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忘れ物
遠く
果てない
悠久の彼方には
何億年もの時をかけ
せり出し
崩れ落ち
そして蠢いた
数多の島々が
ぽつねんと浮かんでいることだろう
てんでバラバラの
姿かたちは
ふたつとして
同じ道を歩んだものはなくて
あたしには
想像も及ばない年月を
必死に耐え抜いてきた
その事実だけがあって
一瞬だけ
殺されそうになった
どっと押し寄せる波
感情の虫はさざめき立つ
ふつふつと湧き出る漠然とした決意は
やがて大筆で引いたような線で
くっきりと輪郭を描かれた
どうしてだろう
なにかを忘れている気がして
その不安を
拭いたくてたまらない
拭いたくてたまらないのです。