖北省委員会が三月十一日に開会するよう決めたのは、適当だ。おそくなると不利だ。時間が短かすぎると、問題の分析・暴露・討論が不十分にならざるをえず、解決も妥当かつ徹底的ではありえない。各省・市・自治区の会議は、人民公社(2) の管理体制と若干の具体的政策の問題についての決議を採択すべきである。第一書記は総括的な講話をやって、人民公社の当面する主要矛盾・諸政策の問題を、深く・徹底的に解明できるようにする。この二つの文献をただちに配って、下部に明確な根拠をあたえる。この二つの文献の思想をつくり、起草するには時間が必要だ。たとえば三月十一日に開会し、三月二十日あるいは二十二日に閉会するとすれば、各第一書記は体をあけて、三月二十五日の上海会議に出席できよう。こうすれば余裕ができ、あまりせかされることにはならない。河南省の六級幹部大会は三月十日におえ、かれらの決議、総括的な講話は、三月九日に最終稿ができる。この二つの文献は、中央で三月十四日まえに航空便でみなさんの手許に送り、参考に供する。河南省の下級では、県の四級幹部大会を開き、省の六級幹部大会の方針を伝え、各県・公社・大隊での具体的執行方法を討論する。県の四級幹部会議に出席したのは、県レベルの若干人、②公社レベルの若干人、③生産大隊レベルから大隊ごとに一~二人。生産隊レベルから隊ごとに一人。そのほか若干のひよりみ派・ソロバン派。


合計すると、少なくて千人あまり、多くて二千人である。会議は七日から十日。河南省各県は三月十三日あるいは十四日に同時に開き、三月二十三日あるいは二十四日以前におえる。三月はあと一週間あるので、公社・大隊・生産隊が会議を開くよう残しておく。要するに、三月中に人民公社問題における山のようにあるあいまいな思想と矛盾やくいちがいを、基本的にははっきりさせ、解決する。四月から全党・全人民が意志を統一して今年の大躍進を展開できよう。各省・市・自治区も。 河南省のようにやるよう、わたしは希望する。各省・市・自治区の六級幹部大会が、湖北省のように三月十一日に開会し、三月二十日あるいは二十二日以前に閉会できるなら、三月末には県の四級一部の同志は、あわただしくて準備できないから会議をおくらすべきだ、と考えるかもしれない。


幹部会議をおえ、四月十日以前に公社・大隊の討論をおえ、河南省より十日前後おくれるだけだ。


わたしは、それはよくないとおもう。われわれには、すでに明確な方針があるのだから、六級の幹部をすみやかに集めて、方針をただちに示し、数日のうちに大きな矛盾を大いに暴露すれば、多くの人の支持をかちとることができよう。われわれが主動的にやれば、ひよりみ派・ソロバン派はいうべきことがなくなる。むろん一部の人はおもいきりがつかず、われわれの悪口をいい、横車をおすかもしれない。これらの人は数日よく眠れず、メシがまずいかもしれない。しかしそれも数日だけだ。数日たてば、おもいきりがつく。要するに、おそくてはダメ、はやくせよ。準備工作をいくらかやるには、まず専区・県レベルの思想を若干啓発するが、全部啓発する必要はなく、三日もあれば十分だ。三月四日から十日まで、六~七日準備しても、まだたりないだろうか? まったく十分だ。長びかせるとかえってよくない。


わたしの提案は以上のとおりだ。やれるかどうかは、みなさんがそれぞれの情況にもとづいて決定してほしい。


毛沢東


一九五九年三月九日午前四時、鄭州にて




三月十五日[採算単位をどこにおくか〕


各省・市・自治区党委員会第一書記の同志たちへ


わたしは武昌にきてから五日になる。湖北省六級幹部大会の資料を読み、同時に一部の省・市・自治区の資料を受けとったので、一つの問題をみなさんと相談してみたいとおもう。河南省の文献は、すでにみなさんに送ったが、そこでは生産大隊を人民公社の基本的採算単位(4) ・分配単位とするよう主張している。わたしは鄭州で、湖北省委員会の三月八日付、人民公社管理体制と食糧問題についての規定を受けとったが、そこではこう主張している。


