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54 やるべきこと⑤

アナスタシアのスキルが炸裂!

それを見たパルトは!


スキルを受けた男がどうなったのかも気になります。


【重要】年末年始の更新について

年末は本日12/26までの更新です。12/27〜1/4は、申し訳ありませんが、更新をお休みする予定です。

できれば、これまで投稿した話の改稿も行いたいと思います。


年末年始、皆様も充実した休日をお過ごしください。

アナスタシアの怒りの咆哮とともに、無数の炎の槍が男がいた場所を飲み込んでいく。


降り注ぐ炎の槍は真紅の流星の如く。


辺りを煌々と照らしながら対象へ降り注ぎ、地面にぶつかる度に大きく爆ぜる。


その光景に、わたしは言葉を失くした。



これまでの戦いにおいて、アナスタシアが使っていたのは剣だけだ。


背負っている大きな槍の出番は、今までなかった。


だが、今見せられた流麗な槍術には、正直心を奪われた。


加えて、今現在も目の前で爆ぜ続ける強力なスキル。



あのアナスタシアが、これほどの力を持っていたなんて……。



彼女の強さが、わたしには信じられなかった。



確かに、初めから気になってはいた。


剣を持っているのに、背中には長い槍。


いったい、どんな戦い方をするのだろうかと、わたしは興味があった。


だが、これまで一緒に行動する中で、彼女は剣ばかり使い、一向に槍を使わなかった。


だから、剣の方が得意なんだろうとすら、思っていた。


それなのに……今目の前に広がっているのは、槍を使いこなし、他者を圧倒する金髪の美少女。



アナスタシア……いったい何者なんだろう……。



そんな疑問が頭の中を巡る。



先ほどのスキルの名は【乱槍炎舞(フレアランスバースト)】と言った。


見た感じだと、かなり強力なスキルである。


そんなスキルを、高々Eランク冒険者が使えるものなんだろうか。


浮かんだ疑問に反応したのは、ガイドさん。



『スキルの練度と冒険者ランクには、関連性はありません。』


(……どういう意味?)


『そのままの意味です。スキルとは、鍛錬などによって習得するものです。冒険者になろうがなるまいが、努力すれば獲得は可能です。』



ガイドさんのおっしゃる通りである。


要するに、アナスタシアは冒険者になる前から、血の滲むような鍛錬をしてきたのだろう。


あれだけのスキルを習得するに至るほどの努力を。


わたしは自分の胸に悔しさが湧くのを感じた。


だが、ガイドさんの言葉は、またもやわたしの想像を超える。



『ちなみに……今のスキルは、エクストラスキル【炎術】に分類されているものです。。』


(え……!?炎術……!!)



その言葉には、さすがのわたしも開いた口が塞がらなくなった。


なんとなくデジャブな気もするが、炎術スキルと言えば、師匠が鍛錬の時に一度だけ見せてくれたエクストラスキルだ。


あの時は全盛期の半分くらいとか言ってたけど、師匠の炎術スキルは岩を灰に帰すほど凄まじい威力だった。


そもそも、エクストラスキルと言えば、熟練した冒険者や神に認められた神職者など、ごく一部の者だけが到達できるスキルの極み……。


ほとんどの者が到達できないとされる極地であるはずだ。


それをアナスタシアが……?



『何かを勘違いされておられるようですが……エクストラスキルは、熟練度を上げれば獲得は可能です。』


(え……!?そうなの……?)


『はい。スキルには熟練度が存在します。熟練度はスキルを使うことで高まります。そして、その熟練度が最高値に達した時、スキルは新たなステップへと昇華します。』


(はて……熟練度……どこかで聞いたような……)



そこまで考えたところで、アナスタシアのスキルが終わりを告げた。


それに気づいたわたしは、戦いの行く末に意識を戻す。


巻き上がる砂煙……と言うよりは、焼かれた土が煙を上げていて、男がどうなったのかはまだわからなかった。


アナスタシアは、少し疲れているように見える。



『威力が高いスキルは、相応の魔力を消費します。』


(確かに……それはそうだ。わたしも全力で【駿影】を使うと、かなり疲れるし……)



