83 あたしは雌犬じゃないから!
あたしは犬が苦手だ。どちらかというと、嫌いな部類になる。
元々は、あたしが4歳くらいの頃、従姉が犬の散歩に行くのについていったのがきっかけだった。
近所に、ドーベルマンを数頭飼っている家があって、通りがかった時、一斉に吠えられたのだ。
板塀があって、完全に仕切られていたから、危険はなかったのだと思う。それでも、塀の隙間から見える自分より大きなドーベルマンは、恐怖の対象だった。
以来、どうも犬には苦手意識ができてしまった。特に、大きい犬には恐怖感のようなものを感じてしまう。
だが、しかし。
どういうわけか、犬の方はやたらとあたしに近付いてくる。
散歩中の犬とすれ違ったら、犬があたしについてこようとして飼い主が困っているという状況も何度となく繰り返してきた。
一番困ったのが、高校受験に向かう途中でそれをやられた時。遅刻するんじゃないかってヒヤヒヤだった。
父さんは犬好きだったんだけどねぇ。
捨て犬拾ってきて面倒見て、指噛まれて血が出てもヘラヘラ笑ってて。普通、捨て犬拾ってくるのは、子供の方でしょうが。
友達で、室内犬を飼ってる人がいて、家に遊びに行くと、いっつもまとわりつかれた。
室内犬だから小さいし、怖いってことはないんだけど、やっぱり困った。
しかも、その犬(♂)、あたしが立ってると腰に、座ると肩に前足掛けて腰をこすりつけてくるんだもん。あたしは、あんたの番じゃないって~の!
友達からは、“雌犬のフェロモンを出す女”とかってからかわれた。だから、あたしは猫だってば! …ネコじゃないからね?