「もとの高級組合、つまりいまの生産隊を基本的採算単位とする。もとの高級組合がいくつかの生産隊に分けられているものは、合わせて一つの基本採算単位とすべきである。少数の規模が小さすぎ、経済条件がほぼ同じであるために、一つの生産隊に合併した高級組合のばあいは、これらの公社の幹部・公社員が一つの基本採算単位とすることをのぞむならば、公社党委員会の審査・決定をへて、県委員会に批准を求めてよい。」


わたしは武昌で、周小舟同志にきてもらい、王任重同志 (6) とともに話をした。わたしは小舟に、河南省のやりかたに賛成するのか、湖北省のやりかたに賛成するのかをたずねた。かれは、河南省のやりかた、つまり生産大隊(管理区)を基本採算単位とすることに賛成した。かれらのところでは、一生産大隊がおよそ六つの生産隊を管理するだけで、この六つの生産隊は、およそ三つのもとの高級組合からなる、つまり一組合を二つの生産隊に分けたからである。その後、広東省の三月十


一日付報告を受けとったが、かれらは五級への三固定を主張している。 (7)


三固定の第一は、基本採算単位であり、「一律にもとの高級組合(全広東省にもと二万三千組合があり、一組合平均三百二十戸前後)を基礎として、一部はいまの生産隊(あるいは大隊)にほぼ相当し、一部の公社化後二、三の生産隊に分けたものはすぐ合併して新しい隊とし、基本採算単位とする。もとの高級組合が小さすぎ、一自然村に数組合あるなら、同一村ではなくとも経済条件の差が小さいばあいは、大衆の同意をへて合併し、基本採算単位とする」。


このように河南・湖南省は生産大隊(管理区)を基本採算単位とするよう主張し、湖北・広東省は生産隊すなわちもとの高級組合を基本採算単位とするよう主張している。けっきよく、どちらがよりいいのか? あるいは両者を並行させてよいのか? 王任重同志によれば、湖北省の会議では、この数日この問題を討論しており、両派の意見がはげしく衝突したという。がいして、県・公社の党委員会・大隊(管理区)は、大隊を基本採算単位とするよう主張し、生産隊(もとの高級組合)の支部書記の大部分あるいは全部が生産隊を基本採算単位とするよう主張した。この問題はかかわりが大きく、三千余万の生産隊長・小隊長などの基層幹部と数億農民の利益に直接かかわる問題である。河南なり湖北省のやりかたを採用するには、かならず基層幹部のほんとうの同意をえなければならず、かれらがムリだとおもうなら、むしろ生産隊すなわち高級組合を基本採算単位として、かれらが大衆から離れないようにしなければならない。いまのような時期に大衆から離れるのは、たいへん危険であり、ことしの生産目標を達成できなくなる。河南省ではすでに決めたが、省委員会の同志は、なおいま開かれている県の四級幹部会議で基層幹部の意見を求めてほしい。かれらが省委員会の決定に同意するなら、そのとおりやっていいが、もし同意しないなら改めたらよい。『鄭州会議記録』で「隊を基礎とする」というのは、生産隊すなわちもとの高級組合を指すのであって、生産大隊(管理区)ではない。要するに、大衆の意見にしたがってやるべきである。どんなやりかたであれ、大衆の要求に合っていさえすればやっていけるが、さもないと、けっきょく、やっていけない。けっきょく、どうやればよいのか、みなさんが事情を斟酌して決めてほしい。


毛沢東


一九五九年三月十五日武昌にて




三月十七日〔三級所有制を]


