35.現実世界
君は……異世界からやってきた……。この言葉が頭の中に残る。ついに理解者が現れてくれたのか……。
「待て待て待て。こいつは宇宙人だぞ」
サーモンが俺を指して言ってきた。俺はそれを冗談だと思って聞いていたのだが、まさか本気で宇宙人だと思っていたとは。
「いやでも……戦争放棄を信じるなんて、シュンレンさんが言うように旧日本からやって来たとしか言いようがなくて。彼からしてみれば旧日本が現実世界となるんでしょうが」
「どうやって帰れるの? どうしたら……」
「帰り方は、俺が知る限りでは……」
「自分が心に決めた目標をクリアすることよ」
シュンレンはミツキがしばしば言葉に詰まっていたのをカバー。
「そうそう、それです」
助かったような顔をした。
「あなたは何か目標をお持ちだったかしら?」
「え……それこそあれですよ、今回本部長を説得して思考を変えさせようと思ってて……」
「変わらないまま終わったわね。まぁ、そこは大目に見てもらえるんじゃないかしら?」
「…………誰に?」
「私は知らないわ」
そこでミツキが前に出る。
「ナビゲーター……らしいですよ? ここへ来る前に見ませんでしたか? ナビゲーターを」
「見た!」
フワワにサーモンは、そういえば言ってたな……みたいなことを口にした。
「やっぱりですか。いや~、俺異世界人初めて見ました、感動です」
「感動って……」
「いや本当ですって。出現率は0.1%と言われていて、見ることが難しいんですよ」
「おぉ……」
俺は心底レアキャラ気分を味わった。
「……そうそう、戻り方なんですが、多分これで目標クリアはしていると思われるので、そろそろナビゲーターが迎えに来るのではと」
ナビゲーターがどうやって来るのかは謎だが、今日皆とお別れなのか。そう考えると信じられない俺がいる。
「え、カイザとお別れなんか?」
「目標クリアしてたらですけど……」
「呆気なく終わるの!? お別れ会とかしたいのに!」
「1説によると別れた直後異世界人との記憶は絶たれるそうです」
「はぁー? せっかく弓の練習とか付き合ってやったのに? リュウセイにも世話になったろ」
「うん……」
リュウセイのお陰で多少の技術は身に付いてくれたし、お礼もしておかなければ。サーモンにもフワワにも、シュンレンにもミツキにも、皆にお礼を……。
「えっと……」
『会話の途中ですが!』
「!?」
耳元で大きな声で言われた。
『今お話があったように、お迎えにやって参りました』
「えっ、あっ、うん」
『さて、帰りましょうか』
「待って、皆に言いたいことが……」
『10秒で済ませてくださいよ? 帰れなくなっちゃう』
「えぇ、早すぎる……」
『はい、よーいスタート』
ナビゲーターの合図でカウント開始。
「えっと、その」
『5秒前』
耳元で囁いてきたので、咄嗟に俺は
「今までありがとう……っ!」
皆はいきなり!? って顔をしながら消えてく俺を見届けていた。
その後の皆の様子が見たかったが、皆のいる世界から消えてしまった俺にはもう見ることができない。
『はい、あそこへ行けば自宅です』
ナビゲーターは真っ白に光るゲートらしきところを指した。この空間は初めの頃に来た場所だろうか、見覚えがある。
『ほら、早く』
「え、あぁ。すまん」
俺はナビゲーターに礼をして、ゲートへと走って行った。
眩しいながらも進み続けると、意識が朦朧としてきた。
気が付いた頃には俺は布団の中に。起き上がると、俺の携帯が電源点いたままで放置されていた。
何で、と思いながら携帯を覗くと、「ヤホウニュース」の画面になっていた。そのトップには「日本人初の異世界侵入か!?」の文字が。俺は気になって読み進めると、突如俺の写真が出てきた。
びっくりした俺は更に読み進めると、またもや気になる文章。
「自分の意思で異世界へ行くことに成功した快野君。1日を普通に過ごしていたのだが、所々様子がおかしいということで母親がネット検索をかけたところヒットしたのが異世界転移であった。そこに書いていた複数の症状が似ていたところから、そのサイトに書いてあった問い合わせ番号にかけて、いろいろ脳の検査をしたら異世界転移に成功していたとのことだ。夢とは違う種類で、研究進められなくなっているのが今の現状なのだが、今後解析したいと研究者達は言っている」
またわけのわからないニュースを。確かに俺は異世界に言ったような夢を……いや、夢じゃないと言っているのか。解析できてないとか言ってるけど、数週間も滞在していたのに、あの頃から今までの時間の流れが短すぎやしないか? 夢というしかないのでは……。
脳調べるのにかなりの時間がかかりそうなのに、1日半で終わらせているのに疑問を覚えた。このニュースは嘘を垂れ流していやがるのでは。短時間で調べ終えるなんて怪しすぎるだろう。
症状が一致して研究して……なんてしていたら2日以上は確実にかかるだろ。
俺はどうもこのニュースが信じられない。
「快野…………」
「あ、母さん」
「起きたの快野。今まで大変だったんだよ? まさかアンタがこんなありもしないことに巻き込まれるなんて思いもしなかったんだから」
「……これ、本当なの?」
「何それ、見たことないけど。でもアンタ見たんでしょう? 夢みたいなものを」
「夢だろあれは」
「違うって研究者言ってた。明晰夢も疑ったけどそうじゃないって。未解決だって」
「それが信じられないんだってば」
「公にはしたくないから言いふらすんじゃないよ」
「えっ。いや、ここに載せてる時点でアウトじゃ……」
「そんなの母さん見たことないって」
母さんは俺の部屋から出ていった。
俺は誰かにこのことを言いふらしたい。もし本当のことならば俺は一躍有名人になれるのではないか?
そんな夢のような妄想はさておき、俺には言いふらすことなど到底できるわけないので考えるのはやめておこう。
にしても俺はわけわからない。信じられない。これから何をすればいいのかわからない。頭が混乱している。
これから普通に過ごせと言われたら過ごせるわけがない。
母さんの説明も足りなさすぎるし、この謎のニュースも足りなさすぎる。俺は何を信じればいいんだよ。
「だあぁー!」
俺はとりあえず平然を装って下へ降りることにした。
ゲームの中へ行きたいなんて、安易に考えるんじゃなかった……。こんなにモヤモヤするとは思いもしなかったのだから。
解明されないまま終わらせてしまいましたね。けど、夢ではないんですよ、はい。自分の脳みそじゃ考えられないッス、すいません。
ブクマしていただいた方、ありがとうございました。未だにブクマしてもらってる理由が見つかりません((
てなわけで、文章力上げて次回書きたいですね。上がるかわからないけど