ガイドさんの説明を聞きながら、わたしはアナスタシアのことが心配になるが、ふと……視線をがエルバに向いた。


これだけのスキルを叩き込まれた男の安否を、彼女がどう思っているのかが気になったからだ。


だが、エルバは笑っていた。


彼女は未だに黒い魔物に跨ったまま、煙の先を見て大笑いしているのだ。


その反応が、わたしを不安に駆り立てた。



「アナスタシア……!」


「わかってる……。」



アナスタシアは真っ直ぐに煙の先を見たまま、視線を一切逸らさない。


アナスタシアもわかっているのだ。


奴はまだ生きていると……。



その予想どおり、少しずつ晴れていく煙の先から笑い声が聞こえた。



「やべぇ〜!今のはヤバかったぜ!」



そこにいるのは、先ほどまでの黒ずくめではなく……いや、同じ男なのだがその身には鋼鉄の鎧を纏っていた。


先ほど見せた鋼鉄の盾ではなく、体全体を覆う鋼鉄の鎧を纏ったまま、男は口元に笑みを浮かべていた。



◆



「ギルマス!!斥候が戻りました!!」



その言葉を聞き、ガルシュはすぐさま立ち上がった。


執務用の天幕から急いで出ると、斥候役の冒険者が大きめの石に腰掛けており、受付嬢から貰った水をガブ飲みしている姿が目に映る。



「ホルトン!!」



ガルシュが呼びながら駆けつけると、ホルトンと呼ばれた冒険者は水を飲むのを止めて、すぐに立ち上がった。



「ギルマス……!!奴ら……!動き出しました……!!」



正直、その言葉は聞きたくなかった。


だが、そうなると想定していたことでもある。


ガルシュは「よくやった。」と言ってホルトンの肩を叩くと、すぐに別の天幕へと走った。



「クリス!!準備はできて……」



天幕に入るや否や、ガルシュはBランク冒険者のクリスを呼ぶ。


だが、ガルシュが言い終える前に、クリスは立ち上がった。



「準備はできてるぜ!」


「すまねぇな……今回はお前ばかりに負担をかける。」


「なんだよ。らしくねぇなぁ!あんたはどっしり構えとけばいいんだよ。」



大きく笑うクリスに、ガルシュは「そうだな。」とだけ返した。


それを聞くと、クリスは仲間たちに合図した。



「みんな!行くぞ!!」



それを待っていましたとばかりに、彼らも腰を上げた。


Cランク冒険者のモルドリー。


彼は短剣使いで素早い攻撃を得意とし、風術を操るスピードアタッカー。


ただ、女癖が悪い。


その横で優しそうな笑顔を浮かべているマシェットは、女性ながらに格闘術を使いこなす格闘家で、土術を使いこなす。


美人だが……ムキムキだ。


そして、弓使いのロビン。


彼は水術を使うが、治癒スキルも使える遠距離兼サポート担当。


だが、コミュニケーションは苦手……。


とまぁ、個性豊かな面々がクリス率いるBランクパーティのメンバーだ。


皆、ソロでも十分な実力を持っており、Bランク昇格も近いと噂されているガルシュ自慢の冒険者たち。


今回の作戦では、この4人がCランク以下の冒険者で構成される小隊を率いて、ワイバーン戦に望む。



(こいつらに任せておけば、問題はないと思うが……)



クリスの顔を見て、内心で安堵する反面、何かが腑に落ちないような感覚に懸念を抱いていた。


とはいえ、その正体が何なのかはわからないし、それを解明する時間もない。


とりあえず、ワイバーンを迎え撃つ準備が整ったことを良しとして、これから始まる戦いに集中しよう。


そう切り替えると、ガルシュはクリスたちに続いて天幕を後にした。


・

・

・


「みんな!!準備はいいか!!」



クリスが大声で鼓舞するように叫ぶと、彼の前に並ぶ冒険者たちが一斉に声を上げる。


総勢300名ほどの冒険者たちが、一斉に声を上げる景色を見て、ガルシュは過去の大戦を思い出していた。



その昔、帝国とコルディア司国が争い、起こした大戦。


ガルシュはその戦いに参加したことがあった。


その時は帝国からギルド協会に対し、全ての冒険者の参加要請がなされたことを覚えている。


ギルドは基本的に冒険者を管理する組織であり、国に属さない独立機関である。


だから、本来冒険者とは何にも縛られることはない職業だ。


だが、ひとつの国を活動拠点とする限り、その国の恩恵を少なからず受けることになる。


国益が脅かされるようなことが起これば、どうしても国の意思に従わざるを得ないのである。


当時、Aランク冒険者であったガルシュは、期待された戦力として前線へ投入され、コルディア司国側の冒険者や兵士たちの多くを屠った。


結果として、帝国側が勝利したわけだが、相手がコルディア司国だったこともあり、後味が悪い戦争であったことは余談である。



ガルシュは再び前を見た。


クリスのパーティメンバーを先頭に、50名ほどの冒険者たちがそれぞれ列を連ねる小隊が4つ。


その後ろには、ワイバーンたちが渓谷から出てきたところに先手を打つ遠距離専門の冒険者が約70名と、治癒などサポートに回る受付嬢たち約30名が並んでいる。


彼らの顔に浮かぶ表情は、まさに十人十色。


不安そうな者、名声を上げようと考えている者、家族や仲間を守るために気持ちを奮い立たせる者など、様々だ。



(昔は内戦や大戦に冒険者が投入されたことも多々あったが……最近はそういう場も少ないからな。)



この先に待つのは、ある意味で死との戦いだ。


こういう経験はしない方が良いが、経験した者としてない者の差は激しく出る。


ガルシュは彼らを1人も死なせたくなかった。


息子娘同然の彼らを、誰1人として失いたくはない。


だから、決意した。



(ここからは俺も本気を出さねばならんな……。)



ガルシュは大きなため息をついた。


そして、再び目の前の勇敢な冒険者たちに目を向ける。



「……俺から伝えたいことは、1つだけだ。」



ガルシュの言葉に、冒険者たちは息を飲み、静かに耳を傾ける。



「これが終わったら、俺の奢りで慰労会だ!!誰1人として欠席は許さねぇ!!お前ら、わかってるな!!」



その言葉を聞いた瞬間、冒険者たちは決意に満ちた咆哮を上げた。


まるで地鳴りのようなその咆哮は、辺り一体を巻き込んで、その全てを震わせていた。

アナスタシアがエクストラスキルを使えるとは、驚きですね!でも、男はほぼ無傷…。

戦いの行く末が気になります!


それと、ガルシュたちの防衛戦もどうなるのか!


【重要】年末年始の更新について

年末は本日12/26までの更新です。12/27〜1/4は申し訳ありませんが、更新をお休みする予定です。

できれば、これまで投稿した話の改稿も行いたいと思います。


年末年始、皆様も充実した休日をお過ごしください。

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