各省・市・自治区党委員会の第一書記の同志たちへ


県・公社の会議の問題について。


各省・市・自治区の六級幹部会議はおえようとしているが、県の四級あるいは五級幹部の大会を開くべきであろうか? わたしの意見は開くべきだ、しかもおおっぴらにやるべきだ、というものだ。ただ、新聞には載せない。河南省各県では、いま四級幹部大会を開いているが、活発で・有益である。河南の省レベルの責任者は、いまいくつかの県を直接指導し、その経験を用いて各県を指導している。湖北、広東、江蘇省では全省的に準備して、各県で一様に開く、江蘇省の江陰県委員会は、一万人の会議をすでに準備した、河南省の二つの県も一万人大会であり、多くの県は四、五千人である。県は五級の幹部大会を開くよう、わたしは提案する。すなわち県レベル・公社党委員会レベル・生産大隊(管理区) レベル・生産隊(もとの高級組合) レベル・生産小隊(生産組あるいは作業組)レベルからそれぞれ代表を参加させる。すべての小隊長・すべての支部書記と生産隊長・すべての管理区の総支部書記と生産大隊長および公社レベルの若干の幹部をみな参加させる。


思想の啓発されていない人、ひよりみ派・ソロバン派もかならず参加させる。のぞましいのは、かれらが一割を占めることだ。公社員のなかの積極分子も、少数出席させてよい。これらの人すべてに、県委員会第一書記の講話を聞かせる。というのは、かれの講話は、一般の公社第一書記とくらべて水準がより高いからだ。それから討論をくりひろげる。発言者はとがめられず、大いに意見を出す。数日やれば、思想がまとまってくる。会議では三つの対立面をたたかわせる。一つは基層幹部とその上級(公社・県)との論戦、一つは思想の啓発されていない人といる人との論戦、一つは一割のひよりみ派・ソロパン派(人からひよりみ派・ソロバン派とみられている多くの人は、じつはひよりみ派・ソロバン派ではなく、誤解されているのだ)と九割のまともな人間との論戦である。 三、四日討論すれば十分だ。その後三、四日かけて具体的問題を解決する。全部で七、八日あれば十分だ。五つのレベルからなる県の大会は、六つのレベルからなる省の大会とくらべて、かならずよりいきいきとして活発なものとなろう。公社の党委員会書記・県委員会の第一書記に、どのように工作をやるのかを話す必要がある。会議では、集めたこれらの同志にもっぱら話をさせ、過去数ヵ月一部の措置が当をえなかったために、「共産風」が吹き、平均主義・調達主義・貸付金の回収によって、一時大衆から離れたというきびしい教訓から、かれらに経験をひきださせる。こうすれば問題を考え、工作をやることに熟達し、大衆と一体になることができる。公社・管理区(生産大隊)・生産隊(もとの高級組合)の三級所有制による管理、三級での採算のほかに、生産小隊(生産組あるいは作業組)の部分的所有制の問題も討論すべきだ。この問題は王任重、陶魯笳など数人の同志が提起したもので、わたしはもっともなことで、討論に値するとおもう。県の大会は三月下旬におえ、四月はまるごと公社の代表大会を開かないでよい。この月は生産に忙しいので、小さな会を開き 、具体的な問題を解決する。各生産隊は工作の余暇に党員大会を開き、さらに大衆大会を開き、全人民の討論をやる。どの公社でも数百人が県の会議に出席しているので、問題はすでに話しきっており、全人民の討論を直接すすめることができる。湖北省ではすでに一部の県で全人民の討論をすすめている。五月までに全国の各公社は三日(三日で十分だ)をさいて、人民公社の第一回社員代表大会を開く。代表には、男・女・老人・青年・前向きの人・後向きの人(地主・富農・ 反革命分子・悪質分子はダメだが、富裕中農は必要)がいなければならず、いくつかの問題を討論し、公社の管理委員会を選挙する。この代表大会は、一年に四回開き、毎回一~二日、多くても三日とするよう提案する。公社の第一書記は、この会議の指導に熟達する必要がある。わが公社党委員会の書記の同志たちは、いつも大衆の利益に関心をもち、自己の政策的措置を当面の大衆の意識水準と切実な要求にあわせるよう、たえず考えなければならない。この二条件に背くならば、きっとうまくいかず、失敗するであろう。県・専区委員会は、公社への指導を強めるよう注意する必要がある。政治的にしっかりした同志を、政治的にやや弱い公社に派遣して援助し、専区委員会はやや弱い県委員会に人を派遣して指導を助ける。県・公社は基本採算単位である生産隊(一般にはもとの高級組合を指す)の指導部を強化することに注意せよ。以上は提案にすぎない。けっきょく、 どう処理すればより適当かを、みなさんが考えて決定し、すみやかに実行してほしい。県は会議を開くとき、公社各レベルの人びとを残して生産を指導させ、あるいは交替で出席させ、農作業の時期を逸しないように。


