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冥土の旅のご案内  作者: 氷室八弥
初七日
4/10

黄泉平坂へようこそ

冥土ならぬメイド出ます。

「ようこそ黄泉平坂へ」⋮、楽しんでいただけたら嬉しいです。




三途の川を渡り終わり、私はぼぅっと景色を眺めながら歩いていた。

心地よいぬるい風が髪を揺らす。



その問、石蹴りのような硬い音があたりに響いた。


見ると、三途の川に沿うように公園のような敷地があり、

その中で、まだ足もつかないような子供から、20歳くらいの人が、

石をひたすら積んでいた。



(なに、この奇妙な公園…。)



私は首を傾げながら公園の入り口に近づく。

丁度出入り口のところに、石に掘られた文字で

こう書いてあった。



「『(さい)の河原』両親より早くに亡くなられた方は、こちらで石を積みましょう。」



そういえば、そんなことを聞いたことがある気がする。

ということは、両親より先に死んだ私は、ここで石を積まねばならないということだろう。



私は敷地内に入ると、そこらに落ちていた石を積み上げていく。

積むこと自体は簡単なのだが、崩れないようにバランスを考えておかないとならない。


(意外と難しいんだな…。)


なんの意味があるかは知らないが、

一応私は、賽の河原で石を積んでおいた。




しばらく歩くと、遊園地の入り口前にある受付のようなものが見えてきた。

今までの流れから、あそこには行ったほうがよいだろう。


私は受付に近寄り、すみませんと声をかける。


そこには、メイド服をきたスタッフが、

眩しいくらいの笑みを浮かべて座っていた。



『人生お疲れさまでした。お帰りなさい。

ようこそ黄泉平坂(よもつひらさか)へ。

城崎綾乃(しろざきあやの)さんですね?」



スタッフは私の顔を覗き込む。

私はこくりと頷いた。



「はじめまして、今回あなたの案内人を務めさせていただきます。

冥土の案内役人、ユリといいます。

これから、綾乃さんが49日間泊まるお部屋をご案内させていただきますね。」



ユリというスタッフは一礼すると、改札の小部屋から出て歩き出す。

私はその背中を追って歩いた。


途中からユリさんはこんなことを言い出した。


「49日という言葉は聞いたことがありますよね?

亡くなってから七週間、亡者は週1ペースで十王という神々に教えを受けたり、審判を受けたりして、次の転生先を決めるんです。」



聞いたことがあるんだかないんだか、微妙な話だ。

そんなことを聞いたこともあったかもしれない。


ユリさんは大きな集合宅の前で足を止めた。



「これから綾乃さんには49日間、こちらで下宿していただきます。

十王からのお呼ばれがあったら私がお伝えしますので、基本はこちらにいてください。

なお、この黄泉平坂の街を歩かれるぶんには構いませんからね。」

 


そういうとユリさんは踵を返し、歩いていってしまった。

集合住宅の前には「隠世荘(かくりよそう)」と書かれていた。



(ここで49日を過ごすのが…。

お父さん、お母さん、渚。死後の世界っていうのは、意外とテーマ・パークみたいだよ。)



私はどこか遠くにいるであろう家族に思いを馳せたのだった。





ほとんど丸2日間、何もしなくって申し訳ないです。氷室八弥です。

黄泉平坂というのはあの世のことでして、一番かわいいと思って使ってます。

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