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悲しみは途切れたけれど、きみはまだきみのままだ。
なんていえばいいのだろう
赤が吸い上げられていくみたいに
山の奥らへんから
段々と焼けていく空
それからゆっくりと
藍色が染み出てくる
きみはその空を
クロマトグラフィーみたいだって
そういった
なにをいってるのかなんて
わかりもしなかった
今日もきっと
電車はがたごと揺れながら
あたしを連れ去ってくれる
きみのいる街から
切り離してくれる
車窓から見えるのは
錆びた駐輪場の柱
古びた家屋のトタン屋根
遮断機の前で立ち尽くすのは
化粧をした女子高生
だれも
あたしを
きみを
知りもしないのだよ
それがすごく
あたたかい
つめたい
あたたかい
悲しみは
とうの昔に途絶えていたよ
冷蔵庫に
冷凍庫に
放り込んだみたいな温度で
あたしのこころのなかに横たわっている
悲しみ
苦しみ
慈しみさえ
もうきみには
関係ないのですよ
もうなにも
聞いてくれないで
もうなにも
いってくれないで
もうなにも
知ろうとしないで
あたしのことを
あたしの気持を
この空のことを
電車はがたごと揺れている
ごめんね
もう
うんざりなんだよ




