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第143話 打ち合わせ虫。

「実はね、大まかな目途自体はついとるんよ」


 同族と妖精を探しているというダーク……スキアエルフのナラカさんは、そう言ってボクの出したお茶を飲んだ。

感極まってるみたいだったけど、ちょっと落ち着いたらしい。


「ホウ……」


「これ、見てみんさい」


 ばさり、と広げられたのは……簡単な首都の地図かな?

その中に、赤い丸がいくつか書かれている。

場所は……三の街だね。

こうして見ると、広いなあこの首都。


「ここのどこかに、同族が?」


 ヴァルが聞くと、ナラカさんは頷く。


「首都の近辺までは痕跡が追えたんじゃけど、外壁を越えたあたりで反応が急に消えたんよ。一の街からしらみつぶしに探そうかと思うとったら、最近オルクラディのカス共が潰されたんじゃろ? あれでザヨイの影衆やらサジョンジの影無しやらが動いとるけえ……おるんなら三の街じゃと思うてね」


 バタフライエフェクトってやーつか。

イセコさんも言ってたけど、一の街と二の街は現在無茶苦茶警戒厳重だっていうしね。


「三の街は広いけえ、まだ目の行き届かん場所があると思うてね。そいで調べよったら……何か所か怪しい場所があったんよ」


 ふむ、ふむふむ……


「じゃけどね、周辺に精霊避けの魔法具が使われとって……それ以上接近できんかった。目星をつけた所はどこも開けた土地じゃけえ、接近も中々できんで……それで、姐さんに聞いたムークさんを思い出したんよ。腕が立つし、何より妖精を連れておられるんならうちよりもわかるハズじゃってね」


 ああ、なるほどそういうわけね。

腕が立つ云々は置いといて、妖精と行動を共にしてて、協力してくれるヒトってかなりのレアキャラだもんね。

自分で言っててなんだけど。


「アノ、ソモソモ、同族サンハ何処デ攫ワレタンデス?」


 大分北の方のヒトなんでしょ、スキアエルフさんって。

なんで南の果てみたいなトルゴーンに……


「うん、何人かでトルゴーンとガリルの境目で狩りをしとったらしいんじゃけど……その子だけおらんようになったんよ。そのちょっと前に『怪我した妖精を保護した』ちゅうて伝令魔法が来とったけえ……」


 ディナ・ロータスが出たあたりか。

あそこにはオルクラディの変なのもいたし……国境近くって変なのが湧きやすいのかな?


「うむ、その程度の距離で魔物に襲われたのなら、同族に関してはワレが感知できる。ここ最近、周辺で死んだ同族の反応はないゆえ……攫われたのは確定であろうな」


「サッスガヴァル!」


 妖精レーダーの面目躍如ですわ……素敵!


「ふふん、もっとワレを褒め称えてもよいのだぞ?」


「素敵! 有能! カワイイ! 綺麗!」


「……褒め過ぎだ!」


「グゥエ~!?」


 ボクなんでほっぺぶん殴られたの!? 褒めたのに!?

ホラ! ナラカさんがビックリしてるじゃんか!


「オググ……ソ、ソレデ……痕跡ヲ追ッテ首都マデ来タンデスネ……?」


「そ、そうなんよ」


 ちょっと脱線したけど、そういうことなんね。


「万全ヲ期ス為ニモ……イセコサンニ相談シタイケド、今イナイシナ……」


 朝から姿が見えないから、たぶんザヨイの家に行ってるんだろうけど。

どうしよ、ダッシュで尋ねに行こうかしら。


「――お呼びですか、ムーク様」


「イター!」


 食堂の入口にいたー!

全然気づかんかった……! に、ニンジャ!


「今戻りました。お呼びになりましたか? あら、そちらの方は……」


 ちょうどいい! 知恵を貸してもらおう!

持つべきものは素敵なお仲間でお友達!!



・・☆・・



「なるほど……」


 イセコさんを加えて、もう一度話をおさらいした。

ナラカさんも、まさかボクのお友達に影衆のヒトがいるとは思ってなかったらしくってビックリしていた。


「ナラカ様、決行は半日待ってくださいませんか。これから本隊に合流して、サジョンジとトリハも交えて動きを整えます」


「それは勿論ええんじゃけど……協力してもろうてええんですか?」


 ナラカさんの質問に、イセコさんは頷く。


「ここはトルゴーンの中枢です。そこに、唾棄すべき外道共が跋扈しているのは許せません……! 二の街に巣食っていた連中の関係者やもしれませんし、全力で! 一気に! 叩き潰します!!」


 も、物凄い目力だ……!

うんちヒューマンへのヘイトが高すぎる……ボクもそうだけどネ!


「うむ、この世から消えても一切心が痛まない連中だ。完膚なきまでに叩き殺してやろうぞ!」


 ボクの肩に乗っているヴァルもむっちゃやる気。

拳を振り上げて大興奮です。


 あ、ピーちゃんとアカは途中で子供たちが来ちゃったので校庭に行ってもらってます。

キッズに聞かせるにはちょーっと刺激が強いからね~。


「ボクモオ手伝イシマスヨ、当然ネ」


 相棒のヴァルが無茶苦茶乗り気だし、そもそもエルフさんと妖精が掴まってるなら助けない理由はなぁい!

折角の素敵なトルゴーン! もしもまだクソヒューマンの残党がいるんなら……やっちゃるよ!

ヒューマンじゃなくっても、悪いヒトならやっちゃうよ!!


『やったれやったれ! あーしが許す! お隣ちゃんもむっちゃヘドバンしとるし!』


 お隣さんまで……一体どんな人なのか最近気になる虫ですよ。


『お隣様までコマす気ですか……? 末恐ろし虫……』


 ボクは誰もコマしてないよ~!


