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現実へ戻ると時計の針は天辺付近にまで到達しようとしていた。
やることはやってからゲームを始めたので歯を磨き眠りにつく。
六時二十分、目覚ましの音で目が覚め、いつも通り身支度を済ませ朝食をとり学校へ向かう。
「おはー、シルヴァ〜。」
教室へ入るやいなやTKGが話しかけてきた。
「みんなおはよう。」
「おはよ。」
「おーっす。」
いつもの面子が揃った。ということはする話は一つだけ。
そう、フェアギフの話だ。
「なぁ、昨日の緊急イベントあっただろ?どうだった?」
TKGが早速話題を振ってきた。
「2回死んで辞めた。」
「俺は4回死んだ。」
ユウスケ、ロバストはどうやらあのイベントに参加してコテンパンにされたらしい。
「デスペナとかあった?」
デスペナルティ。まだあのゲームで死んだことはないのでどんなものか気になってしまう。
「まぁ、経験値がすこし減ったのと雑魚アイテムが少し消えたくらいかな?」
「そうなんだ。」
まだレベルが低いからかなのか思っていたほどペナルティは重くないようだ。
「俺はな、10回死んだぜ!行けると思ったんだけどな!!」
「「「…………。」」」
誇ることじゃない。誰もが皆心の中でそう思った。
暗い空気にしないがためユウスケが耳寄りな情報を教えて話題をそらしてくれた。
「なぁ、このアプリ知ってるか?フェアギフと連動してるアプリなんだって。」
「あ、知ってるぜ!なんかフェアギフ発売日に出す予定だったけど遅れたやつだよな?」
能天気にTKGが答える。
「これなフェアギフと連動させるとゲーム内のモンスターの卵とか使役獣なんかをスマホに連れて来られるんだよ。みんなでやんない?」
ユウスケの話でみんな興味を持ちみんなでやることになった。アプリをダウンロードして色々と情報を記入していくすると自分のデータが表示され連れて来られる一覧が表示された。
・リリィ
・モンスターの卵
もしやとは思っていたけどその表示を見た瞬間溢れんばかりの喜びの感情に支配された。
早速リリィを呼び出す。ついでによくわからない卵も。
「?!シルヴァ様!会いたかったです!!」
真っ直ぐなリリィの言葉にすこし照れてしまう。
「僕もだよリリィ。」
「お!リリィちゃんじゃん!TKGって言えばわかるかな?」
TKGが無理やり間に入ってきて僕とリリィの邪魔をしてきた。
「お久しぶりです、TKG様。」
リリィは丁寧な態度で答える。がその態度はすこし冷たいように思えた。
「そんでこっちがロバストにユウスケな!」
「ロバスト様も、ユウスケ様もお久ぶりです。」
「やぁ、元気で何よりだよ。」
「よろしくな、リリィちゃん。」
現実世界の姿での挨拶が済んだところでリリィから一つ質問が上がった。
「シルヴァ様、この卵はなんですか?」
モンスターの卵。どこで入手したのか一切わからない。卵を入手するクエストも行っていないし卵持ちのモンスターを買った覚えもない。まさに謎の卵だ。
「モンスターの卵?俺もあったぞ?」
TKGがそういうとロバストもユウスケも持っていると言い出した。やはり皆、この卵をどこで入手したのかわからないようだった。
「ごめんリリィ、どこで取ったのかなんの卵かもわからないんだ。」
素直に答えると、まったく、これっぽっちも予想していなかった答えが帰ってきた。
「え?今にでも孵化しそうなんですけど?どうしましょうシルヴァ様!」
「どうしようみんな!パパになっちゃう!!!」
おかしなことを言い慌てふためいているとTKGが肩を叩き制してくれた。
「落ち着けシルヴァっ!パパになるときはみんな一緒だ。」
みんながそれぞれスマホの画面をこちらに見せてきた。その顔は、みな父親のそれだった。
そう、みんなの卵も今にも孵化しそうだったのだ。画面を見つめ続けて3分くらいが経過したころみんなの卵が一斉に割れ始めた。
パキ…パキパキ………パキ………。
[モンスターが孵化しました。]
その文字が一斉にみんなの画面に現れる。
その時のみんなの心の声は、いいから早く我が子に合わせろ のはずだ。
すると画面にモンスターの雛の姿と名前が映し出された。
ぼく、ユウスケ、TKG、ロバストの順で
紅眼の大蝙蝠の幼体 ♂
影潜の蝙蝠の幼体 ♂
吸血蝙蝠の女王の幼体 ♀
無眼の蝙蝠 ♂
姿名前を見た瞬間みんなで顔を見合わせた。
「なぁ、これって…。」
「多分………そうだと思う。」
「それしか思い当たる節がないな。」
「これもだったのか。」
あの時の贈り物。グリムからのギフトだという事に気付いた。
みんなで詳細ページに行き調べる。
[紅眼の大蝙蝠の幼体]
不気味に光るその二つの赤い目は狙った獲物を死へと追いやる。
成体になり翼を広げるとその大きさは3メートルを優に超える。
現在の全長・・・40センチメートル
大蝙蝠というだけあってかなりの大きさになるようだ。それにこの赤い目がなんとも言えないほどにカッコいい。
うちの子が1番だとは思うが一応みんなの蝙蝠たちの詳細も教えてもらった。
[影潜の蝙蝠]
その蝙蝠は影に潜み獲物を狙う。
影から影へと移動し神出鬼没な攻撃を得意とする。
現在の全長・・・10センチメートル
[吸血蝙蝠の女王]
吸血蝙蝠を統べる者。
現在の体長・・・70センチメートル
[無眼の蝙蝠]
蝙蝠系モンスターの中で唯一完全に眼が見えないがその超音波を使い位置把握やバイタル等を把握することができる。
音波関係に関しては蝙蝠系モンスターの中で群を抜いてトップだ。
現在の全長・・・15センチメートル
リリィにこの蝙蝠たちについて聞いてみるとどれもかなり遭遇率の低い激レアモンスターらしい。
その中でも最もレアなのが 吸血蝙蝠の女王 だ。
みんなはまぁ、蝙蝠っぽい見た目をしているが 女王 は人の形をとっている。どこからどう見てもその姿かたちは幼女だった。
「……みんな…俺は今日からパパだ。」
「「「わかった、頑張れよ…パパ。」」」
誰もその幸せそうなTKGの顔を崩すことはできなかった。
その日1日、TKGのパパオーラは尽きることなく出続けた。




