表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説のレフリー津久田健次郎、悪役令嬢に転生す。  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/82

学生たちの反応 ― “恐怖”と“好奇心”の渦

レティシアが廊下を歩くたび、

その背後で必ず“誰かの声”が生まれた。


「帝国の人が、彼女に会いに来たらしいよ……」


「連邦の観測官とも話してたって……どういう立場なんだ?」


「そもそも、学院にそんな大物を呼ぶ理由って何だよ……?」


ひそひそ声なのに、刺さるように耳へ届く。

名前だけがやけに鮮明に聞こえるのは、きっと気のせいではない。


中庭を横切れば、芝生の上にいた学生たちが

ぽつりぽつりと視線を向けてくる。


そこには三種類の感情が混ざっていた。


――純粋な好奇心。

――得体の知れないものへの不安。

――立場を測るための、薄い警戒。


視線は、誰もが表面上は“普通”を装っているのに、

どこか探るように、じわりと肌に貼りつく。


レティシアは歩幅を変えなかった。

変えてはいけない、と言い聞かせているように。


だが、空気は勝手に変わっていく。


やがて、学生たちの間に“自然発生的な線引き”が生まれ始めた。


帝国の鑑定官セラフィナを支持する一派は、

「宗教的権威が動くなんて滅多にない」と興奮気味に語り合い。


連邦の観測官ユールグ側に共感を示す学生は、

「科学的な立場の方が安心できる」と冷静さを保とうとする。


そしてもう一つ。

「巻き込まれたくない」と距離を取る層も、

目に見えない大きな塊として生まれていた。


派閥はあくまで“声にならない色分け”だ。

誰も明言はしない。

だが、学院の空気は確かに三つ四つに割れ始めていた。


レティシアを中心に──。


当の本人は、廊下の窓に映った自分の姿を

ほんの一瞬だけ見つめる。


そこにいるのは、いつもの学生服の少女。

だが、周囲の世界だけが勝手に変容し、

彼女を“特別な何か”に仕立て上げようとしていた。


風はまだ静かだ。

だが、その静けさがかえって不気味な前触れのようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