毛沢東


一九五九年三月十七日午前七時 武昌にて






三月二十九日〔都市・工業の問題〕


中央各部・委員会〔日本の省・庁にあたる]・党委員会あるいは党グループの書記および各市・省 ・自治区党委員会書記へ


上海のいくつかの県の資料は、閲読すべきだ。工鉱業企業・交通運輸業・財政金融貿易事業・教育事業およびその他の事業のどれであれ都市の大方針の制定・執行にあたっては、基層幹部(支部書記、車間主任〔工場の部長にあたる〕・工段長〔工場の課長〕)および大衆のなかの積極分子などの意見をかならず求めなければならない。かれらの圧倒的多数を会議に出席させ、意見を発表させてこそ、対立面があらわれ、矛盾が暴露され、真理を探ることができ、運動をくりひろげられる。総支部書記・工場鉱山党委員会書記・都市の地区委員全書記・市委員会と市人民政府に属する各機関の責任者と党書記・中央レベルの司局長〔局長・部長〕の同志の話を、われわれは絶対に過度に信用してはならない。かれらの多くは、ほぼ完全に大衆から離れ、独断専行をやっている。上からの指示でかれらの気にいらないものにたいして、かれらは面従腹背か、放置するか、である。かれらは多くの問題で自分だけを信じ、大衆を信じない。 大衆路線というのがまったくない。そこでこんご毎年二回、五級あるいは六級あるいは七級の幹部大会をかならず開かなければならない。毎回会期は十日で、上と下から、まんなかをハサミうちする。こうしてこそ、まんなかの幹部のまちがった観点を正すことができ、かれらの固くなったアタマをときほぐし、進歩させることができる。ほかに方法はない。かれらの話に耳をかたむけすぎると、われわれも同じくなり、誤りをおかすだろう。情況がわからず、下情を上達できず、上意を下達できないのは、危険きわまりない。この大会を毎年二回開くと、われわれにもたいへん役に立つ。われわれが情況を理解し、誤りを正すことができる。ここでいうのは、都市の問題であるが、 農村の問題も同じであり、わたしは、まえの通信ですでに、だいたい話した。


毛沢東


一九五九年三月二九日






四月二十九日〔密植・機械化など]


省・専区・県・公社・大隊・小隊レベルの同志たちへ


わたしは、同志たちといくつかの問題について相談したい。みな農業にかんするものだ。


第一は、生産の請負いの問題である。南方はいま田植えを、北方はいま春の耕作をやっている。


生産の請負いは、かならず着実にやらなければならない。上級の決めたあの一連の指標はまったくかまう必要がない。これらにかまわず、現実の可能性だけを問題にする。たとえば去年のムーあたり生産高は、実際には三〇〇斤[一斤は○・五キロ」にすぎなかった。ことし一〇〇斤、二〇〇斤増産できれば、しめたものだ。八〇〇斤、一〇〇〇斤、一二〇〇斤、あるいはもっと多いというのは、ホラ吹きにすぎない。現実にやれないのに、ホラを吹いてなんになろう? たとえば去年ムーあたり五○○斤のものが、ことしは二〇〇斤、三〇〇斤増産できるなら、成果は大きいといえる。 それより多くというのは、一般的にいえば不可能だ。