『(コイツほんま……)』


『(お友達が増えて嬉しいな~……くらいにしか思ってないですよ、むっくんは)』


『博愛精神に満ち溢れた素晴らしい虫ですね! 母は嬉しく思いますよ!』


 うわビックリした!?

あ、ありがとうママ、ボク頑張るよ!!



「ムークさんはぶち顔が広いんじゃね」


「イイ対人関係ニ恵マレマシタ、ハイ」


 イセコさんがザヨイ家にとんぼ返りしてしばらく。

ボクはナラカさんと一緒にまだ食堂にいる。


「アノ、ソウイエバ深紅ノ龍サンッテドンナ方ナンデスカ?」


 話にしか聞いてないしね、そういえば。


「ほうじゃね……うちは姐さんしか龍を見たことはないけえ、他の龍さんがどがーか知らんけど……ぶち綺麗なヒトよ。腕っぷしも当然凄いけど、まー優しくて姉御肌のええ人じゃ」


「ホホウホウ」


 テオファールとはまた違う感じの龍さんなのね~。


「うちは白銀龍さんが気になるんよ、どがーなお方なん?」


「ムーン……強クテ優シクテ綺麗! ボクモ他ノ龍ハ知ラナイケド……立派ナ龍サンダト思イマス。スタンピードデ助ケテモラッタシ、足ヲ向ケテ眠レマセン」


 あの時は助かったねえ……ボクは後でロロンに聞いたけど、もう無茶苦茶大活躍だったらしいし。

水晶竜がブレスで液体になったってなんなの……こわ……


「ムーク様ぁ、お客様でやんすか」


 噂をすればロロン。

干した洗濯ものを回収してたんだね……働き者アルマジロ!


「コチラハロロン……ボクノ、トッテモ頼リニナル仲間デス」


「じゃじゃじゃ!?」


 ロロンが振動した! もういい加減慣れて! 褒められることに!


「そりゃあそりゃあ……うちはナラカっちゅうもんです。マウナの森から来たんよ」


「は、【跳ね橋】のロロンと申しやんす! ひょっとして……スキアエルフの方でやんすか!」


 おや、ロロンはご存じだったみたい。

振動から立ち直って、お目目がキラキラしている。


「そうよ。アルマードの方々にゃあ、ロストラッドで世話になったもんじゃ……待ちんさい、【跳ね橋】っちゅうたね? 聞き覚えが……ああ、リリンちゃんの縁者じゃろうか?」


「なんとはあ! あねちゃでやんす! 一番上の姉でやんす~!」


 世間が狭いよう! とっても狭いよう!?


「偶然じゃね~! あの子にはいっつも助けてもろうて……去年あったごーげな戦いの時は、先陣切って人族共を片端から挽肉にしとったわあ! よう見つりゃあ顔が似とるねえ!」


「はわわ」


 ナラカさんは目を輝かせて、ロロンに寄っていって高い高いをしている。

うーん、身長差がエグい!


「こがーなこまくてかわええ妹がおったんじゃね~! リリンちゃんはうちと同じくらいじゃけえ、ロロンちゃんもまちいとすりゃあ大きゅうなるじゃろうねえ」


「じゃじゃじゃ、あねちゃはそげに大きく……! ワダスもそうなりたいでやんす~!」


 ちょっと待って!?

ナラカさんと同じくらいって……でっか! 話には聞いてたけどアルマードって女性も大きくなるんだねえ!


「あ、森エルフのヒトだ」


 音が気になったのか、マーヤが顔を出した。

へえ、森エルフとも言うのか。

……あれ、でもおひいさまも【帰らずの森】の中心にいるから広義的には森エルフになるのかな……?

身長とか全然違うから、そりゃないか。


「ムークの友達?」


「ムーン……友達ノ友達ノ友達ダネ~?」


「あはは、結構遠いね!」


 なんかツボにはまったみたい。


「うちは友達っちゅうか舎弟みたいなもんよ。ムークさんは白銀龍様と……」


「オ友達デス! トッテモイイ龍サン!」


 友達ですからね! 向こうも喜んでたし。


「にゃあ、私まだ会ったことない」


「大丈夫、前ニ遊ビニクルッテ言ッテタシ。ソノ時ニ紹介スルヨ~」


 ……なんですナラカさん。

そんなに尊敬の目をして……


「龍の方と対等の友人っちゅうこたあ……やっぱ、ムークさんはぶちすごいお人なんじゃね! ロロンちゃんの親分さんはすごいねえ!」


「んだなっす! ムーク様は不世出の大英雄でやんす~!」


 ロロン! 抱え上げられた状態でそんなヨイショを……!

なんてワザマエだ!


『なんですか、その感想は……』


 わかんない!!



・・☆・・



「お待たせしました。既に三の街には人員を派遣しております」


 夕暮れも近くなったころ、イセコさんが戻ってきた。


「ナラカ様が目を付けていた箇所を遠巻きに囲っております。準備が終わり次第、我々も参りましょう」


 なんという有能さんか……ボクいる?

ああいや、これから頑張ればいいか。


「ムークさん!」


「グゥエ~!?!?」


 ナラカさんの強烈なハグ! 装甲が割れるゥ!!


「あんたのお陰じゃ! うちらマウナの森の恩人じゃ! あんたは!」


「ギュウゥウ……マ、マダマダデス! 感謝ハ全部ガ終ワッテカラ受ケ取リマスゥウ……!!」


 頑張ろう! 妖精とエルフさんの為に頑張ろう!

グゥウエェ~! 力が強い! いい匂いがする!!

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― 新着の感想 ―
末恐ろし虫更新ありがとうございます!むっくんそこ変わって?!俺の装甲がもげても良い!俺が受け止める!
ロロンちゃんも結構華麗なる?一族ですねぇ。
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