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かんむり
たとえば
知らないうちに遮断機が下りて
線路を挟んだ向こう岸
傘をさして歩くひとたち
みんな知らないひとたち
もうきっと会わないひとたち
だれもが
喪服に身を包んだみたいに
浮かない顔をしているのは
きっと
あたしのせいじゃないはずだよ
目を背けたって
関係ないよ
関係ないよ……
どこまでもどこまでも続く道の
コンクリートで固められたあたしたちの
在り処はずっとこの街だから
ただただ雨に降られるだけの
箱庭のなかにいるんだよ
あぁこの街にはたぶん
あたししかいない