第二は、密植の問題である。まばらすぎてもいけないし、密になりすぎてもいけない。多くの青年幹部、一部の上級機関は経験が少なく、ひたすら密植しようとしている。一部の人は、密であればあるほどいい、とさえいう。まちがいだ。老人は疑い、壮年の人も疑っている。この三種の人が会議を開き、適当な密度を決めればよくなる。生産を請負うからには、密植の問題は生産隊・生産小隊が相談して決めなければならない。上から密度についてムリな命令を下しても、役に立たないだけでなく、害は大きい。だからこのようなムリな命令を絶対に下してはならない。省委員会は密植の大ワクを示してもよいが、命令としてはならず、参考に供するのである。このほか、上級では密植はけっきょくどの程度がいいのか、注意深く研究する必要がある。経験を蓄積し、気候・地域のちがい、土壌・肥料・水利・種子などの条件のちがい、作物のちがい、栽培管理水準のちがいなどにもとづいて、より科学的に密植の程度を規定し、数年のうちに実現可能な標準をつくれれば、 それでいいのだ。


第三は、食糧節約の問題である。しっかり把握し、人に応じて量を定める必要がある。農繁期にはたくさん、農閑期には少なく食べ、農繁期にはふつうのメシを、農閑期にはさつま、野菜、瓜、 豆、さといもをまぜた粥を食う。これは、かならずしっかり把握しなければならない。毎年、収穫・保管・食べかたの三つ(収・管・食) はしっかりやらなければならない。そのうえタイミングが必要で機を失ってはならない。二度とチャンスはこない。備蓄が必要であり、毎年少しずつためれば、年を追って増える。十年、八年奮闘すれば、食糧問題を解決できるだろう。この十年は、大言壮語してはならない。大言壮語は危険だ。わが国は六億五千万の人口をもつ大国であり、メシを食うのが大問題であることを知らなければならない。


第四は、播種面積を増やす問題である。少なく播き・高い生産をあげ・たくさん収穫する計画は、長期計画としてやれば可能だが、十年では全部を実行することはもとより、大部分を実行することもできない。この十年は情況をみて一歩一歩実行する。この三年は大部分がうまくいかないだろう。だから、この三年はなるべくたくさん播く。当面の数年の方針は、広い面積に播くが味の少ないやりかたと、面積は小さくても反収の多いやりかたと、同時並行でいくことだ。


第五は、機械化の問題である。農業の根本的な活路は機械化にある。十年かかる。四年で小さな解決、七年で中ぐらいの解決、十年で大きく解決する。今年、来年、再来年、そのつぎの年、この四年は主として改良農具・半機械化農具に頼る。どの省・専区・県にも農具研究所を設け、一群の科学技術要員、農村の経験豊かな鍛冶屋、大工を集める。全省・専区・県のさまざまな進歩した農具を探し集め、比較・試験・改良をやって、新式農具を試作し、試作に成功したら、田畑で試験をやり、たしかに有効であるなら、大量生産し、おしひろめる。機械化の話になれば、化学肥料製造の機械化も含めなければならない。化学肥料を年を追って増産することは、重要なことだ。


第六は、ほんとうのことを話す問題である。生産の請負いは、どれだけ請負えるかを考えて、どれだけという話をする。努力しても実際にはやれないことをやれる、とムリにいうようなウソをいわない。収穫がこれこれならそういい、実際の情況に合わないウソをいわない。各増産措置、八字憲法を実行するときは、どれについてもウソをいわない。まじめな人、あえてほんとうのことをいう人は、けっきょく人民の事業に有利であり、自分としても損をすることはない。ウソをよくいう人は、第一に人民に害を与え、第二に自分にも害をあたえ、いつも損をする。多くのウソは、上級がおさえるから出てくる、というべきだ。上級のほうが「ホラを吹き・おさえ・約束させる」ものだから下級のほうはやりにくい。ファイトは必要だがウソをいってはならない。


