表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

538/547

第168話 決着虫。

 全アフターバーナー、点火!

瞬く間に距離が詰まる!


『ぶちかますよヴァル! つかまってて!』『心得た!』


 肩から後ろの方に移動するヴァル!


「ぐ、ぬぅあッ!!」


 ボクに向かって振り下ろされる赤黒い剣!

それを――渾身の力で弾き飛ばす! ヴァーティガで!!

そして、空いた隙間にィ――タックル!


「がぁッ!?」


 アフターバーナー……全力全開ッ!!

装甲が軋んで、女諸共ボクは斜め上に吹き飛ぶ!

ヴァーティガアーマーはビクともしないけど、女の鎧はミシミシと音を立てて砕けていく!

よし! こっちの方が硬いし強い!!


「お、のれ! せ、『聖なる哉』――」


 詠唱なんてさせるかァ!

むんむん――『魔導電磁衝角』ゥ!!


「『恩寵持ちし』――ギャアアアアアアッ!? アア、グウウウウ!?!?」


 額から発生したイカした角が、女の胸に突き刺さって貫通する!

これは魔力を大量に消費するから――今のうちに、空へ! 空へ!!


『こやつらは再生するといっても痛みまでは耐えられん! 今のうちに龍脈の影響外へ出ろ! 空中ならば再生は……破壊速度を下回る!』


 了解! あ、でも……


『妖精さんの鉱石は大丈夫!? 一緒になくならない!?』


『お主の魔力は清浄を含んだ『陽』の波動に満ちておる! その魔力でアレを破壊することはできん! 同じものだからな!』


 そうなの!? 今明かされる驚愕の事実じゃん!

でもそれなら……後顧の憂いは、消滅だ!! 


「ぎ、ざま……触る、な! 虫ィ!!」


「コッチダッテ嫌ダヨ! エンガチョ!」


 さらに加速、加速!

かなり上空に来たぞ――ここくらいで、いいだろ!!

『肩部雷撃散弾砲』――発射!!


「ぎあッ!?」


 痺れて身動きが取れなくなった女!

ソイツに――蹴り! 魔力を、全力で循環させるッ!


「――雄ォオオオオオオオオッ!!」


そして――ソイチロ先生がやってたみたいに、振り下ろす! ヴァーティガを!!

蒼く輝く大剣が、女の剣に接触――渦巻く魔力が込められた刃が、剣に食い込んで……断ち、切るッ!!


「ばか、なァ!?!?」


 そのままヴァーティガが女の肩口に吸い込まれて――食い込む!

ここだ! ここでやる! 魔力、全開! ぶっ壊れてもいいから、頑張れボクのインセクトアーム!!


「――ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 視界がスパークするほどの力を込めて、剣を振る……振り、切るッ!!


「ぎ、ぎゃっ!? ぐ、ごば――!?」


 右の肩口から入った刃が、左の脇腹から抜ける! 空中で分割される、女!

ほんとだ、上空だと再生が遅い! これなら――やれる!

胸ハッチオープン! 循環魔力を注ぎ込む!!


「サヨウナラ! モウ二度ト出テクルナヨ、ニンゲン!!」


 発光する5つの宝玉から、迸る稲妻! 充填率上昇中!!


「ワレを突き出せ! 胸の前に!!」


 いきなりなんですかヴァル!? で、でもやる!!


「そのまま撃て! 『――――』ッ!!」


 おわわ!? ボクに装着されていたアーマーが、ヴァルの詠唱? で剥がれて――空中に、浮かんだ!?

なにこれ!? まるでそう、アレだ! パラボラアンテナみたいに!?

どう見ても強そう! それと充填完了――『魔素凝縮電磁投射砲』! 発射ァ!!


「ヌグワ!?」


 発射されたごん太ビームが、パラボラアンテナの直径と同じくらいの太さに! さらにごん太に!?

そして――光っているヴァーティガと同じように、濃くて、綺麗な蒼色の奔流になった!!


