44 お姉ちゃんは辛いよ
あたしが幼稚園の頃だったと思うんだけど、千葉に住んでる伯母さんの家に家族で行ったことがある。
どういう理由だったのかは知らないけど、叔母さん家族も来ていた。
叔母さんとこには、うちの弟と同い年の従妹がいて、子供3人で遊んだりもしたんだよね。
つっても、2人とも2~3歳だったと思うから、子守に近い状況だったような気もするけど。
伯母・叔母家族と3家族一緒に上野動物園に行って。当時は、新潟県にも動物園があったけど、やっぱり上野動物園は規模が違った。
何より、パンダがいる。1972年に日本に送られたカンカンとランランの2頭。
今のパンダ舎がどうなってるかは知らないけど、当時はガラス張りになったパンダ舎の前に、見学者用の通路があって、その外側の鉄柵の外は、見学者以外用の通路になってた。まだパンダが来てから数年ということもあって大人気で、見学者用の通路には“立ち止まらないでください”って看板が出てた。下手に立ち止まると、後ろから来た人に押しつぶされかねない圧力で流れてたし、仕方ないんだろうね。
親たちは外側にいて、あたし達子供3人だけが見学者用通路に入ったんだけど、弟と従妹は、パンダが口を開けたのを見て泣き出してしまった。
まぁね。パンダって所詮は熊だから。肉食じゃないとはいえ、口の中には牙が並んでるわけで。牙を見たチビ2人は怖かったらしい。鳴き声を聞いて柵の方に寄ってきたお母さん達に抱き上げられてドロップアウトしてしまった。
残されたあたしは、ちっこいのをいいことに、ちょっと進んでは戻るを繰り返して、パンダを堪能させてもらった。小さい頃から、あたしは親と離れて動くことに恐怖もためらいも感じなかったのよね。
上野動物園では、3人とも小さなパンダのぬいぐるみを買ってもらった。15cmくらいのちっちゃなものだったけど、長らくあたしのお気に入りのぬいぐるみだったっけ。
な~んて話をしたら、翼ってば
「いや、止まるなって書いてあるなら、止まるなよ」
とか言ってきた。
しょうがないじゃん、幼稚園の頃の話だよ?
それはともかく、パンダを見にいった翌日、3人ともおもちゃ屋さんで伯父さんに好きなおもちゃを買ってもらった。
あたしはポピニカのゼロテスター基地。テスター1号~4号のミニチュアが付いていて、発進させられる──ミサイルみたいに飛ばす──ことができるもの。
弟は電人ザボーガーのおもちゃ。金属を使ってあって、チェーンパンチが外せるし、マウスカーも付いてて、マシーンザボーガーに変形するもの。従妹はリカちゃんの双子の妹を買ってもらった。
それはいいんだけど。
あたしが買ってもらったゼロテスター基地を、チビ2人が羨ましがってしまった。
たぶん隣の芝生が青かったんだと思うけど、羨ましがって泣く2人に手を焼いた伯母さんは、あろうことか2人にもゼロテスター基地を買ってあげたのだ!
もちろん、あたしには何もなし。
子供心にも、お姉ちゃんなあたしがわがままを言うわけにはいかないと思ったから、何も言わなかった。2つずつ買ってもらったチビどもが羨ましくて悔しくて。でも我慢して、何も言わなかった。
あたしだって、ザボーガー欲しかったよ。
ゼロテスター
1973年放送のアニメ「0テスター」のこと。40話から「0テスター地球を守れ」に改題された。
和製サンダーバードを目指したらしいが、基本的にアーマロイドから地球を守るために戦う物語である。
ポピニカ
ポピーの金属製玩具の商標。
人型の「超合金」に対し、戦闘機、バイク、車など非人型はポピニカとなる。
グレートマジンガーは超合金、ブレーンコンドルはポピニカで発売された。もっと言うと、ライディーンは超合金、ライディーンが変形するゴッドバードはポピニカである。
ただし、バトルジェット~バトルクラフト(コン・バトラーVに合体する各メカ)がポピニカとして発売された関係で、人型のコン・バトラーVが完成する5機のセット売りもDXポピニカ「コンバインボックス」として発売された。
ポピニカは、人型でなければなんでもアリという感じで、科学要塞研究所やムトロポリスなど、基地もポピニカとして発売されていた。申し訳程度に、底面に金属の車輪が付けられ、転がし走行させることができる。
大抵は、発進するメカがミサイルのように射出できるギミックを持っている。
電人ザボーガー
1974年放送の特撮ヒーローもの。ピープロ製作。
秘密刑事である大門豊が、相棒であるロボット:ザボーガーを操り、Σ団のメカアニマルなどと戦う。
ザボーガーは、豊の父である大門博士が作ったロボットで、豊の心臓に埋め込まれた電極回路が生み出す怒りの電流を受けて起動する。
豊のヘルメットのマイクからの音声入力で動くが、「ファイト!ザボーガー!」と言われるだけで敵を判別して徒手戦闘するほどの自己判断力を持つ。ただし、武器の使用には個別に命令が必要らしい。
オートバイ形態のマシーンザボーガーに変形し、豊の捜査活動時の足にもなる。手を引っ込めて胸と腹からタイヤを出し、海老反っただけ(空を飛ぶポーズの手なし)であり、ザボーガーの顔がそのまま残っているため、ご近所からは、「おもちゃみたいなバイク」呼ばわりされている。
頭部にヘリキャット、背部にシーシャーク、足首にマウスカーを収納している。
人型時には、チェーンで繋がった左拳を撃ち出すチェーンパンチ、両耳部の飾りをそれぞれ手で外して投げつけるブーメランカッター、口のシャッターが開いて銃口が出てくる速射破壊銃を備える。
「チェーンパンチ! ブーメランカッター! 速射破壊銃!」のコンボが、中盤までの必殺パターンだった。
新たな敵:恐竜帝国のメカアーミーには全ての武器が通じなかったため、41話以降、マシーンバッハと合体してストロングザボーガーになる。
それに伴い各種武器もパワーアップし、右前腕をロケットパンチのように撃ち出すロケットチェーンパンチ、目の高さで鉢巻状になったパーツで繋がった耳の飾りを鉢巻ごと撃ち出すジェットブーメラン、新たに両腰に装備された砲門から発射するストロングバズーカとなった。
「ロケットチェーンパンチ! ジェットブーメラン! ストロングバズーカファイヤー!」が新たな必殺コンボ。
ストロングザボーガーは、マシーンバッハの持ち主である松江健も命令できるのが、個人的には嫌だった。
最終回では、エネルギー切れで作動不能の状態から、怒りの電流により起動、勝手に敵首領:魔神三ツ首のアジトに駆け込み、ストロングバズーカを乱射している最中に爆発してしまった。