以上の六つを同志たちに研究してもらいたい。ちがう意見を出すのは、真理を求めるためだ。われわれの農業・工業をやる経験はまだ不足している。一年一年経験を蓄積して、十年たてば、客観的必然性をしだいに認識できるだろう。そのときある程度、われわれは自由になる。自由とはなにか? 自由とは必然を認識することだ。


いまはやっているハイ・オクターブとくらべると、わたしの歌は低音だが、目的はほんとうに積極性をひきだし、増産という目的を達成させることにある。事実がわたしのいうように低くはなく、より高い目的を達成するなら、わたしは保守的な男ということになるが、もしそうなるなら感謝感激、光栄のいたりである。


毛沢東


一九五九年四月二十九日


十月十一日〔養豚事業の発展を〕


×××同志へ


この文献〔不詳〕はいい。新華社の内部参考として発表してほしい。養豚事業を大いに発展させる必要がありそうだ。豚を禁じている一部の少数民族はべつとして、全国で河北省呉橋県王謙寿人民公社のやりかたにならってやるべきだ。呉橋県は、資金が集めやすく、政策が正しく、ファイトがあるので、発展がはやい。カギはファイトがあるかどうかだ。グズグズひきのばし、困難を数えたて、これもダメ、あれもやれない。これはいくじなし・なまけものの世界観であり、マルクス・レーニン主義の大志のひとかけらもない。これらの人はほんとうの共産主義者の風格から離れること十万八千里だ。これらの同志はよく考えて、まちがった世界観を改めるようすすめたい。共産党の省・市・自治区党委員会、専区・県・公社の党委員会、および管理区・生産隊・生産小隊の党組織は、養豚事業・牛・羊・ロバ・ラバ・馬・鶏・アヒル・鵝鳥・兎などを飼うことをまじめに研究し、具体的措置を計画・採用し、牧畜業・家禽業委員会あるいはチームを組織する。三人、五人から九人のチームをつくり、ファイトとアタマをもち、これに熟達している同志が委員会あるいはチームを指導する責任を負う。つまり有力な人に指導させる。飼料生産を大いにやると、各種の精飼料・粗飼料ができるが、トウモロコシがどうやら飼料の王さまらしい。アメリカではそうやっており、ソ連もいま大いにやるようになった。中国の河北省呉橋県でももうはじめているのは嬉しいかぎりだ。各地の養豚にも呉橋県に劣らないのがたくさんあるはずだ。全国でも大いに・とりわけ力をいれ、これを食糧と同じくらいに重視し、トウモロコシをおもな食糧の地位までひきあげよう。 養豚を六畜のトップにもちあげ、「馬・牛・羊・鶏・犬・豚」の順序を変えようと提案している人がいるが、わたしは双手をあげて賛成したい。豚が第一だというのは、まったくあたりまえだ。ソ連の大土壌学者・農学者ウイリヤムスは、農業・林業・牧畜の三者は相互依存しており、一つも欠いてはならぬ、三者を同等の地位におけ、と強調しているが、まったく正しい。農林業は牧畜業発展の先祖であり、牧畜業は農林業の子どもである、とわれわれは考える。そして、つぎには牧畜業が農林業(主として農業)の先祖となり、農林業は子どもに変るのだ。これこそ三者が均衡的に相互依存する論理である。アメリカでは造林業と牧畜業とをともに重視している。わが国でもこの道をかならず歩まねばならぬ。これはその有効性を実証された経験なのだから。わが国の肥料源の第一は養豚と大家畜である。一人が豚一頭・一ムーに豚一頭をやりとげるならば、肥料のおもな源泉を解決できる。これは化学肥料、無機質の化学肥料より十倍もすぐれている。豚一頭が小型の有機質肥料工場なのだ。そのうえ、豚肉・豚毛・皮・骨・内臓(製薬原料に使える)がとれるのだから、われわれがやらないという手はない。肥料は植物にとっての食糧であり、植物は動物の食糧だ。その動物が人類の食糧というわけだ。こうみてくると、養豚およびその他の牧畜を大いに、とりわけ力をいれてやることは、明らかに筋がとおっている。一つか二つの五ヵ年計画期にこの光栄かつ偉大な任務を達成することは、おそらく可能であろう。農業の機械化は、農業・林業・牧畜業の三結合の大発展のための決定的条件である。今年農業機械部〔省〕ができたので、農業機械化の実現はおそらくそう遠くないだろう。