「反動が来る! 備えろ!!」


 うぎゅううううう!?!? 空中だから発射の反動がもろに来た! 地面に激突したらぺちゃんこ虫になっちゃう……! 

アフターバーナーで相殺! 相殺~!!


「ギギギギギ――!!」


 歯を食いしばって反動に耐えていると……ビームが終了!

そこには、塵一つ残ってない……いや、ある!

空中に、蒼く光る……宝石が!


 自由落下を始めたボクに向かって、宝石が光りながら飛んできた。

それを、前に出たヴァルが……そっと抱きしめる。


「……うむ、辛かったな。だがもう大丈夫だ……別の同胞も、すぐに助け出してやるとも」


 まるでお母さんみたいな慈愛に満ちた、ヴァル。

その横顔は……とっても優しく見えた。



「――ルゥウウウウウウウウオオオオオオオオッ!!」



 うわビックリした!? なん――ヤマダさん!?

ヤマダさんが、ボールを蹴り飛ばしながらボクと同じくらいの高度まで飛び上がってきた!?

嘘でしょ翼も何も生えてないのに!?


「だぁ、だずげ――」


 ボールかなって思ったら男だった!

鎧も何もなくなった、むき出しの上半身!!

腕も足も、ない!!


「セイぁ!」「ぐぅうあ!?!?」


 また、一蹴り。

男が悲鳴を上げてさらに上に!


「『雷光』ぉおおおおおおおおッ――!!」


 ヤマダさんの動きが速すぎる! 何人にも分裂して見える!!

とんでもない速さで、重力を無視した蹴りを放ちながらどんどんと上空へ昇っていく!

その度に男の体が損壊して、体積が減っていく!


「――『繚乱脚』ぅううううううううううあッ!!」


 音が後から聞こえるくらい、速い蹴り! 男の体が遂にバラバラになって、更に上空に吹き飛ばされて――


「――『愛しきは天に、悪しきは地に』!!」


 空中のヤマダさんが、ぱぁん! と音を立てて両手を打ち鳴らす。

それから手首を合わせて――脇に溜めるような動作!!


「――『聖なるは我が拳と共に、邪なるは我が拳によりて――微塵と砕けよ』!!」


 彼の体に宿る膨大な魔力が、渦を巻いて両腕に! 両腕から、両手に!!


「――ウゥウウウウウウオオオオオオオオオオッ! 『虚空拳』ッッッッ!!」


 両腕から噴き出る余剰魔力が、空間を満たす!

周囲をオレンジ色に染めるほどの、眩しい光が!



「――『降魔赤光砲ごうましゃっこうほう』ォオオオオオオオオオッ!!」



 そして、両手から――真っ赤なビームが発射された!

連中が使ってる赤黒い剣と違って……夕焼けみたいな、とっても綺麗な色だった。


 それが終わった時、やっぱり塵一つ残ってなかった。

あ、小さい宝石がこっちに飛んできた!


「……ふぅう」


 ウワー!? ヤマダさんが全裸に!? あの魔力の布、攻撃に全部使っちゃったんだ!?


「やっべ、おお! ムークさんじゃねえか! 俺も相乗りさせてくれ~!」


 落下を始めたヤマダさんはボクに気付いて、なんと空中を蹴り付けながら飛んできた!?

キャーッ! 丸出し! 丸出し!

……ま、ボクはお風呂とかで見慣れてるけどね。


『おっほほほ~!! 人族の癖にでっけ~! トモちんちょっと見てみなって! なーん? そんな目隠しせんでも~? お隣ちゃんの目隠しは逆にガバガバで意味がないんよ~?』


『はわわ……はわわわ……なん……なんなん……きょ、凶器……!!』


 もう慈愛の女神じゃなくてセクハラの女神に改名しなさいよシャフさん!!


