43 手袋ちゅぴーん!
この前、実家に3人で顔を出した。
いつもは、実家に顔を出した時は、4人で一緒にご飯を食べに行くんだけど、時勢柄、それはできなくて。
持って行ったお菓子を食べながら話すにとどまったんだけどね。
マスク云々よりも、まずは帰ってきたら手洗いだよね、って話になった。
「いっそ、外出る時は手袋してればいいんだよ。
手袋で目をこすったりしないでしょ」
なんて言ったら、母さんが
「そうだねえ」
って返してきた。
なので、あたしは、指先を上に、手の甲を正面に向けて右手を立てて、左手で手袋を抜き取る仕草をしながら
「帰ってきたら、チュピーン!って手袋外してさ」
と言いつつ、左手も同じように「チュピーン!」ってやってみせる。口で効果音入れながら。
そうしたら母さんは、
「手袋外して、変身するの?」
って突っ込んできた。
これよこれ、さすがは母さん。期待してたとおりね!
「そう。変~身、ストロンガーっ!」
すかさず、あたしはストロンガーの変身ポーズをとる。
小っちゃい頃、手袋外す時によくやってたのを母さんは覚えてくれてたみたい。
懐かしそうな目で見てる母さん。
「でも、あの手袋、この辺(前腕の真ん中辺り)まであるでしょ?」
「そりゃ、あっち系はね」
そして、天さんは
「俺は、手袋外すっていったら、片平なぎさかなあ」
と返してくれた。
OK、OK、それで十分。
「あ~、そういう人、多いよね。
だいぶ時代が下るけど」
天さんが言ったのは、「スチュワーデス物語」の方ね。実はあたし、そっちはろくに見てないのよねぇ。大映ドラマのノリって苦手なのよ。もちろん、ネタは知ってるけどさ。
そして、案の定、翼は話についていけなくてポカーンとしてた。
まぁ、翼はストロンガーそのものは知ってるけど、あくまで「ディケイド」に出てきたレベルでしかないからねぇ。
「お母さん、頼むから外でやらないでよ」
失礼な! あたしはTPOくらいわきまえてるわよ!(やらないとは言ってない)
「仮面ライダーストロンガー」
1975年放映の仮面ライダーシリーズ第5作。
立花藤兵衛がレギュラーで登場する最後の作品である。
ブラックサタンに親友を殺された城茂が、敢えて改造手術を志願し、自我を保ったまま改造電気人間となってブラックサタンと戦う物語。
茂の両手首は、高電圧のコイルになっており、ものに触れるとスパークするため、普段は絶縁のため手袋をしている。
変身の際は、手袋を外し、ポーズをとって両手を触れさせてスパークさせる。
アップ用に、コイルの手が用意されたが、これは指が動かないため、手袋を外した直後のシーンや変身でスパークさせるシーンだけで使われており、それ以外ではゴム手袋を銀色に塗ったものを使用している。
茂は、よく手袋の指先を咥えて脱ぐことがあったので、梓は真似をして手袋を咥えて脱いで放り投げたり、両手にライン引き用の石灰をまぶして変身ポーズを取ったりして、怒られていた。
ストロンガーの技は、電キック等、攻撃に電気エネルギーを乗せるものだが、後半の敵組織デルザーの改造魔人には電気の技が通じなかった。
そのため、再改造を受けて超電子人間にパワーアップする。
通常はいつもどおりのストロンガーだが、「チャージアップ!」の掛け声で超電子ダイナモが起動してパワーアップする。超電子ダイナモの威力は絶大だが、1分以上使用すると暴走して自爆してしまうという欠点を持っている。
梓は、チャージアップストロンガーの銀メッキされた角が大好きだった。
なお、「ストロンガー」で、一旦シリーズが終了しているため、最終回で、デルザーの大首領はショッカーからブラックサタンまで全ての悪の組織を支配していたという設定が加えられた。実際には、「仮面ライダーX」のゴッド、「仮面ライダーアマゾン」のゲドン、ガランダーは無関係なはずだった(ちなみに、ショッカー、ゲルショッカー、デストロンの首領は、元々同一人物という設定)。
また、「ストロンガー」最終回は、仮面ライダーシリーズの最終回と位置づけられ、次回予告では「仮面ライダー最終回」とアナウンスされ、本編中に変身前を演じる役者が7人、同じ画面に揃うという快挙を成し遂げた。
スケジュール調整がえらく大変だったそうで、全員揃ったのは1シーンだけだが、登場しているライダーの声も全員本物が演じているなど、ほとんど奇跡のようなできごとだった。
「仮面ライダーディケイド」
2009年放映の平成仮面ライダー第10作。
ゲームセンターのカードゲームとコラボしており、主人公のディケイドは、ベルトにカードを挿入することで、過去の平成ライダーに変身してその力を使うことができる。
ディケイド自身が変身するのは平成ライダーだけだが、カードゲームや劇場版などには昭和ライダーも登場するので、翼も昭和ライダーに多少詳しくなった。