毛沢東


一九五九年十月十一日


(1) 六級幹部大会 省レベルで主催する省・専区・県・公社・生産大隊・生産隊の六つのレベルの幹部の出席する会議。


(2) 二つの文献一つは第二次鄭州会議の記録、もう一つは、前者をふまえたうえでの当該第一書記の具体的方針をまとめたもの。


(3) 四級幹部大会 県レベルで主催する県・公社・生産大隊・生産隊の四つのレベルの幹部の出席する会議。


(4) 人民公社の基本的採算単位 人民公社はもともと高級組合の連合として成立したが、このばあい、もとの高級組合レベル(=生産隊)をそのまま採算単位とするのか(湖北・広東省方式)、それともいくつかの高級組合を合併した管理区=生産大隊を採算単位とするのか(河南・湖南省方式)、が大問題となった。結果的には、まずもとの高級組合が基本的生産隊とされ、調整期にはさらにもとの初級組合レベルまで採算単位がおろされ、現在にいたっている。採算単位をどこにおくかは、生産力の水準と農民の意識に深くかかわっている。


(5) 周小舟「成都会議における講話」の訳注 (32) 参照(六八頁)。


(6) 王任重 河北省出身、長征に参加。解放後、武漢市長などをへて五六年から湖北省委第一書記。文革初期に中央に転出した陶鋳のあとを襲い中南局第一書記。


(7) 五級への三固定 三固定のうち残りの二つがなにかは不明。五級とは生産隊(もとの高級組合) レベルを指す。


(8)『鄭州会議記録』 第二次鄭州会議の記録であろう。


(9) 五級幹部大会 県の主催する県・公社・生産大隊・生産隊の四つのレベルに生産小隊の幹部をくわえた会議。


(10) 基層幹部 ここでは生産大隊・生産隊・生産小隊の幹部を指す。


(11) 陶魯笳 一九一一~。湖南(一説に山西)出身、五八年五月八期中央委員候補、六月山西師範学院教授。六五年国家経済委員会副主任。十期中央委員。


(12) 五級・六級・七級幹部大会 五級とは工段長・車間主任(支部書記)・工場長(工場党委員会総支部書記)・地区委員会・市人民政府(市委員会)を指すものとおもわれる。六級、七級のばあいは、専区・県の代表がくわわるものとおもわれる。


(13) 生産の請負い 農業生産の具体的な作業は、もともと生産小隊(初級組合)のレベル、あるいはその下の作業チームが責任をもつかたちになっていたが、公社化の過程でこの秩序が乱れ、無責任体制がまんえんした。この現象に警告したのが、この指示であるが、調整期には「包産到戸」(生産の個別農家請負い)現象(集団化の事実上の解体)まであらわれ、社会主義教育運動をへて克服された。


(14) 上級の決めたあの一連の指標……………… 大躍進の趣旨を誤解し、生産目標を条件を無視してかってに決めたり、水増し報告をする風潮が、官僚主義的作風のもとで広く横行していた。


(15) 密植 密植は「農業八字憲法」で提起された増産措置の一つであるが、大躍進のなかで、合理性を無視した過度な密植も広くおこなわれた。密植という方向は正しいとしても、その具体的なやりかたについては、解決すべき問題が無数にあった。


(16) 八字憲法 八字とは、土(土壌改良)・肥(施肥)・水(灌漑と排水)・種(品種改良)・密(密植)・ 保(作物の病虫害からの保護)・管(耕地・作物の管理)・工(工具つまり農具の改良)のこと。一九五八年毛沢東によって総括された農業技術改革のための戦略方針。毛沢東は農民の増産経験および伝統的農法をこの八字にまとめ、農法現代化の指針とした。

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