「ムン! ヤマダサン、コレドウゾ~!」


 近くまで来たヤマダさんにバッグから布マントを投げつつ、衝撃波でブレーキ。


「おー、こりゃすまねえ! 戦闘用の服じゃねえとスッポンポンになっちまうのが困りものだな~、アイキドは」


 展開した隠形刃腕を握ったヤマダさんは、器用にも片手で布を巻いている。


「すまねえすまねえ、キレ過ぎてちょいと高く飛び過ぎた。スッカラカンの魔力が回復するまで世話んなるぜ……いやぁ~! スカッとしたなぁ、オイ! がっはっはっは!!」


 滅茶苦茶元気そう……ボクなんか枯渇したら死にそうになってるのに……


『あ、ヴァル。宝石は大丈夫?』


『うむ、回収した……ヤマダの技もお主と同じ、陽の気を有するモノだから問題ないぞ』


 よかった~……それじゃ、降下しますか~。



・・☆・・



「ムゥウウウク様ぁああああッ!!」


「ギブーッ!?!?」


 地面に復帰し、一息ついてるとロロンがタックルしてきた! なにごと!?

凄い衝撃力だ……!!


「ド、ドウシ……」


「すんばらしぎ戦いぶりでござりやんした! このロロン、感服いたしやんす~!!」


 あ、いつものキラキラお目目だ! 太陽みたい!!

うん、まあ……今日は大怪我もしてないし反動で体バーン! もしてないしね。

下りてくる途中で魔石ボリボリしたし……


「ロロンニ見捨テラレナイヨウニ頑張ッテルンデスヨ、フフンギュウウウアアアアア~!?!?」


「そげなことばあり得ねのす~!」


 マントを! マントを引っ張らないでください~!

ごめんよ~! もう言わないから~!!


「がっはっは! まったく、てえした親分子分だぜ!」


 布を巻いてギリシャ人みたいになったヤマダさんが爆笑している。 


『……ムーク、ムーク』


 お、どうしたの? ちょい前に上空へ退避したヴァルさん。


『後で話がある。まあ、それはそれとして……よくやったな、我が相棒』


『お、お~? うん、わかった』


 なんじゃろねえ?


「ッテイウカロロン、人族ハ大丈夫?」


 ここにいるから大丈夫なんだろうけど。


「はい! ちょいと捕虜ば取って、皆殺しでやんす~!!」


 なんと綺麗な笑顔か。

……まあね、ボクも一切同情せんしね! 妖精の鉱石を組み込んだ魔法具使うような連中はね!!


「おやびーん! アカがんばった! がんばった~!」


『凄かったのよアカちゃん! 四方八方黒焦げよ~!!』


 妖精たちも飛んできた……ぷひい、今日もなんとか生き残ったか~……



「ムーク」


 諸々のことが終わり、皆であの牧場の拠点に戻った。

その夜、皆が寝静まった頃にヴァルがボクを起こしたんだ。

そして……彼女について行って、夜の牧場に立っている。


「こやつらも、お主と一緒に戦いたいと言っている」


 そう言うヴァルの周囲を、あの宝石がゆらゆらと揺れながら飛んでいる。

……どゆこと?



※宣伝



『無職マンのゾンビサバイバル生活  欲求に忠実なソロプレイをしたら、現代都市は宝の山でした』は角川BOOKSより絶賛発売中! 電子版もありますよ!!

書き下ろし短編あり、加筆修正あり! 何より神奈月先生の美麗イラストあり!

よろしくお買い上げのほど、お願いします!


※SNS等で感想を呟いていただけますと、作者が喜びます。

是非お願いします!

是非お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
助けたお礼はまさかのむっくんパワーアップフェアリー? ヤマダさんもゴンブトビーム放てるじゃないですかやだー! 空中飛んできたのは魔力噴射と足場作って跳ねたんかな?
日本合気道「異世界でいかつい風評被害が……」
更新ありがとうございます!ヤマダさんつえぇぇ。カ◯ハ◯波まで…。異世界蕎麦屋が美味過ぎ強すぎ問題!だが、困らない!むっくんよくやった。ヤマダさんの下の剣は凶器。女神様ありがとう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