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112 復活!ガイドさん!

サヌラの目を奪いつつ、自身も怪我を負ったガザル。

パルトは間に合うんでしょうか!!

「ゴフッ……」



ガザルは自分の腹の奥に生温かい刺激を感じた。


同時に、それは自分自身の命を奪うものであると確信する。


だが、ガザルは満足していた。

  

これまで効果的な攻撃を見舞うことができずにいた異形の女に対して、片目を奪ってやったのだ。


致命的とまではいかないが、今後クレアたちが戦うには大きなアドバンテージになる。


そんな確信を持ちながら、揺れる意識に身を委ねていた。



「この……!!クソ冒険者がぁ……!!」



逆に、サヌラは激昂した。


これまで笑みを絶やさずにいた彼女だったが、さすがにこの一撃には怒りを露わにする。



「腹だけでなく、首も落としてやる!!」



その言葉と同時に、黒い刃がガザルに向けられた。


ただ、腹部から流れていく血の量のせいか、ガザルの意識はすでに朦朧としていた。


薄く開いた目にぼんやりと映るのは、黒くて鋭い何か。


それが自分の首を目掛けて飛んでくる様子だけ。



ガザルは死を覚悟して笑みを溢した。





だが、何かがそれを阻んだ。


ガキッという鈍い音と同時に、ぼんやりとした視界に誰かの背中が映る。


自分よりも低い背の少女の背中は、なぜか大きくて頼もしく感じられた。





ガザルに向けられた刃を見て、わたしは両脚に力を込めた。



わたしの仲間を殺させるわけにはいかない……。



そんな一心で剣を握り締め、庇うようにガザルの前に立つと、鋭く飛んできたサヌラの刃を素早く撃ち落とした。


ガザルをチラリと見れば、すでに意識を失いかけている。


応急処置にもならないだろうが、わたしはすぐさま回復系のスキルであるヒールを彼に向けた。


やはり全快とまではいかない。


だが、傷は多少塞がったようで、血が止まったことを確認する。


これなら出血多量で死ぬことは防げるだろう。


現時点では、他に回復する術はない。


ポーションなどのアイテムでも、あの傷はおそらくは治せない。


あとはガザルの生きることに対する執着心だけが頼りだ。



そう考え、わたしは目の前の異形の女を睨みつけた。



「グググググ……」



片目を奪われ、相当頭に来ているらしい。


人間らしい表情はすでになく、美しかった彼女の顔はもはや魔物と同じような醜悪に満ちている。


その表情の中には、わたしが目の前に立っている事実に対しての驚き……のようなものも見受けられた。



「もはや化け物だね……」


「ググ……うるさい……ですねぇ……ギ」



何かに意識を飲まれかけているのか。


サヌラは途切れ途切れに言い返す。


だが、だから様子を見ようという選択肢は、今のわたしにはない。


さっさとこいつを倒して、仲間の安全を確保する。


それが最善だと理解していた。



大きく深呼吸して気持ちを整えたわたしは、剣を構えて練り上げていた魔力を解放する。


身体全体の強化を行うと同時に、氷属性、風属性、水属性の因子を魔力に練り込んで、スキルを放つ準備を行い、これからの戦いへの備えを進めていく。



反撃する暇は与えない……。


一気に蹴りをつける……。



そう考えた矢先のことだった。


魔力の奔流に煽られ、わたしの懐からチラリと見えた宝玉。


それにサヌラが異常な反応を示す。



「宝玉……グギギ……それを……よこせぇェェェ!!」



突然放たれた強烈な咆哮は、ダンジョン全体を大きく震わせた。


天井からは、その振動によってパラパラと小石が溢れ落ち、地面ではカタカタと岩や石たちが踊る。


その様子に気を取られ、ふと気づくとサヌラの姿は目の前にはなく、同時に背後からの殺気を感じ取った。



ガキキッ……!



わたしは顔を向けることなく、背後からの攻撃を剣で受けると、戦いはそのまま流れるようにサヌラとの剣戟に移行した。


サヌラから放たれる無数の刃たち。


それを受け止め、受け流し、体を捻ってかわす。


代わりにと言ってはなんだが、氷術、風術のスキルを混ぜながら、わたしも剣撃をサヌラへと向ける。



息を飲むことすら忘れるほどの剣撃の応酬。


それらが繰り広げられる中で、わたしの意識はこれまでにないほど明白で鮮明で、簡明だった。



相手の攻撃が……よく見える!



その言い方では不十分で伝わりにくいだろう。


わたしの目……いや、わたしの脳は、相手の体の動きから次の一手を正確に読み取り、その動きに遅れることなく、むしろ上回る速度で対応している。



先ほどまでとは考えられない動き。


あの黒い力を使っている時よりも、体は軽く、頭は明瞭。


しかも、さらなる力の奔流さえも感じられるが、それに飲み込まれるような感じはしなかった。



『個体名パルトの力の覚醒を感じます。何かをきっかけに【神気(黒)】の力が浄化されつつあるようです。』



サヌラの攻撃を捌いている最中、突然のガイドさんからの言葉に、わたしは感極まった。


わたしの心が弱かったせいで、ガイドさんには迷惑をかけてしまったはず。


わたしのせいで、不本意にも黒い力に飲み込まれてしまったガイドさんが、無事に戻ってきてくれたことは、万感胸に迫る思いだった。



『お気になさらず。あなたは苦難を乗り越えたのですから。』



フォローまでしてくれて、本当に頼りになる味方だと思う。


だが、感動するのは後にしないといけない。


まずはサヌラを倒さないといけないのだから。



『【神気(黒)】がこのような変化を遂げようとしている理由がわかりませんが、現時点で個体名パルトは個体名サヌラの力を大きく上回っています。』



サヌラの攻撃を何度も弾き返しつつ、ガイドさんの疑問に珍しくわたしが返す。



その理由は、わたしが師匠に会ったから……かな。



『ダビド氏に……ですか……???』



わたしのカミングアウトに、珍しく驚きを隠さないガイドさん。


だが、ガイドさんはすぐに状況を理解したようだった。



『なるほど……。少し考察は必要ですが、納得しました。とりあえず、今は目の前の敵を倒しましょう。』



わたしはその言葉を大きく頷くと、サヌラの刃の1つを大きく弾き返した。


鈍い音が響き渡る中で、突然のカウンターに驚きを隠せないサヌラは、わたしの一撃の重さに体勢を大きく崩した。



「そろそろ……終わりにする!」


「クソガキがァァァ……ほざくなぁぁァァァ!!!」



わたしとサヌラの最終決戦。


その火蓋が斬って落とされた。

ガザルの危機をなんとか救い、サヌラとの最終決戦へ!

ガイドさんも復活したし、ここから一気に叩き込め!!


今回もご愛読いただきまして、ありがとうございました!

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