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121 Sランク冒険者

謎の男に連れられて、パルトたちは冒険者ギルドへやってきます。


無理やりに大会へ出ることになってしまいましたが、どうなるんでしょうか!

強引な展開に巻き込まれたわたしとクレア。


だが、クレアの様子は先ほどから少しおかしかった。



「さあ、着いたぞ! ここが我らが冒険者ギルドだ!」



謎の男は、わたしの首根っこを掴まんばかりの勢いで、ギルドの重厚な扉を蹴り開けた。


そのあまりの傍若無人な振る舞いに、ギルド内の荒くれ者たちが一斉に殺気立つ。


しかし、男の顔を見た瞬間、彼らの表情は一変し、潮が引くように静まり返った。



い……いったい、こいつは何者……?


男はガハハっと大笑いしながら、ギルド内を自信満々に闊歩する。


男の振る舞いには、最初は殺気を見せた周りの冒険者たちだが、今は一切関与しようとしてこない。


腫れ物を扱っているような……こいつと関わっちゃいけないと言っているような彼らの態度に、わたしの思考は疑問が疑問を呼び続けている。


それに、クレアの様子も気になる。


この男に出会ってから、ずっと静かで……わかりやすく言えば、クレアらしくないのだ。


それに、男を見る目に映っているのも理解し難い色。


殺気の中に尊敬のようなものが混じっていて、わたしにはクレアが何を考えているのかが理解できなかった。




「ヴォルフさん!!」


「おぉ〜アイナちゃん!」



男を見つけ、受付から駆けつけた女性はアイナというらしい。


受付嬢の格好をしていることから、ギルドの職員だとすぐにわかった。



「調子はどうだい!?大将も元気にしてっかな?」


「はい!ただ、今は大会前なので、いろいろと忙しく……」


「だろうな!元気ならそれで問題ねぇよ!で、今日は参加者の登録できたんだが……」


「新たな参加者ですか!それはありがたいです!最近は、参加者が減っていて、盛り上がりに欠けるとの声が多くて……。」


「あ〜確かに、最近は盛り上がりが足りねぇもんなぁ!だが、今年は違うぜ!なんだって、帝国でかの有名な"紅蓮"が参加してくれる。ほら、こいつらだ!」



ヴォルフと呼ばれた男は、わたしとクレアを受付嬢へと紹介し始め、申込書を渡すように促す。



「こっちの赤毛が紅蓮で、こっちが……えっ……と……嬢ちゃん、名は?」


「え……わ……わたし?パ……パルト……」


「パルトか!アイナ!パルトだ!パルト!!」



ヴォルフはだいぶ大雑把な人柄なようだ。


対する受付嬢のアイナはしっかり者で、受け取った申込書をにちゃんとメモを取っている。


さすが受付嬢だ。



「え……と、Aランク冒険者"紅蓮"のクレア=デストロイさんとパルトさん……パルトさんは兎人族で合っていますよね?」


「はい……」


「ありがとうございます!得意な武器は、剣ですか?ちょっと特殊な形状ですが……」



珍しそうにわたしの剣を覗き込むアイナ。


それにいち早く反応したのは、わたしではなくヴォルフだ。



「それは"刀"って呼ばれる剣だな!帝国でもほとんど流通してねぇ代物だ。何でも、打ち手がほとんどいなくて、現在作れるのは、トゥウランにいるツヴェルクって名のドワーフだけだと聞いたことがある。」



ヴォルフの説明に、わたしは改めてツヴェルクの凄さを実感した。


だが、ヴォルフが自慢げなのが気になる。



「すごい!そんな珍しいものをお持ちなんですね!ちなみにパルトさんは冒険者ですか?」


「は……はい。」


「ギルドカードはありますか?」



アイナに尋ねられ、わたしは取り出したカードを彼女へ手渡した。



「Dランク……ですか。ん……本当かなぁ……」


「え……と、間違いないはずです……」



アイナが顔を顰めてギルドカードを覗き込む。


その反応を見て、ヴォルフもまた驚いた顔をする。



「あん……?嘘だろ?嬢ちゃんがDランク!?Bの間違いじゃねぇのか!?」


「いえ……ちゃんとここに……ほら。」



何だかよくわからない状況だ。


なぜわたしの冒険者ランクを聞いて、そんなに盛り上がっているのだろう。



『おそらくですが、個体名パルトの実力は、すでにDランクを超えているのだと考えられます。』


え……そうなの?


『はい。あなたの成長速度は異常なまでに早い。死線も何度も潜り抜けています。妥当な結果だと思われます。』



ガイドさんにそう言われると、何となく実感できた。


でも、わたしはそんなに強くなれているのだろうか。



「パルトさん、あとでランク昇格の手続きをしませんか?」



ヴォルフと何やら話し合っていたアイナは、わたしに笑顔を向けた。



「まぁ……やることはそんなにないので……」



エルバたちの動向を探りたいところだが、正直言って手掛かりがほとんどない。


やることと言えば、ヴォルフと出会ったあの邸宅を見張り、宝玉の動きを監視することくらいだ。


だけど、宝玉が貴族の邸宅にあるとは限らないのもまた、確かである。



「なら、決まりですね!大会の受付はほぼ終わってますので、準備ができたらお呼びします!」



アイナはそう言うと、受付の方へと走り去っていった。


それを見送りながら、ヴォルフが呟く。



「俺の見立てじゃ、嬢ちゃんはBランクだ。」


「それは……買い被りすぎ……。あなたとは初対面です……。そもそもだけど……あなたは誰なんですか?」



根拠のない無責任な言葉に、わたしが怪訝な顔を向けると、ヴォルフは一瞬キョトンとした表情を浮かべ、大きく笑った。



「ガハハハハ!!そういや、自己紹介がまだだったな!俺の名はヴォルフ=オーダーだ!一応、この街を拠点に冒険者をやってるが、今の時期は大会の警備責任者でもある!よろしくな!!うさぎの嬢ちゃん!!」



豪快に笑うヴォルフ。


まるで暴風のような彼の雰囲気に飲まれかけたところで、口を開いたのはクレアだった。



「パルト……この人は……Sランク冒険者の闘神ヴォルフだよ。」



クレアが溜息混じりに告げる。


それを聞かされたわたしは、開いた口が塞がらなかった。

ヴォルフはSランク冒険者でしたね。

その強さは想像を絶する…と言われますが、この人が警備責任者なら、エルバも簡単には動けないか?


今回もご愛読いただきまして、ありがとうございました!


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